三菱アウトランダーPHEV 価格:462万1100〜532万700円 試乗記
アウトランダーPHEV Good Point
1:日常ユースをEVとして使えるPHEVシステム
2:4WD+3列シート。圧倒的なマルチ性能である。
アウトランダーは、パジェロが姿を消した現在、三菱自動車のフラッグシップとなるクロスオーバーSUVである。
新型は、従来型の登場からおよそ9年ぶりとなるフルチェンジを受けて2021年末にデビユーした。日本ではパワーユニットをPHEV(プラグイン・ハイブリッド)に絞っての展開。メカニズムは従来型が採用していたシステムに対してモーター出力/駆動用バッテリー容量をアップするなど、新世代にふさわしくさまざまな部分に手を加えるとともに、ボディ骨格にもルノー/日産とのアライアンスによって生み出されたオールニューのアイテムを採用。ボディサイズは全長×全幅×全高4710×1860×1745mm。従来よりひと回大きくなった利点を生かし、「PHEV+3列シート」が用意されるようになったこともトピックだ。
開発テーマのひとつが「威風堂々」というとおり、実車は、「随分と立派になった」という印象。最新の三菱車が提唱する「ダイナミック・シールド」に基づいた自己主張の強い顔つきには賛否両論がありそうだが、20インチタイヤを履いたSUVらしいロアボディの造形を筆頭に、全身からたくましさを発散。頼りになる印象にあふれている。
エクステリア以上に進化が著しいのがインテリアの仕上がり。率直なところ、従来型はダッシュボード周辺を中心にプラスチッキーな印象があった。新型は質感が一気に向上。さまざまな部分にソフトパッド素材を用いるとともに、エアコンやオーディオのスイッチ、ドライブモードセレクターなどにはダイヤモンドカット意匠を採用。細部にまでデザインに対する配慮が行き届いている。スペースも十分だが、心地よさやクオリティでも、フラッグシップであることが実感できる。
走りは素晴らしい。モーター出力やバッテリー容量に余裕が増したことで、充電状態が良好であれば常用シーンではまずエンジンが目を覚ますことはない。満充電時のEV走行可能距離は83km。走りの印象はほとんどピュアEVである。
一方、充電レベルが低下してエンジンが始動しても、その出力が高められていることから、アクセル踏み込みに対して回転数の高まりはさほど顕著ではない。結果的にハイブリッド走行でも静粛性は高水準。引き続き高い「EV濃度」がキープされる。新型の走りは、電動車らしい先進イメージでまとめられている。
ハンドリングは自在感覚。走行モードにもよるが、前輪用85kW/後輪用100kWとリア寄りにバイアスが掛けられた2モーター方式の採用と、AYC(アクティブヨーコントロール)など三菱ならではの4輪制御技術もあって、SUVでありながら意のままの走りを実現した。その高い実力は、サーキット走行で確認済みである。
アウトランダーPHEVは、長く待たされただけに完成度が高い。新型はデビュー当初から熟成が進んだ渾身の1台。高い満足感が味わえる。
グレード=P
価格=532万700円
全長×全幅×全高=4710×1860×1745mm
ホイールベース=2705mm
トレッド=フロント:1595/リア:1600mm
最低地上高=200mm
車重=2110kg
エンジン=2359cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=98kW/5000rpm
最大トルク=195Nm/4300rpm
モーター最高出力=フロント:85kW/リア:100kW
モーター最大トルク=フロント:255Nm/リア:195Nm
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
総電力量=20kWh
WLTCモードEV走行換算距離=83km
WLTCモードハイブリッド燃費=16.2km/リッター(燃料タンク容量56リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:17.3/15.4/16.4km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=255/45R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=5.5m
主要燃費向上対策:可変バルブタイミング/プラグインハイブリッドシステム/アイドリングストップ装置/電動パワーステアリング
主要装備:S-AWC/AYC(アクティブヨーコントロール)/ASC(アクティブスタビリティコントロール)/e-Assist(衝突被害軽減ブレーキ+踏み間違い衝突防止アシスト+車線逸脱警報&車線逸脱防止支援機能+ふらつき警報+前方衝突予測警報+標識認識システム+後側方衝突被害防止支援システム+後側方車両検知警報システム+後退時車両検知警報システム)/前後パーキングセンサー/高速道路同一車線運転支援機能(レーダークルーズコントロール+車線維持支援機能)/MITSUBISHIコネクト/100V・AC電源(1500W)/V2H用DC電源(10kW)/コントロールボックス付き充電ケーブル/エレクトリックテールゲート/フロントワイパーデアイサー/寒冷地仕様/ヒルディセントコントロール/アダプティブLEDヘッドライト/フル液晶ドライバーディスプレイ(12.3インチ)/ヘッドアップディスプレイ/ヒーター付き本革巻きステアリング/ダイヤル式ドライブモードセレクター/ヒートポンプ式AC/回生レベルセレクター(パドル式)/セミアニリン本革シート/前席パワーシート(リフレッシュ機能付き)/前後席シートヒーター/サードシート(床下収納式)/9インチスマートフォン連携ナビゲーション/BOSEプレミアムサウンドシステム
ボディカラー:ホワイトダイヤモンド/ブラックマイカ(op13万2000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル料金は1万1670円
*国からの購入補助金は55万円(CEV補助金)