2010年式メルセデス・ベンツSLK350 新車時価格:7SAT 754万円 試乗記
バリオルーフ標準。SLKはSLの魅力を身近にした存在
SLは、メルセデス伝統のラグジュアリースポーツ。ルーツは1952年に登場したレーシングカーの300SL。1954年のニューヨーク・ショーで市販版の「ガルウイング」がデビューし、世界中のマニアの羨望を集めた。以来、SLは「人生の目標になるクルマ」として独自のポジションを確立している。1996年にはCクラスのメカニカルコンポーネンツを活用したSLKが誕生。SLの世界をグッと身近なものにしたのはご存じの通りだ。
SLKの魅力は、メルセデスならでは上質さとスタイリッシュさの融合にある。ルーフは1台でクーペの洗練とオープンの爽快感が味わえるバリオルーフ。スイッチ操作だけで大変身するシステムは完成度が高い。取り回しに優れたサイズもフレンドリーである。Cクラスがベースなだけに走りの実力は一級品。SLKはSLCにネーミングを変更後、2020年に販売を終了したが、その価値は再び高まっている。
鮮烈ロングノーズ。走りはピュアスポーツ!
対面したSLKは2ndモデルの後期型。3.5リッターのV6DOHC24V(305ps/350Nm)を搭載した主力グレードの350だ。スタイリングはFRレイアウトらしいロングノーズ。当時のスーパースポーツSLRマクラーレンを彷彿させる個性的なマスクが目を射る。ボディサイズは全長×全幅×全高4110×1810×1300mm。マツダ・ロードスター(同3915×1735×1235mm)よりひと回り大きい程度。日本の道路環境でも使い勝手がいい。
室内は胸躍る演出でまとめられている。シートは真紅の本革仕様。フルオープンでも不快な風の巻き込みを防ぐキャビン構成はもちろん、シートヒーターに加え、首元からも温風が出るエアスカーフなどSLKならではのこだわりが満載だ。
走りはピュアスポーツ。車重1500kgに対して最高出力305psだから、パワーウェイトレシオは4.92kg/psと優秀。7速ATとのマッチングもよく、街中/高速/ワインディングロードまで、まさに思いのままのパフォーマンスが満喫できた。ちなみに「SL」とは、ドイツ語で軽量スポーツを意味する「Sport Leicht」の略。SLK350は、兄貴分のSL350比で280kgも軽い。スポーツカーという意味でSLKは、ルーツの300SLの正統後継車といえる。
ハンドリングも優秀だ。ドライバーの腰の位置を軸に曲がっていくフィーリングが心地いい。2ndモデルはオープン時のボディ剛性が、1stモデル比で曲げで約20%、ねじりで約40%も向上している。そのため、しっかりとした印象が強い。
SLKは、飛ばしてもいいが、ゆったりとクルージングしても実に味わい深かった。SLKは円熟味を増した大人に似合う最高のパーソナルオープンである。
メルセデス・ベンツSLK350主要諸元
グレード=SLK350
新車時価格=7SAT 754万円
全長×全幅×全高=4110×1810×1300mm
ホイールベース=2430mm
トレッド=フロント:1525×リア:1550mm
車重=1500kg
エンジン=3497cc・V6DOHC24V(プレミアム仕様)
最高出力=224kW(305ps)/6500rpm
最大トルク=360Nm(36.7kgm)/4900rpm
10・15モード燃費=9.1km/リッター(燃料タンク容量70リッター)
サスペンション=フロント:3リンク/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:225/45R17/リア:245/40R17+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2名