伊マセラティは5月22日(現地時間)、開発中の新型スーパースポーツ「MC20」プロトタイプの走行テストの画像を公開した。
「MC20」プロトタイプは現在、さまざまな条件下でのテストを重ねてデータ収集を行い、最終的な調整を進めている。そして、モデナにあるマセラティ・イノベーションラボでのダイナミックシミュレーターを使った試験を経て、いよいよ公道やサーキットでのテスト走行へと移行。今回はマセラティのレースヒストリーにおける栄光の地、イタリアシチリア島の「タルガ・フローリオ」のコースにて、「MC20」プロトタイプを走らせた。
タルガ・フローリオにおけるマセラティの歴史を簡単に振り返っておこう。マセラティがこの地で初優勝を果たしたのは1937年開催の第28回大会で、ジュリオ・セヴェーリ選手の駆るマセラティ6CMが315.6kmの距離を2時間55分49秒で駆け抜けて初優勝。さらに、1938年開催の第29回大会ではジョバンニ・ロッコ選手が、1939年開催の第30回大会ではルイジ(ジジ)・ヴィッロレージ選手が、進化したマセラティ6CMをドライブして勝利を飾る。そして、いまから80年前の1940年開催の第31回大会では、ルイジ・ヴィッロレージ選手が、6CMのシャシーをベースにマセラティ初の1気筒あたり4バルブのヘッド機構を配する1491cc直列4気筒スーパーチャージャーエンジン(220ps)を搭載したニューマシンのマセラティ4CLを駆って優勝した。
4連勝の快挙を成し遂げた栄光の地に、マセラティは新世代スーパースポーツの「MC20」プロトタイプを携えて戻り、有名なフロリオポリのスタンド前などタルガ・フローリオの歴史が刻まれた場所でテスト走行し、さらなるデータを蓄積した。なお、MC20はパワーユニットにマセラティが100%自社で設計・開発・生産を手がける新しいエンジンを搭載する予定。そして、2010年にMC12でGT1世界選手権を制して以来のレース界へのカムバックを果たす重要なレーシングマシンとしての役割も担っている。デビュー時期は当初、本年5月を予定していたが、COVID-19の感染拡大の影響で発表は延期され、本年9月以降にずれ込む見込みである。