日産自動車が展開する高級車ブランドのインフィニティ(INFINITI)は9月25日、プレミアム3列シートSUV「QX60」の次期型デザインを示すコンセプトモデルの「QX60 Monograph(QX60モノグラフ)」を公開した。
今後の「QX60」の造形ビジョンを表現するとともに、インフィニティが目指す未来のクルマの変革について具体的な洞察を示した「QX60 Monograph」は、彫刻的・建築的な観点からエクステリアの新デザインを手がける。既存のQX60で好評を博す広々としたパッケージングや独自の快適な3列シートといった基本レイアウトは、より磨きをかけながら踏襲。そのうえで、エレガントで力強く、さらに日本の伝統に着想を得た細部のアレンジによる新たなSUVデザインの方向性を打ち出した。
まずフロント部は、インフィニティの代名詞でもある“ダブルアーチ”グリルに、日本の伝統的な遊びである折り紙からインスピレーションを得た、三次元的な奥行きを感じさせるインナーメッシュを内包。また、バンパー下部の角にあるサイドエアインテークにも同様のメッシュパターンを取り入れた。さらに、ヘッドライトには人間の芸術性と最新テクノロジーの融合を試みた新デザインの「デジタルピアノキー」ライトを採用。ライトの内部構造には、放熱器から着想を得た直線が並んだ形状とパターンを導入した。そして、「無限の彼方へと向かう開けた道」を表現したブライトホワイトの光るエンブレムを装備。ロックを解除すると、ロゴを起点にヘッドライトまで順にランプが点灯してドライバーを迎え入れる、ユニークなアレンジも施した。
次にリアビューは、ワイドボディと対で水平になったウィンドウのラインによって落ち着きと安定感を具現化。また、高いショルダーラインによって重心を上げると同時に、ルーフと精巧に一体化したルーフスポイラーへと続く流麗なラインを創出して、空力性能に優れたフォルムをいっそう強調する。さらに、フロントと同形式の「デジタルピアノキー」リアコンビネーションライトを装備。ウルトラレッドに着色したライトは、消灯すると車両後部を包み込みながら側面と一体化して連続したアピアランスを作り出し、点灯すると未来的で美しい光を放つ仕組みとした。
そしてサイドセクションは、力強い水平基調のボンネットにボリューム感のあるフェンダー、長いホイールベース、緩やかに傾斜したAピラー、後方に向かうにしたがって細くなるティアドロップ形状のグラスハウスなどによって、流れるような洗練された輪郭を創出。足もとには、鮮やかな表面アレンジかつ印象的なスポークデザインで仕立てた大径アルミホイールを装着した。
ルーフのアレンジも要注目だ。ブラックカラーで仕立てたルーフは、鮮やかなボディカラーとの強いコントラストを生み、劇的な視覚効果を演出。また、ピラー、ルーフ、フロント、サイド、リアのガラスが継ぎ目なくつながっているため、キャビンからのパノラマビューが存分に楽しめる。さらに、パノラマルーフの表面には“着物の織”をイメージした、垂直な線が入り組んだ幾何学模様を採用。同時に、スポーティなプロポーションと好対照を成す、新造形のスマートなルーフレールを組み込んだ。
なお「QX60 Monograph」は、まず横浜の日産グローバル本社と北京モーターショー2020のインフィニティ・ブースで公開。また、次世代「QX60」の量産モデルは2021年の発表を予定する。日本への導入は現在のところ未定だ。