トヨタbZ4X/SUBARUソルテラ 価格:600万〜650万円(bZ4X)/594万〜682万円(ソルテラ) 試乗記
bZ4X & ソルテラ Good Point
1:時代を先取り! 安心して長く使えるBEV
2:4輪の駆動力を自在に制御するAWDシステム
BEVは「特別なクルマ」から、いよいよ「生活のパートナー」になる。トヨタbZ4XとSUBARUソルテラでツーリングを楽しんで、そう確信した。試乗コースは、金沢から軽井沢を目指すルート。富山までは高速を走り、一般道を南下して岐阜の奥飛騨へ、さらに長野の松本へ向かい、そこで乗り換えて軽井沢まで走る約260kmの道のりだ。筆者は富山生まれで、首都圏と実家を行き来する際に今回と重複するルートをたびたび利用している。そこを最新のBEVで走るとどう感じるだろうか?
bZ4XはトヨタBEVの今後の主力となるbZシリーズの先駆け。いわばBEVの真ん中に位置する世界戦略クロスオーバーだ。キャラクターは、フレンドリーで快適性重視。共同開発されたソルテラが、ややスポーティな性格なのとは好対照になる。ソルテラとはフロントマスクと足回りのセッティングが異なるほか、一部の装備仕様が差別化されている。今回ドライブしたのは、いずれも4WD車だった。
金沢でbZ4Xに乗り込む。受け取った車両は、バッテリー残量が5分の4ほどで、航続距離は352kmと表示されていた。外気温23度の状態でエアコンをONにすると、277kmにガクンと減った。
しばらく一般道を走ったのち、金沢東ICから北陸自動車道へ。第一印象としては、動きが素直で乗りやすい。適度な高さのアイポイントながら、見た目の印象よりも重心が低い印象を受けた。視界も良好。若干ピラーが顔に近い気もしたが、形状が工夫されていて、ドアミラーとの位置関係もいい。右左折時の視認性はしっかり確保されている。
高速道路では、2850mmと長いホイールベースも効いて実に安定している。前後とも80kWのツインモーターが生み出す動力性能はなかなか力強い。プロトタイプをサーキットで走らせたときには、やや控えめな印象を受けたが、リアルワールドで普通にドライブするとそうでもない。パフォーマンスは十分だと感じた。全体の仕上がりはそつがなく、乗りやすい。静粛性も当然ハイレベルである。
インフォテインメイトにはエージェントプラスという新しい機能がある。プロファイルを登録しておくと、それに合わせてお勧めスポットなどの情報を随時提供してくれる。今回は先を急がなければいけなかったが、時間に余裕がある旅なら、大いに役立ってくれるに違いない。
富山インターを出たところでトリップ計が57.3km、バッテリー残量は3分の2くらいになった。航続距離は219kmとの表示。走り始めが277kmだったから、かなり正確だ。ここからは国道41号線で岐阜県の神岡をめざす。しばらくは両側に店舗が並ぶが、やがて人里離れた感じになり、信号で待つこともめったになくなる。岐阜に入る頃には、トリップ計が81.5kmで、航続距離は195kmと表示された。一般道でも航続距離のカウントはおおむね正確だ。
さらに進むと、山水画のような景色が現れた。BEVでこの道を走るのは初めてだが、車速がコントロールしやすく、上り勾配でもアクセルをちょっと踏み増すだけで軽やかに加速していける。下りはワンペダルドライブで、乗りやすい。時折現れるつづら折りの道でもリズミカルに走れた。重心が低いのでハンドリングは楽しい。
途中、安房(あぼう)トンネルの手前にあるパーキングエリアで充電した。トリップ計は137.5km。30分で19.4kWh充電でき、バッテリー残量は、充電器によると27%から57%となり、航続距離は109kmから202kmに増えた(車両側のバッテリー表示はグラフのみで%では表示されない)。今回は使わなかったが、充電時には、車両で快適に過ごせるマイルームモードという機能も設定されている。
安房トンネルの途中で県境を越えて長野県へ。トンネルを出た直後はワインディングのダウンヒルとなるが、その後は緩やかな道が続く。国道158号線を東へ進み、松本でソルテラに乗り換えた。走りの違いは、予想よりもはっきりわかる。ソルテラのほうがメーカーの説明どおりスポーティで姿勢変化が小さい。パドルで回生の強度を任意に選べるのもソルテラならではの特権だ。
市街地を少し走っただけでも、足回りが引き締まっていてステアリングにも手応えがあることを実感した。高速道路でのフラットライド感も見事だ。ただし、乗り心地としては多少の硬さを感じる。このあたりは好みの分かれるところだろう。
両車とも少々気になったのは、荒れた路面でハーシュネスやロードノイズが反響するような感覚があること。開発関係者も認識している様子だった。近い将来、リファインの手が入るに違いない。
bZ4Xとソルテラは、全体として、いずれも万人向けの性格。初めてBEVに乗るユーザーを戸惑わせる要素はない。静かで滑らかな走行フィールは大きな魅力、4WDの巧みな車両制御にも目を見張る。BEVならではの驚きが薄いといえば薄いが、完成度は実に高い。そして走りのキャラクターは、しっかりと作り分けられている。このあたり両社のコダワリが感じられ、興味深く思った。
グレード=Z(4WD)
価格=650万円
全長×全幅×全高=4690×1860×1650mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1600/リア:1610mm
最低地上高=180mm
車重=2010kg
モーター型式=1XM(交流同期電動機)
モーター定格出力=59.0kW+59.0kW
モーター最高出力kW(㎰)=80kW(109ps)+80kW(109ps)
モーター最大トルク=169Nm(17.2kgm)+169Nm(17.2kgm)
一充電走行距離(WLTCモード)=540km ※1
交流電力量消費率(WLTCモード)=134Wh/km ※2
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
駆動用バッテリー総電力量=71.40kWh
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/65R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.6m
主要装備:トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーンディパーチャーアラート+レーントレーシングアシスト+レーダークルーズコントロール+アダプティブハイビーム+ロードサインアシスト+ドライバー異常時対応システム+プロアクティブドライビングアシスト+発進遅れ告知機能)/ブラインドスポットモニター/S-VSC/トヨタチームメイト・アドバンストパーク/パーキングサポートブレーキ/パノラミックビューモニター/3眼LEDヘッドランプ/プライバシーガラス/デジタルインナーミラー/反転制御付きフロントワイパー/ヒーター機能付き本革巻きステアリング/ハンズフリーパワーバックドア/デジタルキー/ドライブモードセレクト/7.0インチマルチインフォメーションディスプレイ/フロントスポーティシート/前席電動調節機能/前席シートヒーター&ベンチレーション/ファブリックインスツルメントパネル/左右独立温度調節式オートAC/ナノイーX/オールオートECOボタン/コネクティッドナビ対応12.3インチセンターディスプレイ/JBLプレミアムサウンドシステム(9スピーカー)/充電ポート(急速&普通)/非常時給電システム付きアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)
装着メーカーop:235/50R20インチタイヤ+アルミ3万3000円/おくだけ充電1万3200円/ルーフレール3万3000円/カラードキャリパー(ブルー)4万4000円/リアスポイラー3万3000円
ボディカラー:ブラック×エモーショナルレッド2(op9万9000円)
※価格はすべて消費税込み ※1:20㌅タイヤ装着車は487km ※2:20㌅タイヤ装着車は148Wh/km
※bZ4Xは個人ユーザーにはサブスクリプションサービスKINTOで提供(リース販売)