トヨタ・カローラ・ツーリング・ハイブリッドW×B(FF) 価格:THS 279万9500円 試乗記
カローラは世界のベストセラー。1966年の1stモデル誕生以来、一貫して進化・発展を続けてきた。累計販売台数は 4500万台を超え、名実ともに「トヨタの顔」である。しかし、直近の日本仕様は5ナンバーサイズの扱いやすさ、そして燃費性能以外は、魅力は希薄だった。
2016年、開発陣はカローラデビュー50周年を機に、「次の50年に向けてカローラはどうあるべきか?」を真剣に考えた。その答えが、12thモデルとなる現行モデルだ。
新型は日本仕様のカローラで初となる3ナンバーボディを採用。ボディタイプは5ドアHBのスポーツ、ツーリングを名乗るワゴン、そしてセダンの3種。このうちスポーツは世界共通設計。ツーリングとセダンは、基本骨格こそ海外仕様と共用するが、全長と全幅を日本用に最適化した専用モデルだ。ツーリングのボディサイズは全長×全幅×全高4495×1745×1460mmになる。
エクステリアはキリッとした細長いライトとV字に切れ上がった「キーンルック」が個性的。低重心を際立たせるワイド&ローのプロポーションと相まって、従来のカローラ像を一新した。インテリアは水平基調のシンプルな造形。開放感にこだわったデザインが心地いい。質感にも気を配りレクサス顔負けのクオリティを実現した。
パワートレーンは3種類を展開。1.8リッター自然吸気(140ps)はスペック以上の力強さで市街地走行にベストマッチ。1.2リッターターボ(116ps)は万能ユニットではないが、6速MT仕様を設定。トルクバンドを考えながらシフト操作を行う「操る楽しさ」が味わえる。 1.8リッターエンジン(98ps)+モーター(72ps)のハイブリッドはパワーに余裕があり、ラバーバンドフィールを抑えたセットアップでドライバビリティに優れる。
プラットフォームはTNGAのGA-C型を採用。低重心/軽量という基本的な美点に加えて、プリウス/C-HRで得たノウハウをフィードバック。走りは「本当にカローラ?」と思うくらい気持ちいい。軽快な身のこなしと操作に対する確かな応答性。そして自然なクルマの動きは、スポーティモデルを名乗るに十分。しかも、段差を乗り越える際の当たり、ショックのいなし方など、カローラとしての優しさを忘れていない。新型の価格は従来比でそれなりにアップしているが、性能向上を考えればむしろお買い得だろう。
ハイレベルな性能を気負わずに体感でき、どこかワクワクすることが、新型カローラの特徴であり「味」だ。カローラは、日本車の新たなスタンダードである。
グレード=ハイブリッドW×B(FF)
価格=THS 279万9500円
全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm
ホイールベース=2640mm
車重=1390kg
エンジン:1797cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
エンジン最高出力=98ps/5200rpm
エンジン最大トルク=142Nm/3600rpm
モーター最高出力=72ps
モーター最大トルク=163Nm
WLTCモード燃費=25.6km/リッター
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
タイヤサイズ=215/45R17
駆動方式=FF
乗車定員=5名