残念ながら受注停止中。安定供給を期待したい全面刷新レクサスNXのPHEV、450h+のアピール力

レクサスNX450h+バージョンL 価格▷THS 714万円 試乗記

PHEVの450h+は2.5リッターエンジン(185ps)と2モーター(フロント:182ps/リア54ps)で構成 システム総合出力は309ps 駆動方式は4WD

PHEVの450h+は2.5リッターエンジン(185ps)と2モーター(フロント:182ps/リア54ps)で構成 システム総合出力は309ps 駆動方式は4WD

2代目NXの電動化比率は80%に到達。PHVは全体の10%

 2nd・NXは2021年10月デビュー。新型は現在、生産能力を大幅に上回る注文により受注停止となっている。半導体不足などの要因もあるが、世界各国で新型NXに関心を持つユーザーが多いことを物語っている。

 購入者はレクサス車からの買い替えが最も多く、年齢層は比較的若め。40代以下が約4割を占めている。グレード比率は、Fスポーツが50%、バージョンLが45%、標準が5%だという。
 新型NXのパワートレーンは、駆動方式の区別も含めると計6タイプをラインアップする。レクサス初となるPHEVの設定も新型のポイントのひとつだ。
 2014年に登場した1st・NXの電動車比率は50~60%だった。新型NXの、これまでの受注の内訳は、HEVが70%、PHEVが10%、ガソリンが20%。電動化比率は約80%に達している。その中で最も気になるのは、やはりPHEVだ。
 テスト車は、PHEVの450h+・バージョンLである。

新型はスマホ操作で遠隔駐車が可能な「アドバンスドパーク」など最新機能を満載 人気は絶好調 40代以下がユーザー全体の約4割を占めHEV/PHEVを含めた電動車比率は約80% グレードはFスポーツ/バージョンL/標準の順に選ばれている

新型はスマホ操作で遠隔駐車が可能な「アドバンスドパーク」など最新機能を満載 人気は絶好調 40代以下がユーザー全体の約4割を占めHEV/PHEVを含めた電動車比率は約80% グレードはFスポーツ/バージョンL/標準の順に選ばれている

スタイリングはイメージこそキープコンセプトだがボディのボリューム感が増し上質で先進的な造形に進化 全長×全幅×全高4660×1865×1660mm

スタイリングはイメージこそキープコンセプトだがボディのボリューム感が増し上質で先進的な造形に進化 全長×全幅×全高4660×1865×1660mm

スピンドルグリルはレクサスの大切なアイデンティティ NXは下側にスリットを配置 冷却性能を高めた大型形状

スピンドルグリルはレクサスの大切なアイデンティティ NXは下側にスリットを配置 冷却性能を高めた大型形状

ヘッドライトはシャープな印象のフルLED バージョンLは特徴的な3眼形状

ヘッドライトはシャープな印象のフルLED バージョンLは特徴的な3眼形状

235/50R20タイヤ+切削光輝7.5Jアルミ標準 アルミは数種のデザインが選べる 最低地上高185mm

235/50R20タイヤ+切削光輝7.5Jアルミ標準 アルミは数種のデザインが選べる 最低地上高185mm

リアランプは左右連結デザイン 伝統のLシェイプ形状で構成するLED仕様

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PHEVは2487㏄直4DOHC16V(185ps)+モーター(フロント:182ps/リア:54ps)+大容量リチウムイオンバッテリーで構成 一充電時EV航続距離は89km

PHEVは2487㏄直4DOHC16V(185ps)+モーター(フロント:182ps/リア:54ps)+大容量リチウムイオンバッテリーで構成 一充電時EV航続距離は89km

新型が後席ユーティリティが大幅向上。PHEVは力強い!

 新型は、スタイリングこそキープコンセプトだが、中身はプラットフォームまで正真正銘の全面刷新となる。
 インテリアの雰囲気はだいぶ変わった。見てのとおり、非常に大きな画面(14.1インチ)が配された。プレミアムブランドらしい高級感と先進性を感じさせる空間が構築されている。
 新たな試みとして、ドアオープナーの機構が、押して開ける電動タイプの「eラッチ」になった。後方から迫る車両や自転車などがある場合には、開かないようにする安全機能も備えている。ただし、オーナーはすぐに慣れるが、初めての人には開け方がわかりにくそう。家族以外を乗せたときには、ひと声かけるといいだろう。

