日産リーフe+・G 試乗記
日産リーフe+・G 価格:472万9320円
1充電当たり458kmの航続距離を実現
ピュアEVの日産リーフに大容量バッテリーを搭載したe+(イープラス)が登場した。e+は大多数のユーザーが望む走行距離を確保している。パフォーマンスをはじめ、走り味と乗り味が大きく引き上げられた。
e+のアドバンテージは、バッテリー容量が62kWh(標準モデルの40kWhから55%アップ)になり、航続距離がWLTCモードで458km(322kmから約40%アップ)に延びた点にある。メーカーによると、458kmのWLTCモード航続距離は、99.5%のユーザーの一日当たり走行距離をカバーするという。実用航続距離がモード航続距離を下回ることは、誰もが予測しているだろう。とはいえ458kmのカタログデータであれば、日常的には十分だ。
たとえば、横浜のボクの自宅から東京都心までは片道25kmほどだが、エアコンをフルに使っても、ひどい交通渋滞に遭遇しても、充電なしで5往復はできそうだ。自宅と箱根の往復は180kmほど。電力消費増が急速に進む高速道路と山岳路の組み合わせだが、高速道路で速めの流れに乗っても、山岳路の上りでスポーティな運転を楽しんでも、途中充電なしで往復できるはず、とボクは考えている。
e+の"強い瞬発力と伸びのよさ"が味わえるパフォーマンスは魅力的 高速道路の追越加速は鋭い 静粛性はEVらしく全域でハイレベル 快適性は高い
力強いパフォーマンスを体感
e+は標準モデルにオプションの6kW普通充電器を標準装備。バッテリー残量警告灯が点灯してからは12時間半ほどでフル充電状態になる。急速充電器を利用する場合は80パーセント充電まで50kW充電器で60分、70kW充電器の場合は50分ほどである。
容量が55%もアップしたとなれば、バッテリーが大型化し、居住性などが犠牲にされていないか、と不安になるかもしれない。だが、心配は無用だ。
エネルギー密度を高め、スペースを上手に使える新型モジュールの開発で、居住性はまったく犠牲になっていない。変化は、フロアが標準車比で15mm下がっただけ。最低地上高は標準モデルの150mmから135mmになった。
e+のパフォーマンスは力強い。標準モデルと比較して大幅にリファインされている。発進加速の瞬発力は、従来型リーフとほぼ変わらない。ところが、発進後、最大加速Gを継続できる速度は、50km/hから70km/hにまで引き上げられた。
発進直後から最大トルクで引っ張る出足の瞬発力は、電気モーターの大きな魅力。e+は、その「快感ゾーン」を40%拡大した計算になる。その「強い瞬発力と伸びのよさ」に対して、間違いなく、「いや~、気持ちいいな~」といった声が出るだろう。
そして80~120km/hといった中間加速が力強くなっている。実際、高速道路の走りにはパンチがあり、運転していて楽しい。
追い越しは非常に楽だ。高速での加速はデータから予想するよりも体感速度のほうが上回り、実に気持ちがいい。とにかく、リーフe+の動力性能は「EVらしくトルクフルで、楽しい走りが味わえる」と報告できる。
インパネは標準車と同じ e+・Gは充電ステーションを表示するEV専用ナビと高音質BOSE7スピーカーオーディオ標準 ステアリングは本革巻き
魅力的なワンペダルドライビング
e-ペダルボタンをオンにすると、最大減速度0.2Gに設定された「ワンペダルでの加減速」が可能になる。このモードでの運転も楽しい。通常の流れに乗り、車間距離を確実にとっていれば、ブレーキペダルに足を移す必要はほとんどない。アクセルペダルの操作だけで、停止まで含めた減速コントロールができる。滑らかで気持ちいい減速ができるようになるまでには少し練習が必要かもしれないが、それもまた楽しい時間になると思う。
提案したいアイデアがある。e-ペダル以上に強力な減速度(たとえば0.3G)を持つ「e-ペダル+」といったモードを加えたらどうだろうか。そうすればリーフe+のスポーツ度、ワンペダル走行の楽しみは、いっそうアップすると思う。
ボディはしっかりしているし、車重が標準車比120kg増という点がプラスに作用して、乗り心地はいい。パワーステアリングの操舵フィールが人工的な点以外は身のこなしもいい。
ボクが要望したい点は、インテリアの作り込みだ。実用性重視で、繊細性やエレガンスの要素はほとんどない。エネルギーフローやプロパイロットなどの情報を表示するメーターデザインは、先進性に欠ける。
EVはインテリジェントなクルマだ。インテリアもモダンで上質であってほしい。
e+・Gは本革シート標準 室内スペースは標準車と共通 後席の着座位置は高めの設定 前後席とも足元スペースは広い
※次ページでスペックを紹介
日産リーフe+・G主要諸元と主要装備
グレード=e+・G
価格=472万9320円
全長×全幅×全高=4480×1790×1545mm
ホイールベース=2700mm
トレッド=フロント1530×リア1545mm
車重=1680kg
モーター最高出力=160kW(218ps)/4600〜5800rpm
モーター最大トルク=340Nm(34.7kgm)/500〜4000rpm
バッテリー=リチウムイオン電池
総電力量= 62kWh
WLTCモード1充電走行距離=458km
JC08モード1充電走行距離=570km
サスペンション:フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=215/50R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
●主要装備:プロパイロット/BSW(後側方車両検知警報)/RCTA(後退時車両検知警報)/インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)/インテリジェントDA(ふらつき警報)/プロパイロットパーキング/電動パーキングブレーキ/踏み間違い衝突防止アシスト/フロント&バックソナー/SRSサイド&カーテンエアバッグ/LEDヘッドライト/フロント・フォグランプ/ハイビームアシスト/インテリジェントアラウンドビューモニター/EV専用ニッサンコネクト・ナビゲーション/プラズマクラスター搭載フルオートAC/iインテリジェントルームミラー/ステアリングヒーター付き本革巻きステアリング/ヒートポンプシステム(省電力暖房)/乗る前エアコン/リモート充電/ETCユニット/e-ペダル/前席シートヒーター付き本革シート/タイマー充電/6kW普通充電器(車載用)
●装着メーカーオプション:寒冷地仕様(後席クッションヒーター+後席ヒーター吹き出し+不凍液濃度アップ)2万7000円
●ボディカラー:ラディアントレッド+スーパーブラック(5万4000円)
※価格とスペック・仕様は2019年4月現在