「新グレード試乗」小さいことは、いいことだ! コンパクトクロスオーバー、スズキ・イグニスの合理的な個性

スズキ・イグニス・ハイブリッドMF(FF) 全車新意匠4スロットフロントマスク採用 MFは専用前後バンパー/ルーフレール/サイドアンダーモールを採用 駆動方式はFFと4WDを設定
スズキ・イグニス・ハイブリッドMF(FF) 全車新意匠4スロットフロントマスク採用 MFは専用前後バンパー/ルーフレール/サイドアンダーモールを採用 駆動方式はFFと4WDを設定

スズキ・イグニス・ハイブリッドMF(FF) 価格:7CVT 183万9200円 試乗記

欧州で人気の世界戦略モデル。室内は多彩に使える合理設計

 スズキの小型クロスオーバー、イグニスがマイナーチェンジした。改良ポイントは、フロントグリルの意匠変更と装備の充実。そしてSUVイメージを高めた新グレード、MFの設定だ。1.2リッター直4エンジン(91ps/118Nm)とISG(モーター機能付き発電機/ 3.1ps/50Nm)で構成するマイルドハイブリッド機構は、従来と共通。試乗車はMFのFFモデルである。

 イグニスは世界で販売されているスズキの戦略モデル。欧州では、VW・up!やフィアット・パンダがライバルになる。
 パッケージングは合理的だ。全長×全幅×全高3700×1690×1605mmのコンパクトサイズながら、大人4名がゆったりとくつろげる室内空間を実現した。後席は左右独立165mmのスライドとリクライニングが可能。ラゲッジスペースは後席使用時で258リッター。後席を倒すと最大415リッターに広がる。使用シーンに応じて室内を最適にアレンジできる点は便利だ。

 ただし最新の、たとえばダイハツ・ロッキーやトヨタ・ライズと比較すると、ユーティリティはやや見劣りする。ロッキー&ライズは全長が295mm長いので当然ともいえるが、より広々とした印象を受ける。とくに後席スペースと荷室に余裕がある。

全長×全幅×全高3700×1690×1605mm 車重880kg ボディは5ドアHB 欧州市場のライバルはVW・up!やフィアット・パンダ
全長×全幅×全高3700×1690×1605mm 車重880kg ボディは5ドアHB 欧州市場のライバルはVW・up!やフィアット・パンダ

力強い走り。魅力はパーソナル感覚

 イグニスの魅力はパーソナル感覚にある。専用レザー調素材で仕上げたMFのシートはサポート性に優れ、座り心地もいい、ドライビングポジションがピタリと決まる。ブラック基調のインテリアと相まってスポーティな味わいが強い。本革巻きステアリングの心地いい感触と、200km/hスケールの速度計がドライバーの気分を高める。

 走りは力強い。実用トルクが太いパワーユニットは街中から高速道路まで、意のままの加速を披露する。加速時にモーターがアシストする効果もあり、91ps/118Nmのスペック以上の頼もしさを感じた。880kgの軽量設計が走りにプラスをもたらしている。トランスミッションは7速マニュアルモード付きCVT。エンジンブレーキが必要なときや、アップテンポな走りのシーンでパドルシフトは有効だった。

 フットワークは欧州車イメージ。低速域はやや固めの印象だが、速度が上昇するほどフラットに変化する。ハンドリングは軽快。ワインディングロードでいい汗がかけるセッティングである。

 安全装備はスズキセーフティサポートが標準。ただし後退時の誤発進抑制機能は未設定で、クルーズコントロールは一定速維持タイプである。この点はいっそうのリファインを期待したい。

室内はブラック基調 シルバー加飾がスポーティなアクセント演出 各部に小物入れを配置した機能的な造形 ステアリングは操作性に優れた本革巻き
室内はブラック基調 シルバー加飾がスポーティなアクセント演出 各部に小物入れを配置した機能的な造形 ステアリングは操作性に優れた本革巻き
MFはレザー調専用シート装備 座り心地がいい大型形状 後席は左右独立165mmスライドとリクライニング可能 大人4名がゆったり座れる室内空間 室内長2020mm
MFはレザー調専用シート装備 座り心地がいい大型形状 後席は左右独立165mmスライドとリクライニング可能 大人4名がゆったり座れる室内空間 室内長2020mm
ラゲッジスペースは後席使用時258リッター 最大415リッター 荷室最大長1230mm
ラゲッジスペースは後席使用時258リッター 最大415リッター 荷室最大長1230mm
ヘッドライトは個性的なデザインのLED オートライトシステム&フォグランプ標準
ヘッドライトは個性的なデザインのLED オートライトシステム&フォグランプ標準
175/60R16タイヤ+ガンメタリック塗装アルミ装着 最小回転半径4.7m 足回りは硬質
175/60R16タイヤ+ガンメタリック塗装アルミ装着 最小回転半径4.7m 足回りは硬質
200km/hスケールの速度計を中央に配置 回転計は小型形状 視認性良好
200km/hスケールの速度計を中央に配置 回転計は小型形状 視認性良好
全方位カメラはop(5万5000円) 写真の8㌅ナビは16万5605円
全方位カメラはop(5万5000円) 写真の8㌅ナビは16万5605円
1242cc直4DOHC16V(91ps/118Nm)+モーター(3.1ps/50Nm) 低フリクションの高効率設計 WLTCモード燃費:19.8km/リッター
1242cc直4DOHC16V(91ps/118Nm)+モーター(3.1ps/50Nm) 低フリクションの高効率設計 WLTCモード燃費:19.8km/リッター

イグニス・ハイブリッドMF(FF) 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=ハイブリッドMF(FF)
価格=7CVT 183万9200円
全長×全幅×全高=3700×1690×1605mm
ホイールベース=2435mm
トレッド=フロント1460×リア1470mm
最低地上高=180mm
車重=880kg
エンジン=1242㏄直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=67kW(91ps)/6000rpm
最大トルク=118Nm(12.0kgm)/4400rpm
モーター最高出力=2.3kW(3.1ps)/1000rpm
モーター最大トルク=50Nm(5.1kgm)/100rpm
WLTCモード燃費=19.8km/リッター(燃料タンク容量32リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=15.9/20.5/21.6km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=175/60R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=4.7m
●主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/充電制御付きアイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/ロックアップ機構付きトルコン/自動無段変速機
●主要装備:スズキセーフティサポート(デュアルカメラブレーキサポート+誤発進抑制機能+車線逸脱警報+ふらつき警報+先行車発進お知らせ)/ヒルホールドコントロール/LEDヘッドランプ/リアフォグランプ/オートライト/前後スタビライザー/メッキフロントグリルガーニッシュ/フェンダーアーチ&サイドアンダーモール/専用前後バンパー/フルオートオートAC/レザー調シート表皮/後席左右独立スライド&リクライニング機構/マルチインフォメーションディスプレイ/キーレスプッシュスタート/本革巻きステアリング/パドルシフト
●装着メーカーop:全方位モニター用カメラパッケージ5万5000円
●ボディカラー:タフカーキパールメタリック

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