ホンダ・シビック・タイプR 新車ニュース
新型は人とクルマの一体感を追求。すべてを研ぎ澄まして登場!
タイプRは、レーシングカーが持つ速さと、圧倒的なドライビングプレジャーの両立を狙ったホンダの象徴。新型シビック・タイプR(以下シビックR)が初公開された。シビックRは、NSX/インテグラに続くタイプRシリーズの末っ子として登場。いまやホンダスポーツそしてホンダの内燃機関モデルをけん引する存在だ。
旧型はタイプR初のグローバルモデルであると同時に標準仕様と並行開発されたモデルだった。ニュルFF最速のパフォーマンスと走る道を選ばない性能により、国内外で高い評価を獲得。その実力は販売台数にも表れ、タイプR史上最も売れたモデルとなった。その後継が、11thシビックをベースにした新型だ。
標準車と並行開発した経緯は旧型と同じ。注目点のひとつは、開発責任者(LPL)の柿沼秀樹氏が継続して担当していること。もうひとつは、熟成方向の進化を果たした点だ。つまり、ホンダの伝統“過去を振り返らない”ではなく、「己を超える」が目標なのだ。
柿沼氏は「タイプRなので『速い』のは当たり前ですが、本当にクルマを信頼できているのか? 本当にドライバーのコントロール下にあるのか? 本当に意のままの走りはできているのか? その実現のために、潜在能力を「研ぎ澄ます」、そして人とクルマの「一体感」という部分に注力して開発を行いました」と語る。
2リッター直噴VTECターボはさらにパワフルに変身! すべてがRスペック
エクステリアは精悍。標準シビックとの共通部分はルーフとフロントドアのみと、旧型以上に専用アイテムで構成している。先代は機能をカタチで表現するが故にガンダムチックなフォルムになったが、新型は機能とデザインを両立させる造形に挑戦した。
その仕上がりは、チューニングカーからリアルスポーツに生まれ変わったように洗練されている。リアウイングをはじめとするエアロパーツが控えめな形状なのは、車両トータルで空力操安が実現できている証拠だろう。ボディサイズは全長×全幅×全高4615×1890×1405mm(編集部調べ)で、標準シビックよりも65mm長く、90mmワイド、そして10㎜低い。
インテリアの基本デザインは標準車に準ずるが、タイプR伝統のブラック/レッドのコーディネ ートを継承。アルカンターラ巻きステアリングやアルミ製シフトノブ、スポーツシート、アルミ/偏光ガンメタの加飾などの専用アイテムをプラス。コーディネイトが秀逸でスポーツ性に加え、プレステージ性も高められた。
個人的に気に入ったのは専用メーター。ドライブモードがスポーツ/コンフォートではアナログ表示(針はタイプR伝統の黄色)、+Rモードを選ぶとレーシングカーを彷彿とさせる専用グラフィックに変化する。
エンジンは旧型と同じ2リッター直噴VTECターボ。ターボチャージャー効率向上やイナーシャ低減により、ポテンシャルアップを実施している。出力は正式発売まで未公表だが、旧型比でパワーウェイトレシオと最高速が向上している旨が公言されている。旧型の320ps/400Nmがどこまでファインチューンされているのか期待が高まる。トランスミッションは6速MT専用。エンジン同様、旧型の改良版で、高トルク対応、シフトフィール/ブリッピング性能向上(軽量フライホイール&レブマッチシステム進化)などが行われた。
シャシーは現行のグローバルプラットフォームの進化版だ。リア回りの剛性アップは、タイプRにもフィードバックされている。ちなみに構造用接着剤塗布量は先代比3.8倍、強靭なだけでなくしなやかさも備えた車体に仕上がった。 サスペンションはジオメトリーの最適化と各部の剛性見直しで、キャンバー剛性を旧型比16%アップ。ZF製電子制御ダンパーやスプリングは新型専用の調律である。
大きく変わったのはタイヤだ。245/30R20(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト6)から265/30R19(ミシュラン・パイロットスポーツ4S)に変更。スポーツモデルでインチダウンは珍しいが、このあたりも性能へのこだわりに違いない。ブレーキは旧型同様、ブレンボ製モノブロックキャリパー+2ピースタイプのローターの組み合わせだ。
柿沼氏は昨年の暮れにドイツ・ニュルブルクリンクへテストに行っている。その際の印象を聞くと「走らせてみて、ニヤニヤしました」と語ってくれた。タイムアタックは行っていないようだが、「タイム更新への感触は得られた」という。久々となる「熱血」ホンダスポーツに期待大である。