SUBARUは2022年4月14日、新型電気自動車(BEV=Battery Electric Vehicle)の「ソルテラ(SOLTERRA)」の日本仕様を発表。合わせて、本年5月12日より受注を開始すると発表した。
車種展開は以下の通り。
ET-SS(FWD車、フロント1モーター):594万円
ET-SS(AWD車、フロント/リア2モーター):638万円
ET-HS(AWD車、フロント/リア2モーター):682万円
なお、基本コンポーネントを共用するトヨタbZ4Xは全数リース形式での販売で、初年度は5000台の販売を予定しているが、ソルテラは通常の販売形式で、初年度は月150台の販売を計画している。
ソルテラはトヨタ自動車と共同開発したEV専用プラットフォーム「e-SUBARU GLOBAL PLATFORM」を採用し、Cセグメントクラスの電気自動車SUVに仕立てる。パワーユニットはローターや磁石の配置を最適化して高回転・高出力を実現したモーター、モーターを制御するインバーター、ギアなどの駆動系を一体化したコンパクトで高効率な「eAxle(イーアクスル)」を搭載。FWD車が最高出力150kW/5379~7500rpm、最大トルク266Nm/0~5379rpmを発生する1XM型フロントモーターと総電力量71.4kWhのリチウムイオン電池、AWD車が最高出力80kW/4535~1万2500rpm、最大トルク169Nm/0~4535rpmを発生する1YM型のフロントモーターとリアモーター(前後独立モーター駆動式AWD)、総電力量71.4kWhのリチウムイオン電池で構成し、これをシンメトリカルにレイアウトした。
一充電走行距離はWLTCモードでFWD車が567km、AWD車のET-SSが542km、20インチのシューズを履くET-HSが487kmを、交流電力量消費率はWLTCモードでFWD車が126Wh/km、AWD車のET-SSが133Wh/km、ET-HSが148Wh/kmを達成。また、ET-HSには航続距離の延長に貢献するソーラールーフをオプションで用意する。充電に関しては、普通充電およびCHAdeMO規格の急速充電に対応。150kW出力の急速充電器では約30分で充電量80%までの充電が可能で、また普通充電(200V、6kW・30A)では約12時間でフル充電を可能とした。なお、リチウムイオンバッテリーの容量(初期容量70%以上)は8年間(走行距離16万kmまで)の保証を付けている。
アクセル操作への出力をコントロールするドライブモードには、市街地走行に最適なNORMAL、電力消費を抑えられるECO、よりダイレクトなレスポンスを愉しめるPOWER(AWD車のみ)の3モードを設定。また、ステアリングに配したパドルによって回生ブレーキの強さを4段階に調節可能で、意のままに操れるSUBARUの走りの愉しさが満喫できる。さらに、指先だけでシフト操作ができるダイヤル式シフトや、アクセルを戻した際の減速度が高まるS PEDAL DRIVEを設定した。そして、AWD車には路面状況に応じてモードを選択するだけで、モーターの力強いトルクと素早いレスポンスを活かして4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールし、悪路からのスムーズな脱出をサポートする、SUBARUの独自技術であるX-MODE(SNOW/DIRT、DEEP SNOW/MUDの2モード。ヒルディセントコントロール付)を採用。合わせてX-MODEの新たな機能として、悪路走行時に一定の車速(約2~10km/h)を自動で維持してステアリング操作に集中できるグリップコントロールを組み込んだ。車体下部に大容量バッテリーを搭載し、そのバッテリーを骨格の一部としても活用することで、低い重心高と高いボディ強度・剛性を成し遂げたことも、車体構成上の特徴。同時に、ボディ自体は軽量を果たしながら各部位の材料強度を最適化して、衝突安全性を高めるとともに高電圧の電気部品をしっかり守る構造とする。一方、懸架機構には前ストラット式コイルスプリング/後ダブルウィッシュボーン式コイルスプリングを採用。基本コンポーネントを共用するトヨタbZ4Xと同形式だが、セッティングにはSUBARU独自のアレンジを施した。
エクステリアに関しては、「都会・自然のなかで存在感を主張するBOLDER SUV」というデザインコンセプトのもと、SUBARU共通のデザインフィロソフィーである「Dynamic×Solid」をさらに大胆(BOLDER)に表現。エアロダイナミクスも重視し、車両後方への空気の流れを整えるフロントバンパー端のエアカーテンや、床下の全面に配したアンダーカバー、車体後部の空気の乱れを抑える左右分割のルーフスポイラーとダックテール形状のリップスポイラーなど、空気抵抗を低減するためのデザインやパーツを随所に織り込んだ。
