パガーニ・ブランドストーリー Since:1992
すべてに最高を目指した至宝。年産20台以下のエクスクルーシブモデル
アルゼンチンの若者が大志を抱いてイタリアへ渡った。数年のうちにランボルギーニのデザイン長に上り詰め、デザイン会社を興こして、ついには自らの名を冠したスーパースポーツを世界一有名なスーパーモーターヴァレー(北イタリア)で生産し始めた。まさにイタリアンドリーム。若者の名はオラチオ・パガーニという。
パガーニ・アウトモビリが最初のミッドシップスーパースポーツ、ゾンダを発表したのは1999年のこと。同じくアルゼンチンの英雄であるフォン・エマヌエル・ファンジオの知己を得たオラチオは、メルセデス・ベンツと太いパイプを築き、以来、V12エンジンの供給を受け続けている。ゾンダは自然吸気エンジンで、後継となったウアイラではツインターボ化された。彼らは約11年のサイクルで基本となるモデルを企画し、それをベースにさまざまな派生グレードを生産。年産20台以下というエクスクルーシブさを貫いてきた。ウアイラの後継モデル、ユートピアはこの9月にミラノで発表されたばかりだ。
パガーニの強みはなんといっても世界最高峰のカーボンファイバーテクノロジーにある。そもそもオラチオはデザイナー&エンジニアであると同時に、FRPのプロフェッショナルでもあり、ランボルギーニ時代には世に先駆けてCFRP技術の導入を経営陣に訴えていた。それが叶わないと知ると、彼は驚きの行動に出る。CFRP成型を柱とするデザイン会社を設立したのだ。これからはカーボンの時代になる。オラチオの先見は確かだった。古巣のランボルギーニはもちろん、隣町のフェラーリやその他のメーカーからもCFRPパーツのデザインと生産という仕事が舞い込んだ。
満を持して世に送り出したゾンダ、そして続くウアイラでは、ボディ骨格はもちろんのことありとあらゆるパーツが、カーボンと高価な軽金属、高品質なレザーで作り込まれており、まさに走る宝石というべき存在となった。
世界限定99台の第三世代、ユートピア登場!
ゾンダ(C8)、ウアイラ(C9)に次ぐオリジナルモデル第3弾がユートピア(C10)だ。完全新設計のシャシー&ストラクチャーとしつつ、リアミッドにメルセデスAMGがパガーニのために専用設計したV12ツインターボを864hpにまで性能を上げて搭載。Xトラック社製ミッションを組み合わせるが、顧客からの強い要望に応えて独自設計のマニュアル変速システムをXトラックに組み合わせることも可能とした。世界限定99台。
チタンカーボンファイバーを使った強固なボディ骨格とフルカーボンボディパネル、アルミフレームなどで、車重は1280kg。パワーウェイトレシオは1.48kg/hpだ。ウトピアのスタイリングは前2世代モデルのモダンなイメージを残しつつ、1960年代イタリアンスポーツプロトのふくよかなフェンダーラインを再現。シンプルビューティで、これみよがしなルックスになりがちなハイパースポーツカー界にあって異色のカタチだといっていい。