新型ヤリスクロスはヤリスファミリーの新クロスオーバーだ。市販モデルの発売は、日本市場で2020年秋、欧州市場で2021年半ばを予定する。
ボディはハッチバックのヤリス(全長×全幅×全高3940×1695×1500mm)比で240mm長く70mmワイドで60mm高い。
メカニズムはヤリス用をリファイン。ハイブリッドの4WD仕様は後輪をモーターで駆動するEーFourを採用。
プラットフォームは最新TNGA(GAーB型)。しっかりとした走りとユーティリティを追求している。
The Rivals
クロスオーバーSUVは世界的に人気沸騰中。なかでもコンパクトクラスは、ハッチバックからの乗り換えやダウンサイズユーザーが多く、注目が高まっている。ヤリスクロスを迎え撃つライバルの一部を紹介しよう。
HONDA FIT CROSSTAR
多くのユーザーが「ガチンコ競合車」と考えるのはホンダ・フィット・クロスターだろう。
各部をたくましい印象で仕上げたフィットの新しい個性だ。クラッディング処理を含めた専用デザインは「ベース車よりも魅力的」という声をよく聞く。
魅力はパッケージング。センタータンクレイアウトを活かしたユーティリティは圧倒的。とくにリアシート回りは、コンパクトボディから想像できないほど広い。
フィット・クロスターのパワートレーンは、ガソリンが1.3リッター、ハイブリッドは1.5リッター+2モーター(e:HEV)。
お勧めはパフォーマンスと静粛性に優れたe:HEVだ。余裕ある加速性能とともに、ストローク感が増したサスペンションとエアボリュームの高いタイヤの組み合わせが、優しい乗り心地と穏やかなハンドリングを約束する。
ただし、フィット・クロスターは最低地上高がアップしているものの、走破性はさほど追求していない。あくまでも「雰囲気を楽しむクロスオーバー」と考えたほうがいい。
MAZDA CX-3
続くライバルはマツダCX-3が考えられる。
前席優先設計、パーソナルユース指向、基本コンポーネントはマツダ2がベース……といった基本キャラクターは、ヤリスクロスに近い。
CX-3は2015年のデビュー以降、適切なタイミングでリファインが行われてきた。全体として完成度は高いが、走りに関しては古さを感じる面もある。
CX-3の魅力は、クラスレスで上質な内外装。
カジュアルすぎず、適度にスポーティ、という絶妙な立ち位置はヤリスクロスにはない個性だ。
エンジンはガソリンが1.5/2.0リッター、ディーゼルは1.8リッターターボ。どれも一長一短があるがバランスがいいのはガソリン2.0リッターだ。
VW T-Cross
輸入車ではVW・Tクロスが好敵手。ポロをベースに開発されたクロスオーバーである。
特徴は遊び心を感じるエクステリアデザイン。
全長×全幅×全高4115×1760×1580mmのボディサイズと、2550mmのホイールベースは、ほぼヤリスクロスとオーバーラップする。
パワートレーンは 3気筒1リッター直噴ターボ+7速DSG。
走りはスペック以上の力強さと動力性能を誇る。
Tクロスのカッチリとしたボディ、滑らかな走りは上級車に匹敵する。
欧州仕様を含め、全車FFレイアウト。4WDが未設定なのは残念な部分だ。
最低地上高は、ポロ比で40mm高い。