 運転環境は良好である。視界や表示系の視認性、スイッチ類の操作性など、いろいろと気配りされていることがうかがえる。インフォテインメント系も含め、新しくなりすぎて少々戸惑ってしまう部分もなくはないが、慣れればなんとかなる。機能としては極めて充実している。

 後席については、ずいぶん広くなったというのが第一印象。旧型では「後席スペースの関係でRXを選んだ」というユーザーも多かったと聞く。新型は、「これならRXでなくても大丈夫」というユーザーが増えるに違いない。後席背もたれは2段階のリクライニングが可能。ごく普通の6対4分割可倒式で、中央部分のトランクスルーは未対応だ。
 リアピラーにある小窓は、後席乗員にとっては開放感を高める効果があり、ドライバーにとっては後方視界を少しでも助けるよい仕事をしている。

 乗降性については、足がスムーズに出し入れできるようにシートの角を取ったり、ドア内張りの一部をえぐったりしているほか、サイドシルも足がひっかかりにくい形状に仕上げている。さらにサイドシル段差を感じさせないように巧みに面取りされているなど、細やかに配慮されている。
 ラゲッジは十分なスペースがある。左右のタイヤハウスの存在を感じさせないほど、きれいで使いやすい形状である。1500W電源が設定されているのはうれしい。
 フロア下は、向かって左側に補機用12Vバッテリーが置かれており、右側に充電ケーブルなどを入れるためのスペースが用意されている。

 走りは好印象。レスポンスがよく力強い加速は、なかなかインパクトがある。同じシステムを搭載するRAV4もそうだったように、リニアに応答するので非常に扱いやすい。そのあたりのドライバビリティの高さはHEVの450hをだいぶ凌ぐ。その強みを生かして、ACCの前車への追従がもう少し俊敏だとなおよかったことを、数少ない気になった点として挙げておきたい。

 EV航続距離は約90kmと十分なレベル。日常使いならすべてEV走行で済ませるような使い方もできる。
 カーナビで目的地を設定すると、より効率のよい走りを実現するために、バッテリー残量や道路の特性に応じて自動的にEV走行とHV走行を切り替える「先読みエコドライブ」の採用が新しい。遠出するときに重宝しそうだ。
 ちなみにエンジンがかかったときも高い静粛性はキープされる。エンジン音は低めで、騒々しい印象はない。安っぽい感じがしないあたりもこだわって開発された背景がうかがえる。

 すっきりとしたステアリングフィールも好印象。とくに戻す側の操作とクルマの動きがぴったりと一致している。無駄な動きが出にくく、修正をあまり必要としない。
 足回りの印象も上々だ。GA-Kプラットフォームの改良版は剛性感が高い。サスペンションのストローク感もあり、挙動が把握しやすい点がいい。スポーティでありながら快適性にも優れる。しなやかなバージョンLと、AVSが与えられたFスポーツでは味が異なるが、どちらもよくできている。
 最終的なグレード選びとなると、本気で悩みそうだ。

室内はモダンな先進デザイン 手綱1本で 意思疎通を図る人と馬に着想を得た「TAZNAコンセプト」を導入 大型TFTメーターとセンターディスプレイを一体化 スイッチの集約で優れた操作性を実現

室内はモダンな先進デザイン 手綱1本で 意思疎通を図る人と馬に着想を得た「TAZNAコンセプト」を導入 大型TFTメーターとセンターディスプレイを一体化 スイッチの集約で優れた操作性を実現

