マツダ3ファストバックXDバーガンディセレクション(FF) 価格:6SAT 304万4555円 試乗記
現在のクルマは安全性能、環境対応、ユーティリティなど、多くの要素を満足させなければいけない。とりわけ、2リッター以下のモデルは量販車種であり、数多くの制約の中で生産販売されるのが常識になっている。アクセラの後継車として登場したマツダ3も例外ではない。
しかしそのスタイリングに「妥協」はまったく感じられない。中でもファストバックは、3年前の東京モーターショーに展示された魁(さきがけ)コンセプトがそのまま路上を走っているようで、いまだにこれが国産の量販車であることが信じられない。街で見るとその姿を必ず目で追ってしまう。
マツダは魂動デザインを次世代に深化させるにあたり、日本の美意識に注目。引き算の美学や余白の豊かさにこだわった。その次世代商品第1弾がマツダ3だ。
マツダ3は、ファストバックとセダンでデザインの方向性が異なる。セダンは水平基調を強め、前後フェンダーにラインを与えた。個性とともにオーソドックスさにも配慮した造形だ。ファストバックはボディサイドにラインがほとんどない。ひとつの塊の中で面に抑揚をつけ、陰影を出している。
見た目の安心感は、セダンが上かもしれない。しかし強烈にアピールしてくるのはファストバックだ。ライバルと比較して「美へのこだわり」は圧倒的。この点は欧州車を含め世界屈指だ。
インテリアは機能重視でまとめられた。理想的なドライビングポジション、ほぼ真円で細いリムのステアリング、円形のアナログメーターなど、基本に忠実なレイアウトが、リラックスして運転に臨める環境を創出した。
走りが自然かつ素直なこともマツダ3の特徴だ。加速、減速、旋回のすべてが滑らかで、思いのままにドライブできる。ステアリングの切れ味に唐突感はなく、フットワークはしなやかで自在。ストレスなく距離を重ねていける。
エンジンは4種類を設定。技術的に注目されているのは2リッターのスカイアクティブX(180ps/224Nm)だが、ボク自身は1.5リッターガソリン(111ps/146Nm)の爽快感、1.8リッターディーゼルターボ(116ps/270Nm)の粘り強さに引かれる。
価格はリーズナブル。ベースグレードは220万円台。国産ライバルと同等、欧州車と比較すると大幅に安い。美しさで他を圧倒する、こんな魅力的クルマが国産車に存在し、手ごろな価格で購入できることは素晴らしい。
眺めるたびにワクワクし、ドライビングが楽しめる──マツダ3には、オーナーのプライドをくすぐる魅力が存在する。
グレード=XDバーガンディセレクション(FF)
価格=6SAT 304万4555円
全長×全幅×全高=4460×1795×1440mm
ホイールベース=2725mm
車重=1410kg
エンジン=1756cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=116ps/4000rpm
最大トルク=270Nm/1600~2600rpm
WLTCモード燃費=19.8km/リッター
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
タイヤサイズ=215/45R18
駆動方式=FF
乗車定員=5名