日産エクストレイル 価格:319万8800~504万6800円 試乗記
最新e-POWER+e -4ORCE。4thモデルは強力な武器で完全武装
2020年に発表された事業構造計画「NISSAN NEXT」の会見で、内田誠社長兼CEOは「積極的な新車投入」を公言。その中の1台がローグだった。
ローグの導入から約2年、ローグの日本版、新型エクストレイルがようやく発売された。「なぜ、ここまで遅い?」という意見も聞くが、日本仕様はVC(可変圧縮比)ターボを組み合わせた新世代e-POWERという「強力な武器」の開発に時間がかかったためだ。
外観は1st/2ndのボクシーさと従来型のアーバンさを巧みなバランスで融合。インテリアは乗用車テイストを高めた印象で、最新の日産車に共通する「先進性」とSUVらしい「堅牢」を融合させたデザインである。
メカニズムは全面刷新。パワートレーンは1.5リッター・VCターボ(可変圧縮エンジン)と次世代e-POWERの組み合わせ。FFも選べるが、高出力化された前後駆動用モーターを備える4WDが主力。4輪の駆動力を綿密に最適制御するe-4ORCE(イーフォース)もアリアに続いて採用した。
実際に走らせると、常用域はほぼEV感覚。エンジンが始動してもほぼその存在を感じない。加速時は大排気量並みのモータートルクによる力強さに加えて、その力強さが続く伸びのよさを実感する。ドライバーの意思どおりに走るリニアで自然なフィーリングは印象的だ。静粛性もハイレベル。VCエンジンの特性を活かした制御に加えて、車体側の吸音・遮音性能も高く、エクストレイルとは思えない静粛性を手に入れている。
フットワークも大きく進化した。プラットフォームはルノー/日産/三菱アライアンスで共同開発された新開発のCMF-CDを採用。サスペンションやステアリング系も一新されている。
旧型はクルマとしてのバランスは悪くなかったものの、ハンドリングも快適性も「並」レベルだった。新型はクラストップといっていい仕上がり。具体的には「SUVを忘れるハンドリング」と「プレミアムセグメントに匹敵する質の高い快適性」が味わえる。基本性能の高さとe-4ORCEの相乗効果だが、「機械が曲げている」という感じはなく、運転が上手くなったと感じる正確無比な走りが心地いい。
快適性は速度が増すにつれてアタリが優しいフラットな乗り心地である。常用域の荒れた路面など若干コツコツするシーンもあるが、さほど気にならない。
新型はエクストレイルのDNAの「タフギア」に加えて、最新SUVに求められる「上質さ」、そして日産独自の「先進技術」がバランスよく盛り込まれている。待たされた甲斐がある1台だ。
日産エクストレイル主要諸元
グレード=X-e-4ORCE(3列シート)
価格=393万300円
全長×全幅×全高=4660×1840×1720mm
ホイールベース=2705mm
トレッド=フロント:1585/リア:1590mm
最低地上高=185mm
車重=1880kg
エンジン=1496cc直3DOHC12Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=106kW(144ps)/4400~5000rpm
最大トルク=250Nm(25.5kgm)/2400~4000rpm
モーター最高出力=フロント:150kW(204ps)/4501~7422rpm/リア:100kW(136ps)/4897~9504rpm
モーター最大トルク=フロント:300Nm(33.7kgm)/0~3505rpm/リア:195Nm(19.9kgm)/0~4897rpm
WLTCモード燃費=18.3km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(市街地/郊外/高速道路:16.1/19.9/18.4km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=235/60R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=5.4m