ホンダ・シビック・タイプR 試乗記
シビック・タイプRは、「FF世界最速」の座をつねに争っている日本の代表。デビューしてから早3年、間もなくエンジン冷却性能とブレーキ性能を高めたリファイン版がデビューする。
魅力は、驚くほど高い基本ポテンシャル。新車開発の聖地、ドイツ・ニュルブルクリンクで素晴らしいタイムを刻む(現在はFF車世界第2位)ほか、好敵手ルノー・メガーヌRSに「道場破り」された鈴鹿サーキットのトップタイムを奪い返した。破られたら破り返す。タイプRはホンダ・スピリットにあふれたモデルだ。
走りを支えるエンジンは2リッターVTECターボ。これに1.56barの加給圧をかけて320ps/6500rpm、400Nm/2500~4500rpmを発生。トランスミッションは、いまや古典的なHパターン6速MTである。
ABCペダルを操作するため、走りはドライバーの技量に大きく左右される。シフトアップはともかく、シフトダウン時はミスシフトの危険が伴うため、自動で回転を合わせるレブマチックを装備。プロドライバー並みの回転ジャストミートによりスムーズな変速とクラッチミートがかなう。
エンジン出力はスポーツ4WDに搭載できるほど余裕がある。それを前輪で駆動し、曲がり、制動する。400Nmの強烈なターボトルクで強烈に加速しながら、ステアリング操作した方向に身をねじるように曲がり、270km/hの最高速から急減速する。巨大なブレンボ製キャリパーがディスクローターをつかむ減速Gは頼もしい。
ハンドリングにアンダーステアは存在しない_ 仮にアンダーステアをクルマ側が感知すると、舵角の当たった前輪イン側の片輪のみブレーキ圧を高めて、ノーズをコーナーの内側へと引き戻す。
同時に前輪にはヘリカルLSDが装備され、旋回中とそこからの加速で内輪がホイールスピンした際に左右の回転差を抑制。高い旋回速度を可能にした。
フロントサスは、新設計デュアルアクシス・ストラット、リアはマルチリンク式を装備。前後輪ともにタイヤの接地性は高い。乗り味は、路面からの小さな入力はソフトにいなし、大入力にはダンピングが勝りボディの動きを抑える。超高速直進安定性とハンドリングの高次元バランスは、まさにほれぼれする。
シビック・タイプRは、切れ味鋭い世界最良のFFホットハッチ。その圧倒的な実力を引き出すには、MTを巧みに操れる運転技術が条件。相応のドライビングスキルが必要だ。
グレード=タイプR
価格=6MT 未定
全長×全幅×全高=4560×1875×1435mm
ホイールベース=2700mm
車重=1390kg
エンジン=1995㏄直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=235(320)_kW(㎰)/6500rpm
最大トルク=400(40.8)_Nm(㎏m)/2500~4500rpm
JC08モード燃費=12.8km/リッター(燃料タンク容量46リッター
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=245/30ZR20+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径=5.9m
※スペックは2019年モデル