アストンマーティンDBX 価格:2500~3119万円 試乗記
DBXは英国の名門の伝統を継承。エンジンはAMG製ツインターボ
これから今年後半にかけて、スーパーSUVの最終決戦が始まる。スーパーカー・ブランドによる運動性能に優れたハイエンドSUVが次々にデビューするのだ。
英国の老舗、アストンマーティンはすでに自社製オリジナルSUV、DBXを2019年にローンチ済み。標準モデルに加え、高性能版の707を今年2月にリリースし、ライバルを迎え討つ準備を整えた。ちなみにこれまでのグレードは550を名乗る。数字の意味するところはズバリ最高出力。4リッター・V8ツインターボはそれぞれ707psと550psをマークする。
スタイリングはアグレッシブ。高出力エンジンに対応した冷却性能アップのため、707は大型フロントグリルを採用。加えてトランスミッションシステムが異なる。550には9速トルコンATを積んだが、707にはトルコンレスの湿式マルチプレート・シングルクラッチシステムを採用した。このあたりは、メルセデスAMGの技術を応用している。
強力なパワートレーンを生かすも殺すもシャシー次第。550のそれはSUV離れした高いポテンシャルを誇っていたが、707ではコントロール性をさらに機敏に仕立てるために、サスペンション構成パーツの変更、リアトラックの拡大、さまざまな電子制御システムの改良、そしてブレーキパフォーマンスの向上を実施。存分に手が入っている。
DBXにおいて注目すべきは前後重量配分である。ほぼ50対50という、フロントエンジン車の理想的な数値を実現した。フロントヘビーが一般的な大排気量スーパーSUVの中にあって異例のバランスだ。
重量バランスのよさが効いているのだろう、ハンドリングは抜群だ。550にしろ707にしろ、強いボディに支えられたサスペンションがつねによく働いて、ドライバーの腰と一体となり自在に動いてくれる。ステアリングホイールを左右に振れば、オン・ザ・レールとはまさにこのことと実感する。それなりの速度域であっても、そして初めて走るワインディングロードであっても、リズミカルに走り抜ける。DBXは、まさに「背が高いだけのスポーツカー」である。この点で、他のスーパーSUVと一線を画している。
550と707の違いは加速性能もさることながら、ブレーキフィールだった。707のブレーキは秀逸。減速そのものがとてつもなく楽しいという感覚は、ポルシェ911のようである。
ただし、街乗りでのドライブフィールはいささか落ち着きが足りない。大型SUVらしくどっしりと構えて鷹揚に走るというスタイルは少々不得手。やはりDBXは生粋のスポーツカーなのだ。
マストンマーティンDBX主要諸元
グレード=DBX550
価格=9SAT 2500万円
全長×全幅×全高=5039×1998×1680mm
ホイールベース=3060mm
トレッド=未公表
最低地上高=175mm
車重=2250kg
エンジン=4リッター・V8DOHC32Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=550ps/6500rpm
最大トルク=700Nm/2000~5000rpm
WLTCモード燃費=未公表
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:285/40R22/リア:325/35R22+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
最小回転半径=未公表