英アストンマーティンは7月9日(現地時間)、同ブランド初のSUVモデルとなる「DBX」の市販モデルの最初の1台が、英国ウェールズのセント・アサンに居を構える新しい製造施設からラインオフしたことを発表した。
アストンマーティンDBXは、2015年からバーチャルモデルを活用した開発がスタートし、2018年より開始した実地テストに至るまで、広範囲な開発プログラムを実施。そして、“メイド・イン・ウェールズ”を誇る市販版DBXが、ついにラインオフしたわけだ。
アストンマーティンの最新アーキテクチャを基盤とするDBXは、新設計のプラットフォームに接合アルミニウムボディシェル、そしてアルミニウムと複合材を使用したパネル類で基本骨格を構成する。エクステリアにはツインベント付きクラムシェルボンネットやシグネチャーDBフロントグリル、シグネチャーライトエアダクトおよびデイタイムランニングライト、フラッシュグレージング&ヒドゥンシール付フレームレスドアウィンドウ、リアエアロウィング、シグネチャーリアライトブレードなどを採用して、アストンマーティンのDNAを色濃く反映した斬新な5ドアSUVスタイルを創出。ボディサイズは全長5039×全幅1998×全高1680mm/ホイールベース3060mm、車両重量は2245㎏(前後重量配分51:49)と、最上級ラグジュアリーSUVらしい立派な体躯で仕立てた。
インテリアに関しては、徹底的な顧客調査の結果を反映したうえで、アストンマーティンの高度なクラフトマンシップを組み合わせたデザインで構成する。具体的には、広い室内に1歩足を踏み入れた瞬間から、自宅でくつろいでいるような安心感を与えることができるように設計。DBX専用シャシーを導入したことで、キャビン空間自体を自在にテーラーメイドできるようにしたことも訴求点だ。ダッシュボード中央には最新の10.25インチTFTディスプレイを設置し、かつこのディスプレイ自体の主張が大きくなりすぎないよう、シームレスな形で組み込む。機能装備の拡充も図り、アンビエントライト(64色、デュアルゾーン)やアストンマーティン・プレミアムオーディオシステム、ロータリーインフォテイメントシステムインターフェースなどを設定。ラゲッジ容量は632リットル+アンダーフロアストレージ最大62リットルを確保した。
搭載エンジンはヴァンテージやDB11にも採用するオールアロイ構造の3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボユニットで、DBX用にさらなる高出力化チューニングを実施。最高出力は550ps/6500rpm、最大トルクは700N・m/2200~5000rpmを発生する。組み合わせるトランスミッションは電子制御シフト・バイ・ワイヤー・コントロールシステムを導入した専用セッティングの9速オートマチックギアボックスで、駆動機構にはワンピースカーボンファイバー製プロペラシャフトや電子制御式アクティブセンタートランスファーケース、電子制御式リアリミテッド・スリップ・ディファレンシャル、アダプティブドライブモード(オンロード4種/オフロード2種)などを組み込んだ可変トルク配分型アクティブAWDを採用した。
なお、DBXの世界市場へのデリバリーは7月後半から開始。ラインオフ式に立ち会ったアストンマーティン暫定最高執行責任者のキース・スタントンCOOによると、「DBXは生産車の約80%が海外で販売されることが見込まれているため、アストンマーティンにとって重要な戦略的モデルであると同時に、同社の優れた生産能力を明確に示すモデルでもある」という。