ベントレー・フライングスパー 価格:8SMT 2667万4000円 試乗記
フライングスパーはベントレーのフラッグシップサルーン。新型は3rdモデルになる。
メカニカルパートの多くは、コンチネンタルGTと共通する。プラットフォームは、ポルシェが中心となって開発した大型FR車用がベースだ。フロントアクスルが旧型比でかなり前進したレイアウトになり、パワートレーンは6リッター・W12ツインターボ+8速DCT+アクティブ4WD。パワースペックは635ps/900Nm。トップスピードは333km/hの世界最速サルーンだ。
4WDシステムは新設計。旧型のフルタイム4WDは前後40対60というトルク配分だった。対して新型は通常時はFRで走行。路面状況や後輪のスリップ度合いに応じてフロントにもトルクを配分する。コンフォートモードで最大480Nm、スポーツモードで最大280Nmの駆動トルクを前輪に分配。ブレーキによるトルクベクタリング制御も行う。
連続ダンピングコントロール(CDC)を行うエアサスペンションも改良された。旧型比60%増の空気量を確保した3チャンバーエアスプリングになり、48Vシステムによって素早く正確に制御するアンチロールシステムと相まって、極上のライドフィールを提供する。
メカニカル面で最大の特徴は、新開発の電動4WS(後輪操舵)だろう。全長×全幅×全高5325×1990×1490mmの大柄な4ドアのロングホイールベースモデルながら、低速走行時の取り回し性が大幅に向上。さらに4WSは、高速走行時の安定性アップにも寄与する。
フライングスパーは、生粋のオーナーカーである。後席に座ればよくできたショーファードリブンだが、それ以上に運転が楽しい。いかにもベントレーらしい最新サルーンだ。
W12エンジンは、心地いいエンジンサウンドを奏で、滑らかにそして力強く回る。8速DCTの変速はリズミカルで、もちろんショックは皆無。リアアクスルの高いスタビリティや、ロングホイールベースを感じさせない回頭性のよさ、ステアリング操作だけで望むラインへ正確に前輪を置けるハンドリングにほれぼれした。乗り心地はもちろん全域で滑らか、かつビッグサイズであることを忘れさせる高い運動能力を有する。
適度なスピードをキープしながら、ワインディングロードをひらりひらりと駆け抜けるときの心地よさは圧倒的。スポーツカーやスーパーカーとは、ひと味違う味わいだ。
フラングスパーは、ラグジュアリークラスにおける新たなクオリティドライブを実現している。
グレード=フライングスパー
価格=8SMT 2667万4000円
全長×全幅×全高=5325×1990×1490mm
ホイールベース=3195mm
車重=2540kg
エンジン=5950cc・W12DOHC48Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=467kW(635ps)/6000rpm
最大トルク=900Nm(91.8kgm)/1350~4500rpm
WLTPモード燃費(コンビ)=6.76km/リッター
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ=フロント:265/40ZR21/リア:305/35ZR21
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最高速度=333km/h
0→100km/h加速=3.8秒
※価格を除きスペックは欧州仕様