トップスピード350km/h! スーパーオープンの新世界

ランボルギーニ・アヴェンタドールSロードスター 試乗記

ランボ01.jpgランボルギーニ・アヴェンタドールSロードスター 価格:7SMT 49969107

 アヴェンタドールはミウラ、カウンタック、ムルシエラゴの系譜を踏襲するランボルギーニのフラッグシップである。最新モデルのSロードスターのパワーユニットは自然吸気仕様の6.5リッターV12DOHC48V740㎰/70.4kgm)。ルーフは2分割構造。足回りは4WS(4輪操舵)。最高速度は350km/hに達する。

ランボ02.jpgボディは軽量かつ強靭なカーボンファイバー製モノコック 駆動方式は4WD ルーフパネルは手動脱着式2分割構造 片側6kgの軽量カーボン製 外したルーフはトランクに収納

2016年末に進化したSモデル登場

 アヴェンタドールは世界で最も成功したスーパーカーといっていい。2011年のデビュー以来、高い人気に支えられ、年間1100台以上が生産され続けている。累計生産台数はすでに8000台を突破。2018年末にはモデルライフの集大成となる(はずの)限定車SVJ(クーペ963台/ロードスター800台)の生産が始まった。モデル累計で1万台達成はほぼ確実だろう。12気筒エンジンのミッドシップ2シーターとしては過去に例のない大記録となる。

 過去8年間で最大の節目は2016年末に行われたマイナーチェンジだ。アヴェンタドールから、アヴェンタドールSにバージョンアップした。Sの特徴は大きく分けて3点。スタイル変更とシャシー&電子制御性能の向上、そしてエンジンのリファインである。

 スタイリングは、基本シルエットはそのままに、よりワイド感を強調した。エアロダイナミクスの思想を徹底化し、車体制御をはじめ、パワートレーンやブレーキの冷却性も効果的にリデザインされている。前期型比でフロントのダウンフォースは30%増した。

ランボ03.jpgアヴェンタドールのドアは上方に開口するシザースタイプ 乗降性は高水準 写真のボディカラーはマット仕上げのグリジオアダマス(オプション1512000円)

4WS新採用。V12ユニットは740psをマーク!

 シャシー性能に関しては4WS(4輪操舵機構)の搭載がポイント。Sは低速域で後輪が逆位相に動いて旋回性能が高まり、高速域(120km/h以上)では同位相に制御され安定したコーナリングが楽しめるようになった。

 4WSをはじめ、可変ステアリングギアレシオ(LDS)や磁性流体サスペンション(LMS)、そしてESCは、"車両の頭脳"というべき統合制御ユニット(LDVA)がコントロールする。統合制御の概念は最新のスーパーカーでもいまや常識である。

 エンジンは、限定車のSVと同等のパフォーマンスに高めた。伝統の6.5リッターV12DOHC48Vユニットは、最高出力が前期型比40psアップの740psになり、最高回転数は従来の8350rpmから8400rpmになっている。

 ハルデックス電子制御4WDシステムや、カーボンファイバー製モノコックキャビンなど、基本スペックは前期型と同じ。ミッションはシングルクラッチ仕様の2ペダル式7速ISRを組み合わせる。Sに発展する際に、多くのユーザーはデュアルクラッチミッション(DSG)への変更を期待したが、ISRのリファインにとどまった。

ランボ04.jpg室内各部はレザー仕上げ ステアリングギア比は10118対1の可変式 4WS機構の採用で低速域から高速までシャープかつ安定したハンドリングを実現 トップを外した状態の開放感は適度

魅惑のV12サウンドがドライバーを刺激

 2017年3月のジュネーブ・ショーで世界初公開されたアヴェンタドールSに、ロードスターが加わったのは同年秋のフランクフルト・ショーだった。ロードスター化の手法は前期型と共通。2枚の取り外し可能なカーボンルーフパネルを装備するタイプで、1枚6kgのパネルはユーザー自身が取り外し、フロントのトランクルームに重ねて収める。前期型と比較してデザイン面は洗練され、一段とスタイリッシュになった。なお、ロードスターの車重はクーペ比50kg増の1625kgになる。

 磁性流体サスを得て乗り心地はよくなった。ウラカン並み、とはいかないが、初期モデルに比べて穏やかだ。ロードスター化の影響か、突っ張った印象は減った。

 4WSの採用はワインディングロード走行をはじめ、取り回しを実に楽にした。ひとまわり小さなクルマになったかのようで、積極的にドライブしたくなる。

 新エグゾーストシステムが発する音は、精緻なV12の存在を上手に演出する。パフォーマンスは圧倒的。高回転域まで回したときの、エンジンに吸い込まれそうになる感覚は、何物にも代え難い。

ランボ05.jpgシートは本革ラグジュアリー仕様 電動調整機構付き 乗り心地は良好 サイドシル部のレバーはドア開口用

ランボ06.jpg6498ccV12DOHC48V 740㎰/8400rpm 70.4kgm5500rpm キャビン後方に縦置き搭載 パワーウエイトレシオ:2.20kg/ps

※次ページでスペックを紹介

ランボルギーニ・アヴェンタドールSロードスター主要諸元

ランボ07.jpg

価格=7SMT 49969107
全長×全幅×全高=4797×2030×1136mm
ホイールベース=2700mm
車重=1625kg
乗車定員=2
エンジン=6498cc・V12DOHC48V
最高出力=544kW740ps)/8400rpm
最大トルク=690Nm70.4kgm)/5500rpm
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント25530ZR20/リア35525ZR21
駆動方式=4WD
最高速度=350km/h
0100kmh加速=3.0
※価格とスペックは20195月現在
※性能数値は欧州仕様

Follow