イタリアのスポーツカーメーカーのパガーニが新型ハイパーカーの「ユートピア」を発表

創立30周年を迎えるパガーニがゾンダとウアイラに続く第3のハイパーカー「ユートピア」を初公開。カーボンファイバーとチタンを使った“カーボタニウム”モノコックボディに、864hp/1100 Nmを発生するメルセデスAMG製6リットルV 12ツインターボエンジンをミッドシップ搭載。生産台数は99台の限定で、すでに完売

 オラチオ・パガーニ(Horacio Pagani)氏が率いるイタリアのスポーツカーメーカーで、今年で創立30周年の節目を迎えるパガーニ・アウトモビリは2022年9月12日(現地時間)、新型ハイパーカーの「ユートピア(Utopia)」をミラノで発表した。

▲パガーニ・ユートピア ゾンダとウアイラに続くパガーニの第3のハイパーカー。生産台数は99台の限定。ボディサイズは未公表

▲パガーニ・ユートピア ゾンダとウアイラに続くパガーニの第3のハイパーカー。生産台数は99台の限定。ボディサイズは未公表

 

 ゾンダ(Zonda)とウアイラ(Huayra)に続くパガーニの第3のハイパーカーとなるユートピアは、「C10」と呼称するプロジェクトによって開発が推し進められる。オラチオ・パガーニ氏は、「4000枚を超えるスケッチ、10のスケールモデル、風洞用模型、1/1スケールモデル、そして数え切れないほどのアイデアとリサーチ、実験を繰り返し、完璧な8台のプロトタイプ(試作品)を完成させた。これらは、タイムレスで最先端技術を駆使し、チームが6年にわたり、情熱と努力を積み重ねた賜物である」とコメント。車名については、「我々が夢見る理想的なクルマ、すなわち“理想郷=ユートピア”を追い求めて完成させた1台」という意味を込めている。

▲基本骨格はカーボンファイバーとチタンを組み合わせた“カーボタニウム”と称するモノコックボディと、クロームモリブデン(CrMo)材の前後チューブラーサブフレームで構成。車両重量は軽量な1280kgを実現

▲基本骨格はカーボンファイバーとチタンを組み合わせた“カーボタニウム”と称するモノコックボディと、クロームモリブデン(CrMo)材の前後チューブラーサブフレームで構成。車両重量は軽量な1280kgを実現

 

 エクステリアについては、カーボンファイバーとチタンを組み合わせた“カーボタニウム”と称する軽量かつ高剛性なモノコックボディと、クロームモリブデン(CrMo)材の前後チューブラーサブフレームを基調に、流れるようなラインで構成するフロントビューや丸みを帯びたアッパーエッジ、新設計のリアウィングを配したオリジナリティあふれるリアセクションなどによって、美しく流麗なクーペスタイルを構築。スポイラー類などの空力パーツを多用するのではなく、フォルム全体でエアロダイナミクス性能を高めたことも特徴だ。細部のデザインにも徹底してこだわり、カナードおよびウイングレットの代わりに大型エアインテークや様々な空力エレメントを一体化したフロントマスク、フロントホイール後方やドアなどにエアスクープを配してエンジンの冷却性能を引き上げるとともに整流効果を高めるパネル面で構成したサイドビュー、翼型の基部にエアロ形状のカバーを配したパガーニならではのサイドミラー、リアスポイラーに向けてウィンドトンネルを配したリアカバーパネル、エアエクストラクターに組み込んだ丸型4灯式のLEDコンビネーションランプ、放熱性に優れるセラミックコーティングを施したチタン製クワッドエグゾースト、ディフューザー処理で仕立てたリアバンパーなどを採用する。足もとには、前21インチ/後22インチの鍛造アロイホイールと、前265/35R21/後325/30R22サイズのピレリP Zero Corsaタイヤを装着した。

