レクサスLC500コンバーチブル 価格:10SAT 1500万円 試乗記
レクサスのフラッグシップクーペ、LCの登場から早いもので4年が経とうとしている。街で見かけるLCは、いまなお強烈な存在感を放つ。デザインのポテンシャルがそれだけ高いということだ。
LCはこの4年間に特別仕様の内外装色を設定するなど、つねにニュースを提供。同時に、走行性能に関するリファインも着実に行ってきた。メーカーはLC開発の手を緩めていない。そしていよいよもうひとつのLC、500コンバーチブルが、日本でも発売された。パワーユニットは5リッター・V8DOHC32V(477ps/540Nm)。トランスミッションは10速ATを組み合わせる。
コンバーチブルがこだわったのは、ルーフ開閉時のスタイルだ。LCクーペはデザインにこだわり抜いた。コンバーチブルが〝単に屋根を開けました〟では、共感は得られない。
トップは4層構造のソフトタイプ。「リトラクタブルハードトップ(RHT)ではないの?」と思う方がいるかもしれない。けれどもラグジュアリーブランドの場合、コンバーチブルはソフトトップというのが世界一流の条件だ。
ソフトップはトップの材質が進化した現在、クーペと遜色ない「屋根」になる。そのうえ機構が複雑なRHTよりデザインの自由度が高い。ルーフ面積が大きいGTカーにRHTを無理に使うと、デザインが台無しになってしまう。
その点、LCコンバーチブルのソフトトップは見事だ。オープン時にはトップが完全に収納されてクリーンなスタイルになり、クローズド時もクーペと同等に美しい。
軽いソフトトップであるがゆえに、走行中でも50km/h以下であれば操作できる。開閉に要する時間は約15秒だが、その動きも凝っていて、動きだし、途中、作動終わりを3ステップに分けて滑らかにつなぐという優雅な動きに仕上げている。開閉シーンはアトラクティブでスムーズ。思わず見ほれてしまった。トップは黒とサンドベージュの2色だが、欲をいえばもう1色、赤系を用意してほしかった。
インテリアにも特徴がある。ウインドリフレクターやネックヒーターといった高級オープンに必須のアイテムのほか、ヘッドレスト後部にLマークを加えた。インテリアを「積極的に見せる」オープンカーならではのこだわりだ。V8サウンドを楽しむための、サウンドジェネレーターやアクティブノイズコントロールを採用する。
ボディは専用強化仕様。ルーフを取り払ったことによる走りへの影響を抑えるために、各種ブレースを追加。クーペとともにヤマハ製パフォーマンスダンパーを新たに装着している。
乗り味は高級コンバーチブルと呼ぶにふさわしいものだった。大型クーペをオープンにした場合、どうしても車体がひと回り大きくなったような「弛み」を感じがちだが、LC500コンバーチブルにはそれがない。むしろ、小さくまとまっている感覚がある。
オープン時はもちろん、クローズド状態でも、ボディはみしりともいわず、細かな段差も滑らかにいなしていく。国産オープンカーのドライブフィールとして史上最高の仕上がりだ。
パフォーマンスはクーペと同等。右足を深く踏み込むと、怒濤の加速を披露する。もっとも、通常は豊かなトルクを感じながらゆったりと走るのが似合う。魅力はエンジンサウンド。まさに絶品。自然吸気V8の珠玉の音色が存分に楽しめる、稀少な存在だ。
今後はオープンエアドライブをただひたすら優雅に楽しむためのハイブリッド・コンバーチブルの登場にも期待したい。
価格=10SAT 1500万円
全長×全幅×全高=4770×1920×1350mm
ホイールベース=2870mm
トレッド=フロント1630×リア1635mm
車重=2050kg
乗車定員=4名
エンジン=4986cc・V8DOHC32V
最高出力=351kW(477ps)/7100rpm
最大トルク=540Nm(55.1kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=8.0_km/リッター(燃料タンク容量81リッター)
(市街地/郊外/高速道路:4.7/8.5/10.9km/リッター)
サスペンション=前後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/45RF20/リア:275/40RF20
駆動方式=FR
最小回転半径=5.4m