フェラーリ・ブランドストーリー Since:1947
レーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」から盟主に発展
もともと市販車を作るために設立されたランボルギーニとは対照的に、フェラーリはレースのために生まれた自動車メーカーだった。
創業者のエンツォ・フェラーリは、1929年にスクーデリア・フェラーリという名のレーシングチームを創設。もっとも、当時のエンツォはアルファロメオのレース活動を担うアルファコルセという組織のリーダーで、その業務は、あくまでもアルファロメオのレーシングカーを改良したり、レース参戦のための準備が中心だった。
ところがエンツォは1939年にアルファコルセを辞すると、レース活動を行なう新組織を設立した。ただし、アルファロメオとの取り決めに従い、当初の4年間はフェラーリの名を用いることが許されず、アウト・アヴィオ・コンストルツィオーニを名乗った。
ちなみに、フェラーリのバッジをつけた初のモデルが誕生したのは1947年のこと。125Sと名付けられた2座スポーツカーは1.5リッターのV12エンジンをフロントに積んでいた。その目的はあくまでもレース活動を継続するための財源作りであって、エンツォ自身は125Sの販売には前向きでなかったとされる。
この時代、モータースポーツ界で最も人気を誇っていたのはスポーツカーレースだった。しかも、当時レーシングカーと市販スポーツカーは技術的に極めて近い関係にあった。そのため、1960年代までのフェラーリは、レーシングカーに最小限のモディファイを施したモデルをロードカーとして販売することが珍しくなかった。
F1に積極参戦。市販モデルにもF1イメージを投影
1970年代を迎えるとF1が大きく発展。F1が始まった19500年から綿々と参戦を続けてきた唯一の自動車メーカーであるフェラーリは、F1主体のモータースポーツ活動に軸足を移していくこととなる。
現在のフェラーリ・ロードカーは、いうまでもなくF1マシンとはまったくの別物だ。とはいえF1の要素を部分的に採り入れてブランド・イメージの向上に役立てている。ちなみに、スクーデリア・フェラーリはF1史上、最も多くの栄冠を勝ち取ったレーシングチームとしても知られている。
彼らの現行ラインアップは、V12もしくはV8を搭載したフロントエンジンモデルと、V8もしくはV6を搭載したミッドシップモデルに大別できる。
中でも、最も注目されるのは、ブランド史上、V6モデルとして初めてフェラーリのバッジが与えられた296GTB/GTSである。これはプラグインハイブリッド・システムを生かしたパワフルで機敏な走りにより、世界的に大好評を博している。