【スーパースポーツ特集】マセラティはボローニャの象徴、トライデントがエンブレム。高い技術力を背景に良質なGTを輩出

マセラティ・ブランドストーリー Since:1914

マセラティは1926年のティーポ26以来モータースポーツに積極参戦 写真は1961年のニュル1000kmを制覇したティーポ61 独自のバードケージ構造を採用

マセラティは1926年のティーポ26以来モータースポーツに積極参戦 写真は1961年のニュル1000kmを制覇したティーポ61 独自のバードケージ構造を採用

初のレーシングカー、ティーポ26にトライデントを採用

 マセラティは、アルフィエーリ、エットーレ、エルネストのマセラティ兄弟により1914年に設立された。もともとレースに情熱を抱く長男カルロの影響で自動車界に足を踏み入れた3人だったが、創業直前にカルロは病死。続いて第1次世界大戦が勃発するなど、その船出は決して順風満帆ではなかった。

 それでも点火プラグの製造を足がかりにして事業を拡大。1926年には初のレーシングカー、ティーポ26でタルガフローリオに参戦し、初戦でクラス優勝を果たす。このとき、マシンに掲げられていたのがトライデント(三叉の矛)。これは、ボローニャのシンボル、トライデント像の手に握られているもので、以来、マセラティのトレードマークとなっている。

 1929年にはV16エンジン搭載のV4で速度記録に挑戦。246.069km/hをマークして新記録を樹立した。ただし、財政状況は思わしくなく、1937年にはアドルフ・オルシが買収。その一方でF1などに参戦して多くの成功を収めたほか、美しいクーペボディを架装したグランドツーリズモを次々と発表し、次第に名声を確立していく。
 しかし、その後もマセラティの経営は安定せず、1960年代以降はシトロエン、デ・トマソ、フィアット・グループなどが経営権を掌握。現在はフィアットを傘下に収めるステランティス・グループの一員としてラグジュアリーカーの開発と生産に取り組んでいる。

 製品面では、1960年代から70年代にかけてミッドシップスポーツカーを手がけた時期もあったが、基本的には豪華で長距離ドライブを安楽にこなすグランドツーリズモをブランドの軸に据えてきた。さらに2020年にはMMXXと題したブランド再構築のイベントを開催。今後は電動化を強力に推し進めるとともに、スーパースポーツカーのMC20やSUVのグレカーレといった新世代モデルを投入する方針を明らかにしている。

タルガフローリオで4連勝を飾った1940年のティーポ4CLの勇姿 最新MC20も栄光を継承するため伝説のコースでテストを行ったという

タルガフローリオで4連勝を飾った1940年のティーポ4CLの勇姿 最新MC20も栄光を継承するため伝説のコースでテストを行ったという

1963年から70年に生産されたミストラルは当時の中心モデル 3.5/3.7/4リッターの直6エンジンを搭載 写真のクーペとスパイダーが選べた

1963年から70年に生産されたミストラルは当時の中心モデル 3.5/3.7/4リッターの直6エンジンを搭載 写真のクーペとスパイダーが選べた

マセラティは高性能で良質なGT作りで高い評価を獲得 写真は1966年のギブリ 4.7リッター・V8ユニットを搭載 デザインはカロッツェリア・ギア時代のG・ジュージアロ

マセラティは高性能で良質なGT作りで高い評価を獲得 写真は1966年のギブリ 4.7リッター・V8ユニットを搭載 デザインはカロッツェリア・ギア時代のG・ジュージアロ

1970年代にはV8を積むミッドシップ構成のボーラ(写真)とV6のメラクで人気を獲得 この時代はシトロエン傘下に属していた

1970年代にはV8を積むミッドシップ構成のボーラ(写真)とV6のメラクで人気を獲得 この時代はシトロエン傘下に属していた

エンブレム

最新モデルはすべてを新設計したMC20

マセラティMC20チェロ 価格:8DCT 3385万円(予価) MC20はすべてが新設計の新世代スーパースポーツ チェロはオープントップ仕様

マセラティMC20チェロ 価格:8DCT 3385万円(予価) MC20はすべてが新設計の新世代スーパースポーツ チェロはオープントップ仕様

 走り出しての第一印象は、エンジニアリングの真面目さが際立っていること。とくに新開発のエンジン(=ネプチューンユニット)がそうだ。ターゲットスペックを一途に狙って開発したという感じがにじみ出る。その分、フィールやサウンドといった遊び心にはやや欠ける。

 スポーツカーとしての性能はすべての指標において超一級だ。500kmの長旅を一気にこなすしなやかさも持っている。街中の乗り心地もよく、ドライバビリティに優れる。ワインディングロードでは、思わず息を詰めて走ってしまうほどに楽しい。

 ステアリングフィールはあくまでもダイレクトかつソリッド。前輪はハンドルを通じて両腕と直接つながっているかのようだ。しかもリアのトラクションは絶大で、一般道レベルであればどんなコーナーでも安心して踏んでいける。ブレーキフィールは安心と正確さという点でロードカーとして最高の部類だった。MC20はマセラティの新基準を樹立したスーパーモデルだ。

MC20は3リッター・V6ツインターボ(630ps/730Nm)搭載 トップスピードは320km/h

MC20は3リッター・V6ツインターボ(630ps/730Nm)搭載 トップスピードは320km/h

室内は快適性に配慮した作りこみ ステアリングにエンジン始動ボタン配置する

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