BMW220iクーペMスポーツ 価格:8SAT 550万円 試乗記
際立つロングノーズ。スタイリッシュFRクーペの代表
新世代2シリーズ・クーペは、欧州では2021年7月に発表。2022年3月から日本販売がスタートした。新型もFRレイアウトをベースに仕上げられている。同じ2シリーズ・ファミリーでもアクティブツアラーやグランツアラー、そして、2019年に加わったグランクーペは、FFレイアウトが基本。つまり、2ドアクーペは別ものといっていい。いわば3シリーズの小型版といえる内容の持ち主である。
プロポーションは、ロングノーズ/ショートデッキのいかにもFR車らしい雰囲気。まずはこの点に満足する、というファンは少なくないだろう。
欧州市場ではすでにディーゼルも設定されているものの、日本仕様はガソリンで統一。ターボ付き2リッター直4ターボ(184ps)を積む220iと、Mパフォーマンスチューンの3リッター直6ターボ(387ps)を搭載したM240i・xドライブ(4WD)の2タイプ。
ワインディングで本領発揮! 素晴らしいハンドリングが味わえる
今回の主役は、220iのMスポーツ。Mスポーツは、スポーツサスペンションや可変ギア比を備える「バリアブル・スポーツステアリング」、パドルシフト、専用デザインのボディキットを標準装備。足元はベース仕様の17インチに対し、18インチのランフラット・タイヤを装着する。
全長×全幅が4545×1825mm、車両重量1530kgというスペックに、「ライトウェイト」という言葉との整合性は正直薄い。
走り初めての第一印象は、従来型に対して静粛性が大幅に増したということだった。1350rpmの低回転から300Nmの最大トルクを生むエンジンのフィーリングは素晴らしく滑らか。だがタイヤが18インチのランフラットということもあってか、揺すられ感は強い。いまひとつ車両との一体感を感じにくい点に、ちょっとばかり戸惑いを覚えた。
しかし、ワインディングロードにステージを移すと、印象は一転した。右へ左へと迫りくるコーナーをクリアしていく際の、荷重変化を思いのままにコントロールできる感覚は、バランスのいいFRレイアウトならでは。こうしたシーンでは、やはりBMWである。意のままのハンドリングが楽しめた。従来型よりやや拡大したボディサイズも、小さく感じられるようになる。
クーペを名乗りつつも、パッケージングは優秀。大人2名が十分にくつろげる後席居住性を実現している点は魅力だ。
DCTに負けず劣らず「タイトでソリッド」な駆動力の伝達感が味わえる8速ステップATの出来栄えも特筆レベルにある。
最新2シリーズ・クーペは乗るほどに「BMWならではの持ち味」を感じる。
BMW220iクーペ 主要諸元
グレード=220iクーペMスポーツ
価格=8SAT 550万円
全長×全幅×全高=4560×1825×1405mm
ホイールベース=2740mm
トレッド=フロント:1585×リア:1570mm
車重=1530kg
エンジン=1998cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=135kW(184ps)/5000rpm
最大トルク=300Nm(30.6kgm)/1350~4000rpm
WLTCモード燃費=13.3km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:225/45R18/リア:255/40R18+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
最小回転半径=5.2m
パワーウェイトレシオ=8.32kg/ps
※価格はすべて消費税)込み
撮影協力:マースガーデンウッド御殿場