バリューモデル・パーソナルセレクション by 桂伸一
世界で過熱するホットハッチに対するAMGからの一撃。2リッター世界最強の直4ターボエンジンは圧巻の421ps/500Nm。そのハイパワーを4WDで伝達しつつ、曲げるための機能を備えたリアデファレンシャルが、アンダーステアを抑えたスーパーハンドリングを実現。
Aクラスの一員と考えると800万円弱のプライスタグに驚くが、最高峰のAMG・GTをコーナーで追いつめる全天候型スーパーハッチである。高い実力を体感すると納得する。
新車で購入できる世界一のライトウエイトスポーツを挙げよ、といわれたら即座にA110を選ぶ。サイズ感は絶妙。お洒落なスタイリングとインテリアのすべてにフランスの薫りが漂う。エンジンは1.8リッターターボ。日産ベースのユニットをアルピーヌがアレンジするとこうなるというお手本。
刺激的な加減速はもちろん、自在に軽快に曲がり、安定したフットワークは、格上のスーパースポーツを上回る。理想のミッドエンジン後輪駆動車だ。
CX-30は手ごろなサイズのクロスオーバー。スタイリングは美しくダイナミック。街で見かけると思わず目で追ってしまう。デザインは魅力たっぷり。クルマはやはりカタチが大切だ。
室内やラゲッジ空間は広く使いやすく、全高は一般的な立体駐車場に対応する。スカイアクティブG/D/Xを揃えたパワーユニットと、FF/4WDの駆動方式の組み合わせで選択肢は豊富。各部の質感は高く、価格以上の価値が実感できる1台である。
価格を重視するバリューもあるが、ボクは“ほしいと思わせる魅力”を最優先した。スタイリングが最初に立ち、インテリアなどの質感、エンジンやモーターが生むパフォーマンスがクルマを引き立たせているかどうかが重要項目。800万~1000万円級もバリューカーとして挙げたのは、そんな理由からだ。