ホンダNSX 価格:9SMT 2420万円 試乗記
日本が誇るミッドシップスーパースポーツ、NSXの2ndモデルは、世界をリードするキャラクターで登場した。スーパーな部分はスタイリングだけではない。メカニズムでもスーパーぶりを主張する。3基のモーターと3.5リッターV6ターボエンジンで構成するスポーツハイブリッドSH-AWDによるハイレベルな動力性能とハンドリング性能は圧倒的だ。しかも、スーパースポーツとしてはおよそ無縁に思える高い環境性能を備えている。まさにスーパーなスポーツカーに進化した。
過去の日本車が示した数多くの先進技術と同様に、最先端のメカニズムと緻密な制御技術を展開した最新NSXは、海外メーカーの研究開発部門に大きなヒントを与えたに違いない。
世界に先駆けた3モーターハイブリッドシステムは、驚きのパフォーマンスを披露する。峠道に行けば、その自在に曲がるステアリング特性にわれを忘れて没頭する。常識的には考えられない速度でも、ヒラリと曲がれるのだ。
前輪左右それぞれ独立したモーター駆動によるベクタリング機構が、驚きの旋回特性を生む源泉である。
背中の3.5リッターV6ツインターボは9速DCTを介して、前後モーターと合わせて581ps/646Nmのシステム出力を発生。文字どおり背中を蹴飛ばされるような猛烈な勢いでロケットダッシュする。強烈なスピードは、世界のスーパースポーツに勝るとも劣らない。
何度もいうが、「曲がりすぎるくらい曲がる」超絶ハンドリングである。正直、2018年秋に改良が加えられるまで、初期型のステアリング特性は過敏だった。レーシングドライバーにはコントロール可能でも、そうした動きに慣れていない一般ユーザーには難物だった。
驚くべき旋回速度で曲がるから、さらにアクセルを踏み込むと後輪がスライドする。必然的にカウンターステアを当てると、前輪のモーターベクタリングはその前輪の方向に瞬時にクルマを曲げにいき、そこでクルマの挙動は右往左往してしまった。
最新モデルはタイヤを含む足回りと、SH-AWDの制御系が見直された。ドライバーの感性に自然で忠実な動きを示すようになり、ハンドリングカーとしては日本車で、いや世界的に見ても最高峰といって過言ではない完成度を手に入れた。
NSXでただひとつ残念な点は、日本車として最高額の2420万円というプライスタグ。1st・NSXのように、無理をすれば何とか手が届くか!?……と夢を描ける存在とかけ離れてしまったのは事実だ。
グレード=NSX
価格=9SMT 2420万円
全長×全幅×全高=4490×1940×1215mm
ホイールベース=2630mm
トレッド=フロント1655×リア1615mm
車重=1800kg
エンジン=3492cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=373kW(507ps)/6500~7500rpm
最大トルク=550Nm(56.1kgm)/2000~6000rpm
モーター最高出力=フロント27kW(37ps)×2/リア35kW(48ps)
モーター最大トルク=フロント73Nm(7.4kgm)×2/リア148Nm(15.1kgm)
WLTCモード燃費=10.6km/リッター(燃料タンク容量59リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:ウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/35ZR19/リア:305/30ZR20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=2名
最小回転半径=5.9m
パワーウエイトレシオ=3.10kg/ps
トルクウエイトレシオ=2.79kg/Nm
※価格は消費税込み/現行モデルの販売は終了
撮影協力●マースガーデンウッド御殿場