▲カナードおよびウイングレットの代わりに大型エアインテークや様々な空力エレメントを一体化したフロントマスク

▲カナードおよびウイングレットの代わりに大型エアインテークや様々な空力エレメントを一体化したフロントマスク

▲翼型の基部にエアロ形状のカバーを配したパガーニならではのサイドミラーを装着

▲翼型の基部にエアロ形状のカバーを配したパガーニならではのサイドミラーを装着

▲新設計のリアスポイラーに向けてウィンドトンネルを配したリアカバーパネルを採用

▲新設計のリアスポイラーに向けてウィンドトンネルを配したリアカバーパネルを採用

▲放熱性に優れるセラミックコーティングを施したチタン製クワッドエグゾーストを装備

▲放熱性に優れるセラミックコーティングを施したチタン製クワッドエグゾーストを装備

▲エアエクストラクターに組み込んだ丸型のLEDリアコンビネーションランプや“Utopia”エンブレムを配備

▲エアエクストラクターに組み込んだ丸型のLEDリアコンビネーションランプや“Utopia”エンブレムを配備

▲フロントカウルは前ヒンジ、リアカウルは後ヒンジ、ドアは前ヒンジのシザーズタイプを採用

▲フロントカウルは前ヒンジ、リアカウルは後ヒンジ、ドアは前ヒンジのシザーズタイプを採用

▲足もとには前21インチ/後22インチの鍛造アロイホイールと、前265/35R21/後325/30R22サイズのピレリP Zero Corsaタイヤを組み込む

▲足もとには前21インチ/後22インチの鍛造アロイホイールと、前265/35R21/後325/30R22サイズのピレリP Zero Corsaタイヤを組み込む

 

 前ヒンジのシザーズドアを開けて乗り込む2シーター構成のインテリアは、メーカー自ら「彫刻でありながら座ることができる」と謳う、モダンでもレトロでもない、タイムレスで独創的なデザインを採用する。ドライバーの前にある最小限のディスプレイ以外にスクリーンはなく、同時にすべての計器を純粋なアナログ表示として、まるで腕時計のスケルトンムーブメントのようにメカニズムの一部をさりげなく披露。また、ステアリングホイールのスポークや中空構造のリム、ステアリングコラム、ボスなどはすべてアルミの無垢材で製作し、さらにシフトレバーおよびゲート基部やペダル類にもアルミ材のブロックを使用する。一方、バケットタイプのシートの表皮には緻密なステッチを施した上質なレザーを張った。

▲すべての計器を純粋なアナログ表示として、まるで腕時計のスケルトンムーブメントのようにメカニズムの一部をさりげなく披露。ステアリングホイールのスポークにはアルミの無垢材を使う

▲すべての計器を純粋なアナログ表示として、まるで腕時計のスケルトンムーブメントのようにメカニズムの一部をさりげなく披露。ステアリングホイールのスポークにはアルミの無垢材を使う

▲シフトレバーおよびゲート基部にはアルミ材のブロックを採用する

▲シフトレバーおよびゲート基部にはアルミ材のブロックを採用する

▲バケットタイプのシートの表皮には緻密なステッチを施した上質なレザーを張る

▲バケットタイプのシートの表皮には緻密なステッチを施した上質なレザーを張る

 

 ミッドシップに配したパワーユニットにはメルセデスAMGが独自のチューンアップを施した5980cc・60度V型12気筒DOHCツインターボエンジンを搭載し、後輪を駆動。最高出力は864hp/6000rpm、最大トルクは1100Nm/2800~5900rpmを発生する。最高許容回転数は6700rpmに設定した。一方、トランスミッションには軽量かつコンパクトで、しかも変速スピードを速めた、トリプルプレートクラッチと組み合わせるXtrac(エクストラック)製の7速AMTを採用。また、強トルクに対応した専用セッティングの7速MTもラインアップする。さらに、駆動機構には電子制御ディファレンシャルを組み込んだ。

▲メルセデスAMGが独自のチューンアップを施した5980cc・60度V型12気筒DOHCツインターボエンジンを搭載。最高出力は864hp/6000rpm、最大トルクは1100Nm/2800~5900rpmを発生

▲メルセデスAMGが独自のチューンアップを施した5980cc・60度V型12気筒DOHCツインターボエンジンを搭載。最高出力は864hp/6000rpm、最大トルクは1100Nm/2800~5900rpmを発生

 

 懸架機構については、アルミニウム合金製の前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションで構成したうえで、専用セッティングの電子制御ショックアブソーバーとヘリカルスプリングを配備して、優れたハンドリング性能と走行安定性を実現。また、制動機構にはブレンボ製のカーボンセラミックベンチレーテッドディスクブレーキ(前φ410×厚38mmディスク+6ピストンモノブロックキャリパー/後φ390×厚34mmディスク+4ピストンモノブロックキャリパー)と、最新世代のボッシュ製ABS(ESP9.3)を組み込んだ。

▲懸架機構はアルミニウム合金製の前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションで構成したうえで、専用セッティングの電子制御ショックアブソーバーとヘリカルスプリングを組み込む

▲懸架機構はアルミニウム合金製の前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションで構成したうえで、専用セッティングの電子制御ショックアブソーバーとヘリカルスプリングを組み込む

 

 なお、ユートピアは99台の限定生産を予定しているが、すでに愛好家たちに割り当てられて完売しているという。

▲9月13日(現地時間)にはイタリア・ミラノのNational Museum of Science and Technologyにパガーニ・ユートピアを展示した

▲9月13日(現地時間)にはイタリア・ミラノのNational Museum of Science and Technologyにパガーニ・ユートピアを展示した

 

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