バリューモデル・パーソナルセレクション by 森口将之
Kカー唯一のクロスカントリー4WDという伝統を守り続けて50周年。ラダーフレームに前後リジッドアクスルのサスペンション、パートタイム式4WDという基本構成も維持している。これだけでも価値がある。
それでいて現行型は、デザインは歴代のモチーフを取り入れて味わいを持たせ、エンジンは静かで滑らか、乗り心地はよくなった。ライバルなき孤高の存在でありながら、多くのユーザーの手が届く存在であることも特筆できる。
現行3rdトゥインゴはスマートとの共同開発・生産車。ルノーにとって1970年代以来となるリアエンジンをモデルだ。スマートはEV専用ブランドに移行。トゥインゴは新車で買えるこのクラスの「リアエンジン車」として唯一の存在だ。
価格は200万円前後、デザインはフレンチコンパクトならではの愛らしさにあふれ、MTやキャンバストップも選べる。ひと味違う自由で楽しいカーライフを送りたいユーザーに最適だ。
アルミ製プラットフォームとFRPボディの組み合わせで、目の覚めるような身のこなしを実現。しなやかに動くサスペンションが生き物のような振る舞いをもたらす。あらゆる動きが他車とは別次元。
今年でデビュー25周年を迎える。多くのスポーツカーがスピードや豪華性、そして安楽性を目指したのに対し、エリーゼは基本設計を変えずに作り続けた。その結果、ピュアな世界が強調された。普遍のミッドシップである。
いつまでも飽きず長く乗り続けられるクルマこそ価値がある、と考えている。独自のデザインやメカニズムを持ち、価格やランニングコストを上回る魅力にあふれた存在。そういうクルマは多くの場合、万人向けではなく、好き嫌いが分かれがち。それだけに、バリューなクルマを“選ぶ目”が大切になると思う。