伊アウトモビリ・ランボルギーニは11月19日(現地時間)、スクアドラ・コルセのモータースポーツの経験を精力的に投入した公道仕様のスーパースポーツカー「ウラカンSTO(Huracán STO)」をオンライン発表。また翌20日には、日本で同車をお披露目した。本国での最初のデリバリーは2021年春以降を予定。日本での車両価格は3750万円(税別)に設定し、デリバリーは2021年夏ごろになる見込みだ。
ウラカンのワンメイクレース・シリーズの名称であるスーパートロフェオと、その公認車両を意味するオモロガータを組み合わせた“STO”の略称を冠するウラカンSTOは、ランボルギーニのレースカーのウラカン・スーパートロフェオEVOや、デイトナ24時間レースで3連覇、セブリング12時間レースで2連覇を果たすなど数々のグローバルレースを制したウラカンGT3 EVOの開発で培った先進のレーシングテクノロジーを導入しながら、公道走行を可能としたロードバージョンの新型スーパースポーツカーに仕立てたことが特徴である。
縦置きミッドシップ搭載のパワーユニットはウラカンEVOと基本的に共通の5204cc・V型10気筒DOHCエンジンで、圧縮比は12.7に設定。最高出力は640hp/8000rpm、最大トルクは565Nm/6500rpmを発生する。トランスミッションにはANIMA(Adaptive Network Intelligent Management)ボタンによってシフト特性の変更が可能な7速DCTを採用し、駆動機構には機械式セルフロッキングディファレンシャルを組み込んだ後輪駆動を採用。また、新ドライブモードとして、STO(デフォルト)/Trofeo(ドライ路面のスポーツ走行用)/Pioggia(ウエット路面のスポーツ走行用)という3種類を設定した。
基本骨格については、軽量アルミニウムとカーボンファイバー材で構成したハイブリッドシャシーに、アルミニウムと熱可塑性樹脂で仕立てたボディを組み合わせる。懸架機構には平行四辺形を描くアルミニウム製ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、スチール製スプリングとハイドロリックダンパー、電磁ダンパー制御のマグネライドを装備。また、制動機構には前Φ390×34mm/後Φ360×28mmの新CCM-Rクロスドリルド加工カーボンセラミックベンチレーテッドディスクブレーキを、シューズには前245/30R20、後305/30R20サイズの専用開発ブリヂストンPOTENZAタイヤと前8.5J×20、後11J×20マグネシウムホイールを組み込んだ。車両重量は1339kgに抑え、パワーウェイトレシオは2.09kg/hp、前後重量配分は41:59を実現。公表性能は0→100km/hが3.0秒、最高速度が310km/hを誇る。
エクステリアに関しては、徹底したエアロダイナミクスを施したことが訴求点だ。まず、フロントボンネット、フェンダー、フロントバンパーをひとつのコンポーネントとして一体化し、軽量化とともにモータースポーツシーンにおける脱着の時間短縮を図る。この機構は、イタリア語でボンネットを意味するcofano(コファーノ)とフェンダーを意味するparafango(パラファンゴ)を合わせて「Cofango(コファンゴ)」と呼称。また、Cofangoは気流をフロントフェンダーの上に押し上げるような形状に仕立て、合わせてフロントフェンダーにルーバーを設けてホイールハウスから抜ける気流を最大化して内側の圧力を低減すると同時に、フロントのダウンフォースを増大させる仕組みとした。
一方で新造形のリアフェンダーは、車両のフロントエリアを削減してドラッグを低減しながら、リアのダウンフォースを高めて総合的な空力性能を向上。また、エンジンルームへの空気吸入の役割を果たすNACAエアインテークも組み込む。さらに、リアボンネットには空冷効率を向上させるエアスクープを設置。合わせて、ボンネットと一体となったシャークフィンを装備し、ヨー安定性の向上およびウィングへの整流効果を実現した。そして、手動調整が可能な新デザインのリアウィングは、2枚のシングルスロットで翼面を構成し、前部の翼面を3つの位置に回転させてダウンフォースを増大。前部と後部の翼面の間を狭めると、翼面の上側の圧縮が増し、前部の翼面の下側でより強くて広い吸引効果が発生する仕組みだ。
最新のエアロデバイスによって、ウラカンSTOはクラス最高レベルのダウンフォースと後輪駆動車として最上の空力バランスを達成し、コーナリング性能の向上に大きく貢献する優れた空力負荷を実現。全体としては、空力効率が37%ほど向上したほか、ウラカン・ペルフォルマンテ(Huracán Performante)に比べてダウンフォースが53%もアップする。また、外装パネルの75%をカーボンファイバーで仕立て、合わせて軽量ウィンドスクリーンやマグネシウムホイールを採用するなどして、さらなる軽量化を達成した。
内包するインテリアも、徹底した軽量化を実施。コクピット全体にカーボンファイバー材を多用し、スポーツシートの骨格もフルカーボンファイバーで仕立てる。一方、操作機構には新HMI(ヒューマンマシンインターフェース)を採用。タッチスクリーンでドライビングモードやLDVI、タイヤ空気圧、ブレーキ温度などの機能表示の操作をできるように設定した。
なお、ウラカンSTOは他のランボルギーニ車と同様、Ad Personamプログラムの多彩なオプションを活用してカラーやトリムを自由にカスタマイズすることも可能である。