マセラティMC20チェロ 価格▷8DCT 3385万円(予価) 試乗記
MC20はメイド・イン・モデナにこだわったフラッグシップ
MC20に関してマセラティは「メイド・イン・モデナ」にこだわった。電動化を含めた次世代戦略は、そのオリジンというべきモデナのR &D施設と本社ファクトリーを核にして推し進められる。 フラッグシップとなるMC20はクーペも、そして追加されたスパイダー仕様のチェロも、全量がモデナの本社隣接工場でアッセンブルされる。敷地内には3リッター・V6ネットゥーノエンジンの専用組立工場やペイントショップも新設されている。現地を訪れ、正真正銘のメイド・イン・モデナであることを実感した。
スパイダーモデルのチェロの開発はクーペと同時並行で行われた。MC20はカーボンモノコックボディを持つミッドシップモデルであり、さらにブランドの過去と未来をつなぐスーパースポーツという重要な位置づけを持つ。将来の電動化を見越して設計されている次世代モデルだ。現在のところ新開発のV6ユニットのみだが、近い将来、同じシャシーにモーターを積んだBEVはもちろん、ハイブリッドパワートレーンの搭載も予定されている。軽量で高剛性、性能調整のしやすいカーボン素材の特色を活かしたエンジニアリングは当然ながらスパイダー化の設計にも大いに貢献したはずだ。
事実、チェロの重量増はクーペ比でわずか65kgにすぎない。開閉するリアカウル「スピードシェイプ」以外のデザインはクーペとほぼ共通。カウルが閉まった状態ではクーペと同じルーフ形状を維持する。それゆえ空力性能もクーペとほとんど変わらず、前後のダウンフォースバランスに至ってはクーペとまったく同じという。
走りはレーシー、そしてGT感覚。そのバランスが絶妙
チェロの特徴は、セグメント最大面積を持つ電動リトラクタブルルーフ。特殊な液体を挟み込んだガラスルーフで、スイッチひとつで瞬時に透明から不透明へと変わる。また開閉に要する時間はわずかに12秒だ。
クーペと同じバタフライドアを跳ね上げ、コクピットに潜り込む。カーボンシャシーを持つ高性能スポーツとは思えない上質な空間が広がっている。マセラティは確かにレースオリエンテッドな老舗ブランドではあるが、同時に豪華なグランドツアラーを作り続けてきた。MC20シリーズは、その両方をハイレベルで達成した初の市販モデルかもしれない。
その走りは高速道路では安定志向を貫き、ワインディングではドライバーの意のままになるというキャラクター。スポーツカー好きには好ましい二面性が存分に味わえる。630psを誇るネットゥーノエンジンはつねに頼もしく、車体を前進させる。そのうえ爽快なオープンエアモータリングが可能。MC20チェロはいま、ブランドのベストバイだろう。
マセラティMC20チェロ 主要諸元
価格=8DCT 3385万円(予価)
全長×全幅×全高=4669×1965×1218mm
ホイールベース=2700mm
車重=1540kg
乗車定員=2名
エンジン=3リッター・V6DOHC24Vターボ
最高出力kW(hp)/rpm=463kW(630hp)/7500rpm
最大トルクNm(kgm)/rpm=730Nm(74.4kgm)/5500rpm
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/35ZR20/リア:305/30ZR20
駆動方式=RWD
0→100km/h加速=3.0秒
最高速度=320km/h