ホンダは6月11日、燃料電池車「クラリティ・フューエルセル(CLARITY FUEL CELL)」の個人ユーザー向けリースの取り扱いを開始した。車両価格は783万6400円に設定するが、実際はリース期間や購入補助金などの要素を加えて算定される。また、車両の取り扱いは水素ステーションが設置されている都道府県の一部店舗となり、現時点で35法人のHonda Carsが対象となっている。
今回、個人向けリースを開始した理由は「自治体・企業向けへのリースを通じ、お客様の日常の使い方や走行性能などの各データの検証や、水素ステーションの拡充状況とお客様の使い勝手を踏まえた販売検討を進めた結果」だという。また、ホンダが2017年に掲げた『2030年ビジョン』の「すべての人に“生活の可能性が拡がる喜び”を提供する」ことの実現とともに、長年培ってきた水素技術を含めたカーボンフリー社会の早期実現に向けた取り組みを継続、拡大させる方針に沿ったことも、個人向けリース開始の事由だ。
改めてクラリティ・フューエルセルの概要を紹介しよう。セダンタイプの燃料電池車で初の5名乗りを実現した同車は、2016年3月に発売。また、2019年12月にはカラーリングの変更や快適性の向上などをメインメニューとした一部改良を実施して魅力度を引き上げた。
個人向けリース車は、この改良モデルが対象となる。まずカラーリングでは、ドアミラーの塗装色にルーフと統一感のあるブラックを、18インチアルミホイールのカラーにシックなグレーメタリックを施し、エクステリアの質感を向上。外板色には、プレミアムディープロッソ・パール(ルーフ色:ブラック、内装色:プラチナムグレー)/プラチナホワイト・パール(ルーフ色:ブラック、内装色:プラチナムグレー)/クリスタルブラック・パール(内装色:ブラック)の3タイプを用意する。ボディサイズは全長4915mm×全幅1875mm×全高1480mm/ホイールベース2750mmに設定した。
一方、機能面では紫外線(UV)に加えて赤外線(IR)もカットするガラスを随所に採用し、室内空間の快適性をアップ。また、低温域での性能を引き上げ、さらに幅広い環境で使用できるFCVに進化させた。
パワートレインに関しては、MCF4型モーター(130kW/4501~9028rpm、300N・m/0~3500rpm)に固体高分子形の燃料電池スタック(103kW)、リチウムイオン電池の駆動用バッテリー、容量141リットル(前方24リットル/後方117リットル)の圧縮水素の燃料タンク(公称使用圧力70MPa)を搭載。1回あたりの水素充填は3分程度(水素充填圧70MPaステーションでの充填作業)で完了し、一充填走行距離は約750km(JC08モード走行)を達成している。