【最新モデル試乗】フィットの新たな個性、SUVテイストのクロスターが人気を集める理由

フィットe:HEVクロスター(FF) クロスターは専用フロントマスクとクラディングパーツでたくましい印象をアピール e:HEVハイブリッド(228万8000円・FF)と1.3リッターガソリン(193万8200円・FF)を設定 FF車の最低地上高は160mm
フィットe:HEVクロスター(FF) クロスターは専用フロントマスクとクラディングパーツでたくましい印象をアピール e:HEVハイブリッド(228万8000円・FF)と1.3リッターガソリン(193万8200円・FF)を設定 FF車の最低地上高は160mm

ホンダ・フィットe:HEVクロスター(FF) 価格:228万8000円 試乗記

力強いスタイル。ワイドな視界で抜群に運転しやすい!

 フィット・クロスターはフィットのリファイン版。ヤリスと基本コンポーネントを共用しつつも「別のクルマ」として開発されたヤリスクロスと比べるとオリジナル度はやや薄い。だが、そもそもフィットは多様性・万能性をコンセプトに開発されている。「チョイ足し」でもクロスターは十分に魅力的な商品に仕上がった。

 エクステリアは、シリーズ唯一のグリル付きフロントマスクとボディ下部のクラッディング処理、専用デザインの 16インチアルミが印象的。SUVらしいアクティブ感と精悍性がプラスされている。
 ボディサイズは全長×全幅×全高4090×1725×1545mm。専用デザインにより、標準車に対して全長は95mm長く、全幅は30mm拡大。フィット初の3ナンバーボディとなる。取り回し性能は標準車と同等。日本車で最も取り回し性に優れた1台だ。全高は専用サスペンションと16インチタイヤの採用で30mmアップ。それでも一般的なタワーパーキングが利用できる(ルーフレール付きは全高1570mmとなりNG)。
 ボディカラーは豊富。個人的にはブラックルーフの2トーンカラーが「SUVらしさ」を増してくれるのでお勧めだ。

 インテリアはフィットと共通形状。ファブリック調パッドや撥水加工が施された専用シート表皮などによりアクティブなイメージをプラス。魅力はワイドな視界。水平基調で余計な突起を廃したインパネと新構造のフロントピラー、そしてワイパーレイアウトの工夫で生まれた圧倒的な〝視界のよさ〟は実に気持ちいい。着座ポジションが高いクロスターは、標準車以上の安心感と開放感が得られる。

クロスターは4thフィットの新たな個性 4thモデルは定評ある優れた性能・機能を基本に数値では表現できない「心地よさ」を追求 クロスターのメカニズムは大径タイヤを除き基本的に標準フィットと共通 ボディは3ナンバー仕様
クロスターは4thフィットの新たな個性 4thモデルは定評ある優れた性能・機能を基本に数値では表現できない「心地よさ」を追求 クロスターのメカニズムは大径タイヤを除き基本的に標準フィットと共通 ボディは3ナンバー仕様

抜群のユーティリティに驚いた! e-HEVはシームレスな走りが魅力

 パッケージングは超優秀。フィット伝統のセンタータンクレイアウトを活かしたユーティリティは、クラス水準を大幅に凌ぐ。とくにリアシート回りはクラスレスの広々サイズ。ラゲッジスペースも驚くほど広い。

 シートは上質だ。シートは歴代フィットのウイークポイントだったが、新型は前席にMAT構造と高密度クッションを用いたボディスタビライジングシートを採用。後席は厚みのあるパッドの効果で、長時間乗車でもお尻が痛くならなくなった。

 パワートレーンは標準フィットと同じ1.3リッターのガソリン(98ps)と、1.5リッター(98ps)+2モーター(109ps)のハイブリッド(e:HEV)が選べる。ガソリンは街乗り中心であればパワーは十分。だが、オールラウンド性という意味で本命はe:HEVだ。
 e:HEVは基本的にエンジンを発電用に使い、駆動はモーターで行うシリーズ式。高速クルーズ時にはエンジン走行を行う効率重視の独自システム。モーター最大トルクは253Nmと、1.5リッターターボに匹敵する。

 走りはスムーズで洗練された印象。発進時はモーター特有の「ドーピング的な力強さ」がない。そして車速とエンジン回転数の連動感を重視した制御により、まるでよくできたガソリン車のようにシームレスで滑らかに走る。状況によってはモーター走行扌ハイブリッド走行の切り替えに気付かない。これを「電動感がない」と見るか、「ガソリン車から乗り換えても違和感がない」と見るか。ボクの評価は後者だ。

ボディはサスペンション支持部を補強した高剛性仕様 4WDシステムは後輪をプロペラシャフトで駆動する本格設計 ルーフレールはオプション
ボディはサスペンション支持部を補強した高剛性仕様 4WDシステムは後輪をプロペラシャフトで駆動する本格設計 ルーフレールはオプション

大人っぽい乗り味が個性。クロスターはフィットの新たな中心

 駆動方式はFFと4WDの2種。4WDはこのクラスに多い電気モーターを用いた簡易型ではなく、後輪をプロペラシャフトで駆動する。これはSUVとして評価すべきポイントだろう。

 フットワークはどうか? 標準車に対してストローク感が増したサスペンションと、エアボリュームの高いタイヤの組み合わせにより、標準車よりも当たりの優しい快適性が持ち味。ロールを上手に活かした穏やかなハンドリングと、しなやかな乗り味。大人っぽさが印象的だった。
 最低地上高は、FFが標準車比25mm高い160mm、4WDは同5mm高い155mm。相応の高さを確保しているが、車両キャラクターはあくまでもオンロード優先だ。

