【スーパースポーツ特集】アストンマーティンは「007」にも愛されたイギリスの名門。今後はGTとミッドシップの2本立てに発展

アストンマーティン・ブランドストーリー Since:1913

アストンマーティンはスポーツカーレースで多くの栄光を獲得 写真のDB3Sは1953年から1956年に活躍した代表マシン ル・マンやミッレミリアを席巻する

アストンマーティンはスポーツカーレースで多くの栄光を獲得 写真のDB3Sは1953年から1956年に活躍した代表マシン ル・マンやミッレミリアを席巻する

モータースポーツで磨いた骨太メカニズム。数々の名車を輩出

 アストンマーティンの創業者であるロバート・バムフォードとライオネル・マーティンが共同でバムフォード&マーティンを起業したのは1913年のこと。その翌年、ライオネルは既存のエンジンとシャシーをベースに製作したスペシャルモデルを駆り、アストン・ヒルで開催されたヒルクライム競技に出場する。これが「アストンマーティン」というブランド名の発祥となった。

 創業当時はごく少量のレーシングカーを生産。いくつかの栄冠を勝ち取ったものの、経営は決して順調ではなく、オーナーシップは何度となく入れ替わった。1947年にはトラクターなどを生産するデイビッド・ブラウン社が買収。ラゴンダという名の自動車メーカーも所有していた同社は、2社を合併させてアストンマーティン・ラゴンダ社を設立する。ちなみに、ラゴンダにはベントレーの創設者であるW.O.ベントレーが技術者として参画しており、後にアストンマーティンの開発にもかかわるという歴史の綾も見られた。

 デイビッド・ブラウンの功績は、DB1に端を発するモデルシリーズを生み出したことにある。中でも、最も有名なのがDB5で、カロッツェリア・トゥリング製の美しいボディをまとった2ドアクーペは映画007『ゴールドフィンガー』にボンドカーとして登場し、アストンマーティンの名を世界的に知らしめるきっかけを作った。

 その後も経営は安定せず、一時はフォード傘下のプレミアム・オートモーティブ・グループの一員となったが、2020年にはカナダ人のローレンス・ストロール率いるコンソーシアムが大株主となり、同社の経営権を握ることとなる。

 現在の主力モデルはDBシリーズに代表されるフロントエンジンのグランドツアラーだが、近年はミッドシップ・スーパースポーツカー市場にも進出。今後はグランドツアラーとミッドシップスポーツの2本立てでブランドの活性化を図る計画のようだ。

アストンマーティンの名はヒルクライムレースの勝利に由来 創業者ロバート・バムフォードとライオネル・マーティンは1913年に起業 写真は1914年生産車

アストンマーティンの名はヒルクライムレースの勝利に由来 創業者ロバート・バムフォードとライオネル・マーティンは1913年に起業 写真は1914年生産車

1947年にディビット・ブラウン社に買収されアストンマーティン・ラゴンダが設立される 写真はW.O.ベントレーが設計に参画したラゴンダM45

1947年にディビット・ブラウン社に買収されアストンマーティン・ラゴンダが設立される 写真はW.O.ベントレーが設計に参画したラゴンダM45

DBR4は1959年にデビューしたフロントエンジンのF1マシン これを最後にアストンマーティンはF1から撤退したが2021年からF1に復帰している

DBR4は1959年にデビューしたフロントエンジンのF1マシン これを最後にアストンマーティンはF1から撤退したが2021年からF1に復帰している

DB5は映画007『ゴールドフィンガー』でボンドカーに起用され世界的に有名に 軽量なスーパーレジェッラ構造を採用 パワーユニットは4リッター直6DOHC

DB5は映画007『ゴールドフィンガー』でボンドカーに起用され世界的に有名に 軽量なスーパーレジェッラ構造を採用 パワーユニットは4リッター直6DOHC

珠玉のFRサラブレッド。DB11・V12クーペの誘惑

アストンマーティンDB11・V12クーペ 価格:8SAT 2870万円 DB11はDBシリーズの頂点に位置するGTモデル 5.2リッター・V12(639ps/700Nm)搭載 V8も選べる

アストンマーティンDB11・V12クーペ 価格:8SAT 2870万円 DB11はDBシリーズの頂点に位置するGTモデル 5.2リッター・V12(639ps/700Nm)搭載 V8も選べる

 V12ツインターボは、たじろぐほど劇的なサウンドで目を覚ました。早朝の住宅街ではちょっと気が引ける。しばらくするとボリュームはダウンするが、待っていられないほどのラウドさ。もっとも、そのサウンドこそがドライバーを奮い立たせてやまないのだが。

 DB11は幅が広くルーフも低い。そのため凄まじく平べったく感じる。室内はさほど窮屈さを感じないものの、フロントウィンドウの天地は薄く、ワイドなクルマだという印象が先に立つ。けれどもステアリング操作に対してフロントアクスルがよく反応するため、動き出すと大柄なクルマだとは次第に思わなくなった。

 高速道路では質の高いグランドツーリングカーに徹した。低回転域ではエンジンサウンドも控えぎみで適度。そのさえずるような音が心地よい。路面からのショックも綺麗にいなし、ボディもまた余計な振動を増幅させることがない。伸びやかだが筋肉質、ビシッと引き締まっている。上質なGTカーである。

全長4750mm トップスピードは334km/hに達し0~100km/h加速は3.7秒

全長4750mm トップスピードは334km/hに達し0~100km/h加速は3.7秒

室内は本革で仕上げた伝統的な味わい クラフツマンシップ溢れる作りが魅力

室内は本革で仕上げた伝統的な味わい クラフツマンシップ溢れる作りが魅力

エンブレム

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