独フォルクスワーゲンは7月20日(現地時間)、Cセグメントの新型コンパクトEV「ID.3(アイディ.3)」の予約受注を欧州市場で開始した。
ID.3は、フォルクスワーゲンの新世代プラットフォームのMEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリックス)をベースとした最初の量産電気自動車である。パワーユニットとなる電動モーター(93kW、107kW、150kW仕様を用意。最大トルクはいずれも310Nm)はリアアクスルにレイアウトされ、1速ギアボックスを介して後輪を駆動する。アンダーボディに配する駆動用リチウムイオンバッテリーは航続距離が最大330km(WLTPモード)の容量45kWh、最大420km(同)の容量58kWh、最大550km(同)の容量77kWhを設定。充電については、AC(交流)、三相交流、DC(直流)で充電でき、出力100kWおよび125kWの急速充電に対応している。
エクステリアについては、四隅に配した大径タイヤや流れるようなボディパネルなどによって新時代の2ボックススタイルを構築する。各部のデザインにも工夫を凝らし、冷却用グリルを必要としないフロントフェイスではマトリックスLEDヘッドライトなどを大胆にアレンジしてオリジナリティあふれるマスクを創出。サイドビューでは、短い前後オーバーハングやダイヤモンド形状の“ID.ハニカム”フォイルを設置したCピラーなどがアピールポイントとなる。そしてリアセクションでは、ダークカラーのガラス製トランクリッドや水平方向に配したLEDコンビネーションランプなどで個性を際立たせた。ボディサイズは全長×全幅×全高4261×1809×1552mm/ホイールベース2765mmで、DIN規格に準拠した車両重量は1650kg~。また、前面投影面積は2.36㎡、空気抵抗係数(Cd値)は0.267という優秀な数値を実現した。
インテリアに関しては、短いオーバーハングやロングホイールベース、そしてパワートレイン系のセンタートンネルがないというメリットを活かし、クラスの新基準となる広くて快適なキャビン空間を具現化する。インパネはスリークかつ実用性に優れる水平基調で構成し、中央には重要なすべての情報を表示する新開発の10インチタッチディスプレイを組み込んだ。また、10タイプのカラー設定が可能なアンビエントライト「ID.Light」と先進の空調システムである「エア・ケア・クリマトロニック」を設定。最新のインフォテインメントシステムやアシスタンスシステムなども豊富に装備している。
予約受注については、まず最高出力107kWの電動モーターに58kWhのバッテリーを搭載した「Pro Performance(プロ・パフォーマンス)」と最高出力150kWの電動モーターに77kWhのバッテリーを搭載した「Pro S(プロS)」から開始。最高出力93kWの電動モーターに45kWhのバッテリーを搭載したベーシック仕様の「Pure(ピュア)」は、数カ月遅れて受注を始める予定だ。なお、車両価格はPro Performanceのベースモデルで3万5574.95ユーロ(約440万円)~、Pro Sのベースモデルで4万936.31ユーロ(約506万円)~に設定。ドイツ本国では最大9480ユーロ(約117万円)の補助金の対象車種となり、またほかの多くの欧州地域でも助成金を活用できるという。