各部の造形にも徹底してこだわる。フロント部はSUBARU を象徴する大型のヘキサゴンモチーフを中心にした精緻な造形に、精悍な4灯LEDヘッドランプや、フードからヘッドランプ上部へと連続する特徴的なハンマーヘッド形状などを採用して、SUVらしい力強さとBEV ならではの先進性をあわせ持つマスクを創出。一方でサイドビューは、大型ホイールアーチによるSUVらしい逞しさと、前傾姿勢かつ低重心のスポーティなシルエットを融合させて、新しいフォルムを具現化する。シューズはET-SSに18インチアルミホイール(ガンメタリック塗装)&フルエアロキャップ(シルバー+ブラック2トーン)+235/60R18タイヤを、ET-HSに20インチアルミホイール(ミディアムグレー塗装+切削光輝)+235/50R20タイヤを装着した。そしてリアセクションは、タイヤを強調した低重心で力強いSUVらしいスタンスに、特徴的なリアコンビネーションランプや空力形状のバンパーおよびディフュザーによるBEVらしさを融合させて、個性的かつ印象的な後ろ姿を表現する。ルーフ部には、乗員の開放感を高めるパノラマムーンルーフをオプションで設定した。
ボディカラーは、モノトーンにハーバーミストグレーパール/プラチナホワイトパールマイカ/プレシャスメタル/ダークブルーマイカ/エモーショナルレッド2/ブラックの6色を、2トーンにハーバーミストグレーパール×ブラック/プラチナホワイトパールマイカ×ブラック/プレシャスメタル×ブラック/ダークブルーマイカ×ブラック/エモーショナルレッド2×ブラックの5タイプを設定。いずれも力強さと先進性をあわせ持つソルテラ のスタイリングが際立つカラーリングで彩っている。
内装については、「運転の愉しさと、くつろぎの開放空間の融合」というコンセプトのもと、BEVならではのロングホイールベースとフラットなフロアを活かした空間の広がりを感じさせるキャビンを基調に、低く抑えたインパネとモジュール化されたコクピット、インフォテインメントを集約させた12.3インチディスプレイとすっきりとしたセンターコンソールなどを採用して、研ぎ澄まされた上質なインテリアを演出する。また、コクピットには7インチ液晶画面を備えたユニットをステアリングよりも高く、かつ遠方にレイアウトしたトップマウントメーターをセット。画面の上側に運転に必要な情報を集約することで、少ない視線移動量で瞬時に視認できるようにアレンジする。メーター自体は、中央のリング部分にシンプルに情報を表示する「ノーマル画面」と、X-MODEや安全装備の作動状態、オーディオのステータスなどの詳細な情報を表示する「マルチインフォメーション画面」の2モードを用意。さらに、パワーON時にはグラフィカルな演出とともに「SOLTERRA」のロゴを描き出すオープニング画面を表示して、ドライバーを迎え入れる仕組みとした。合わせて、少ない電力で素早く温まるシートヒーターやステアリングヒーターに加え、消費電力の少ないヒートポンプ方式のエアコンを設定。さらに、SUBARUユーザーが違和感なく使えるよう、各種ブザー音やウィンカーの作動音などは他のスバル車と同じ音を導入する。センターコンソールなどの収納スペースも充実。ラゲッジには荷室高を2段階で調節できる可変フロアボードを組み込み、ボードを下段に設定した際は464リットル(ET-SSは475リットル)の容量を確保した。
シートのアレンジも要注目。前席は運転席と助手席の間隔を十分に確保するとともに、ヒーター機能、ベンチレーション機能、運転席オートスライドアウェイ機能(乗降時にシートが最後端位置まで移動する機能)など快適装備を拡充して、“くつろぎ空間”に相応しい座席を実現。一方、後席にはワンタッチフォールディング機能付の6:4分割可倒式シートを配備した。シート表皮はET-SSにブラック基調のファブリック(シルバーステッチ)を、ET-HSにタンレザー(ブルーステッチ)を採用。エクイップメント面では、ハーマンカードンサウンドシステムや前後席用USB電源、DC12V/120W電源ソケット、ワイヤレス充電器、音声認識機能などを設定している。
BEVとのマッチングを考慮した最新の予防安全システム「SUBARU Safety Sense」を採用したこともトピック。ワイドかつ遠くまで検知できる単眼カメラとミリ波レーダーを活用し、静止物だけでなく自動車・自動二輪車・自転車・歩行者との衝突回避をサポートする機能をはじめ、ドライバーの疲労軽減を図る運転支援機能を充実させている。また、車両の周囲を超音波センサーとビューカメラで検知し、ステアリング、シフト、アクセル、ブレーキのすべてを制御して、並列バック駐車/並列前向き駐車/並列前向き出庫/並列バック出庫/縦列駐車/縦列出庫の6つのパターンで駐車・出庫を支援するAdvanced Parkを設定。さらに、車外からスマートフォンの専用アプリを操作することで、遠隔操作で駐車および出庫が可能なリモート機能も採用した。