英マクラーレン・オートモーティブは10月16日(現地時間)、英国のグッドウッド・モーターサーキットで催された「グッドウッド・スピードウィーク(Goodwood SpeedWeek)」において、マクラーレン・エルバの特別仕様車「エルバGulf Theme by MSO(ガルフ・テーマby MSO)」を公開した。
マクラーレンのアルティメットシリーズに位置する「エルバ(Elva)」は、マクラーレンの創始者であるブルース・マクラーレンが1960年代に設計したレーシングカー、マクラーレン・エルバM1シリーズをリスペクトして命名した、限定生産の新世代ロードスターである。基本骨格はカーボンファイバーコンポジットのモノコック構造で構成。フルオープンのボディカウルやシート骨格などもカーボン材で仕立てる。ミッドシップに搭載するパワーユニットは、マクラーレン・セナやセナGTRに採用したユニットと基本的に共通の3994cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジンで、最高出力は815ps、最大トルクは800Nmを発生。トランスミッションには7速シームレスシフトギアボックス(DCT)を組み合わせて、後輪を駆動する。また、排気システムにはチタニウム材とインコネル合金材を採用したクアッドエグゾーストをセット。さらに、足回りには最新のリンク型油圧式フルアクティブサスペンションを組み込んだ。
今回発表された「エルバGulf Theme by MSO」は、マクラーレンのビスポーク部門であるMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)が手がけた特別仕様のモデルで、ブルーとオレンジの通称“ガルフ・カラー”を外装色に纏ったことがアピールポイントである。ベース車両の特徴であるスプリッター上部中央に設置した大きなインレットとフロントクラムシェルのアウトレットベント、上下に動くカーボンファイバー製ディフレクターで構成する世界初のマクラーレン・アクティブ・エア・マネージメント・システム(AAMS)は引き続き採用。シートにはホワイトレザー表地のフルバケットタイプを装備した。
マクラーレンとガルフオイルの関係は古く、1968年から1973年にかけてCan-AmやF1、Indyといったレースの舞台でガルフ・カラーを配したマクラーレンのマシンが疾走。その後1990年代に入ると、ル・マン24時間レースなどのGTカー選手権でガルフ・カラーを纏ったマクラーレンF1 GTRが活躍するなど、モータースポーツ界においてシンボリックな提携関係を構築している。そして、2021年からはガルフがマクラーレン・オートモーティブの推奨するオイルサプライヤーとなり、マクラーレンの高性能エンジンに最適化されたガルフの石油関連製品が、すべてのマシンに充填されることとなった。
マクラーレンとガルフの新たなリレーションシップを祝う意味も込めて製作された「エルバGulf Theme by MSO」。エルバは149台の生産台数で間もなくデリバリーを開始する予定だが、顧客とはペイントワークや装飾などの仕立てでさらなる打合せを重ねているという。今回登場したガルフ仕様も、きっと好事家のオーダー対象となるはずだ。