シート

シートは良好な座り心地と安定した着座姿勢を実現した本革仕様 新型は後席の居住性が大幅にアップ 足元はもちろん頭上空間も余裕たっぷり

シートは良好な座り心地と安定した着座姿勢を実現した本革仕様 新型は後席の居住性が大幅にアップ 足元はもちろん頭上空間も余裕たっぷり

TFTメーターは情報が瞬時に確認できる構成 ヘッドアップディスプレイ標準

TFTメーターは情報が瞬時に確認できる構成 ヘッドアップディスプレイ標準

セレクターはクリック感を強調したシフトバイワイヤ式 操作性良好

セレクターはクリック感を強調したシフトバイワイヤ式 操作性良好

ACCはカーブを検知すると自動的に速度を抑制する最新仕様

ACCはカーブを検知すると自動的に速度を抑制する最新仕様

ドアオープナーはワンモーションで開閉できる電動「eラッチ」

ドアオープナーはワンモーションで開閉できる電動「eラッチ」

荷室は後席使用時520リッター/最大1411リッターの大容量 後席は6対4分割 リアゲートは電動式

荷室は後席使用時520リッター/最大1411リッターの大容量 後席は6対4分割 リアゲートは電動式

PHEVの450h+はバージョンLとFスポーツ(738万円/写真)を設定 Fスポーツはパフォーマンスダンパー&AVS標準のスポーティ仕様

PHEVの450h+はバージョンLとFスポーツ(738万円/写真)を設定 Fスポーツはパフォーマンスダンパー&AVS標準のスポーティ仕様

通知表/レクサスNX450h+バージョンL 価格:THS 714万円
総合評価
総合評価:82点

Final Comment
すべてに実感する高い完成度と深い味わい
プレミアムブランドらしい「おもてなし」が味わえる

 デビューしたばかりなのに、すでに一度マイナーチェンジを経験したかのような熟成感を感じた。それほど各部の完成度が高い。新型のよさは、旧型ではやや気になった後席の居住性や硬さを感じた乗り心地の改善というわかりやすい要素だけでなく、言葉ではなかなか表現しにくい、全体を通じてのまとまりのよさにも表れている。丁寧に綿密に仕上げられたことが伝わってくる。とくにPHEVの450h+はそれが顕著。乗れば誰しもそのよさを直感できるはずだ。

快適性能

動力性能

魅力

コース

レクサスNX450h+ 主要諸元と主要装備
真横
グレード=450h+バージョンL
価格=THS 714万円
全長×全幅×全高=4660×1865×1660mm
ホイールベース=2690mm
トレッド=フロント:1605×リア:1625mm
最低地上高=185mm
車重=2010kg
エンジン(プレミアム仕様)=2487cc直4DOHC16V
最高出力=136kW(185ps)/6000rpm
最大トルク=228Nm(23.2kgm)/3600~3700rpm
モーター最高出力=フロント:134kW(182ps)/リア:40kW(54ps)
モーター最大トルク=フロント:270Nm(27.5kgm)/リア:121Nm(12.3kgm)
駆動用バッテリー=リチウムイオン
総電力量=18.1kWh
WLTCモードEV走行換算距離=88km
WLTCモードハイブリッド燃費=19.8km/リッター(燃料タンク容量55リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:17.5/21.2/20.1km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/50R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.8m

主な燃費改善対策:アイドリングストップ/プラグインハイブリッド/電気式無段変速機/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/充電制御
主要装備:レクサスセーフティシステム+(プリクラッシュセーフティ+レーンディパーチャーアラート+レーントレーシングアシスト+全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール+ロードサインアシスト+発進遅れ告知機能+ドライバー異常時対応システム+プロアクティブドライビングアシスト+アダプティブハイビーム)/ブラインドスポットモニター/eラッチドアハンドル/先読みエコドライブ/アクティブコーナリングアシスト/クリーナー付き3眼フルLEDヘッドライト/20インチランフラットタイヤ&アルミ/パワーイージーアクセスシステム/インテリアイルミパッケージ/リモートエアコン/ドライブモードセレクト/レクサスクライメイトコンシェルジュ/TFT液晶メーター/カラーヘッドアップディスプレイ/ステアリングヒーター/本革シート/14インチディスプレイオーディオ(コネクテッドナビ対応)/ETC2.0ユニット/レクサスNXプレミアムサウンドシステム/アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)/ハンズフリーパワーバックドア/イモビライザー&侵入センサー/アッシュ・ドアトリムオーナメントパネル/ITSコネクト
装着メーカーOP:パノラミックビューモニター+パーキングサポートブレーキ(後方歩行者)+緊急時操舵支援+Ⓕクロストラフィックアラート+レーンチェンジアシスト9万5700円/LEXUS Teammateアドバンストパーク+パーキングサポートブレーキ(周囲静止物)13万9700円/別体型ディスクプレーヤー18万1500円/ルーフレール3万3000円/デジタルキー3万3000円/ムーンルーフ11万円/おくだけ充電1万3200円/充電ケーブル(AC200V・15m)8800円/デジタルインナーミラー4万4000円/寒冷地仕様1万8400円
ボディカラー:ソニッククロム
※価格はすべて消費税込み ※リサイクル費用は1万3150円

エンブレム

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