 フィット・クロスターの「ライトなクロスオーバー」というキャラクターは標準車以上に魅力的。ズバリ、フィット・ファミリーの新たな「柱」となる 1台だ。

視界は超ワイド シンプル形状のインパネと相まって開放感はハイレベル 車両感覚が把握しやすく運転しやすい 写真の9㌅ナビはディーラーop(20万5543円)
視界は超ワイド シンプル形状のインパネと相まって開放感はハイレベル 車両感覚が把握しやすく運転しやすい 写真の9㌅ナビはディーラーop(20万5543円)
シートは前後ともクッション性を高めた快適仕様 クロスターのファブリックはグレーのアクセント入り撥水処理済み 乗り心地快適 室内長1955mm
シートは前後ともクッション性を高めた快適仕様 クロスターのファブリックはグレーのアクセント入り撥水処理済み 乗り心地快適 室内長1955mm
後席座面をチップアップすると観葉植物など背の高い荷物が積める
後席座面をチップアップすると観葉植物など背の高い荷物が積める
センタータンクレイアウトならではのユーティリティが魅力 荷室は後席を立てた状態でも大容量 倒すとワゴン並みの空間出現
センタータンクレイアウトならではのユーティリティが魅力 荷室は後席を立てた状態でも大容量 倒すとワゴン並みの空間出現
大開口リアゲートは手動開閉式 低いラゲッジフロアを有効に活用できる実用設計 
大開口リアゲートは手動開閉式 低いラゲッジフロアを有効に活用できる実用設計 
メーターはバイザーレスのフル液晶 表示が大きく視認性に優れたシンプル形状 表示モードが選べる
メーターはバイザーレスのフル液晶 表示が大きく視認性に優れたシンプル形状 表示モードが選べる
アダプティブクルーズコントロールは便利な全車速対応タイプ 操作性良好
アダプティブクルーズコントロールは便利な全車速対応タイプ 操作性良好
トランスミッションは電気式 加速時に巧みな制御で爽快なフィール演出 マニュアルモード未設定
トランスミッションは電気式 加速時に巧みな制御で爽快なフィール演出 マニュアルモード未設定

ホンダ・フィットe:HEVクロスター(FF) 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=e:HEVクロスター(FF)
価格=228万8000円
全長×全幅×全高=4090×1725×1545mm
ホイールベース=2530mm
トレッド=フロント1495×リア1485mm
最低地上高=160mm
車重=1200kg
エンジン=1496cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=72kW(98ps)/5600~6400rpm
最大トルク=127Nm(13.0kgm)/4500~5000rpm
モーター最高出力=80kW(109ps)/3500~8000rpm
モーター最大トルク=253Nm(25.8kgm)/0~3000rpm
WLTCモード燃費=27.2km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(市街地/郊外/高速道路=27.0/29.7/25.8km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=185/60R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.0m
●主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/アトキンソンサイクル/アイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
●主要装備:ホンダセンシング(衝突被害軽減ブレーキ+前後誤発進抑制機能+歩行者事故低減ステアリング+路外逸脱抑制機能+渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール+車線維持支援システム+オートハイビーム+先行車発進お知らせ機能+標識認識機能)/パーキングセンサー/サイドカーテンエアバッグ/フルLEDヘッドライト/セキュリティアラーム/高輝度シルバー塗装電動格納式ドアミラー/LEDポジション&ターンランプ/CROSSTAR専用エクステリア(フロントグリル+前後バンパー+ホイールアーチプロテクター+サイドシル&ドアロアガーニッシュ)/マイクロアンテナ/電動サーボブレーキ/VGR(可変ステアリングギアレシオ)/専用デザイン16インチアルミ/ホンダコネクト+ナビ装着用スペシャルパッケージ/4スピーカー/フルオートAC/AC用フル電動コンプレッサー/充電用USBジャック/撥水ファブリックシート/撥水ファブリックソフトパッド/スマートフォントレー/プラチナ調クロームメッキインナードアハンドル&ACアウトレットノブ/チップアップ&ダイブダウン機構付き6対4分割リアシート/後席センターアームレスト/助手席シートバックポケット
●装着メーカーop:ルーフレール4万4000円/コンフォートビューパッケージ3万3300円
●ボディカラー:サーフブルー&ブラック(op6万500円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は9240円

クロスターは前後大型バンパー採用 各部のブラック処理がアクセント演出 ロアガーニッシュはop
クロスターは前後大型バンパー採用 各部のブラック処理がアクセント演出 ロアガーニッシュはop
185/60R16タイヤ+専用形状アルミ標準 クロスターの足回りは標準車比で骨太でしなやかな印象 最小回転半径は5.0m
185/60R16タイヤ+専用形状アルミ標準 クロスターの足回りは標準車比で骨太でしなやかな印象 最小回転半径は5.0m
e:HEVは1496cc直4DOHC16V(98ps/127Nm)+2モーター(109ps/253Nm)で構成 エンジンを発電と高速走行に使用するシステム 駆動用バッテリーはラゲッジフロア下に配置 走りはスムーズ WLTCモード燃費:27.2km/リッター
e:HEVは1496cc直4DOHC16V(98ps/127Nm)+2モーター(109ps/253Nm)で構成 エンジンを発電と高速走行に使用するシステム 駆動用バッテリーはラゲッジフロア下に配置 走りはスムーズ WLTCモード燃費:27.2km/リッター
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