VW・up!・GTI 価格:6MT 234万2000円 試乗記
up!のGTIは、一世を風靡した1stゴルフGTIのイメージが重なる。かつて憧れた思い出とともに、鮮烈な走りの感触がよみがえる。「FFホットハッチ=前輪駆動スポーツカー」の元祖がゴルフGTIだった。
1stゴルフGTIは110ps/140Nmを発揮する1.6リッター直4自然吸気ユニットを搭載。5速MTと車重820kgの組み合わせで、切れ味鋭い鮮烈な走りを披露した。
up!・GTIのエンジンは、わずか1リッターの直 3筒DOHCターボ。しかし1stゴルフGTIを上回る116ps/5000~5500rpmのパワーと、200Nm/2000~3500rpmのトルクを発生。低音のサウンドを奏でながら6速MTで1000kgの軽量ボディを豪快に走らせる。0→100km/ h加速を8.8秒でクリア、最高速度は198km/hに達する。
室内はGTIを名乗るにふさわしい。ホールド性に優れたチェック柄ファブリックシートと本革巻きのグリップの太いステアリングを装備。黒を基調に赤のアクセントを入れた演出がスポーティだ。
アクセルを踏み込む。6500rpmまで一気に回り、回転リミッターが作動する。急ぎクラッチを切り、ギアを変速してクラッチミート。その古典的?な作業は懐かしく、圧倒的に楽しい。クルマを操る実感が存分に味わえる。
全長×全幅×全高3625×1650×1485mmのスリーサイズと2420mmのホイールベースは、タイヤがボディ四隅に踏ん張っていることを意味する。前後オーバーハングはないに等しい。慣性マスの少ない身のこなしは、ゴルフやポロなどのGTIグレードをしのぐ。まさに軽快な走り味である。
フットワークはハイレベル。VWらしく張りの強いフロア、高いボディ剛性感が、引き締まったサスペンションの動きを支え、加減速でのピッチング、コーナーでのロールを自然に抑え込む。
高速安定性も高い。100km/hクルージング時の確かな安定性は、速度無制限のアウトバーンで鍛え抜かれた証し。実に頼もしい。オーバークオリティではないか、と思わせる195/40R17タイヤのグリップ力は絶大。アンダーステアを示さず、ほぼニュートラルなハンドリングにほれぼれする。
1stゴルフGTIに憧れ、クラシック・ミニ・クーパーSも大好きなボクからすると、up!・GTIはまさに再来。ボク自身は2ドアボディ(欧州仕様は4ドアあり)がパーソナル感覚で気に入っている。最新の安全技術と運転支援で乗れるビビッドなスーパーFFホットハッチである。
グレード=GTI
価格=6MT 234万2000円
寸法・重量=全長×全幅×全高3625×1650×1485mm
ホイールベース=2420mm
車重=1000kg
エンジン=999cc直3DOHC12Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=116ps/5000~5500rpm
最大トルク=200Nm/2000~3500rpm
JC08モード燃費=21.0km/リッター
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トレーリングアーム
タイヤサイズ=195/40R17
駆動方式=FF
乗車定員=4名