レクサスIS350Fスポーツ 価格:8SAT 650万円 試乗記
フルモデルチェンジ並みの大幅改良が実施されたISに、開発の拠点となったトヨタ・テクニカルセンター下山で試乗した。
実車は写真以上にスタイリッシュ。カッコよさが際立つ。低いフロント回り、ワイド&ローを強調したスタンス、クーペを彷彿とさせるサイドビュー、そして横一文字のリアコンビネーションランプが新鮮だ。素直に「スポーツセダンはいいな」と思わせる。
インテリアは小変更。今回の改良の「選択と集中」の結果だろう。ただしインパネ上部は新設計。ここまでやるならステアリングホイールの形状や操作系、メーター表示など、最新レクサスと同じ意匠にグレードアップしてほしかった。
パワートレーンは3.5リッター・V6(318ps/350)、 2.5リッター直4(178ps)+モーター(143ps)のハイブリッド(300h)、そして2リッター直4ターボ(245ps/300)の3種。ハイブリッドはモーターアシスト制御を変更、2リッターターボはアダプティブ式ATの採用など、アップデートされた。
プラットフォームは従来モデルと同じNプラットフォーム。ただし、GSが用いるワイドトレッド仕様のNワイド(従来のISはNナロー)をベースに高剛性化を実施。サイドラジエターサポートの補強やフロントメンバーのスポット打点追加、Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化が行われた。前ダブルウィッシュボーン、後マルチリンク式サスペンションはセッティングが見直され、アルミ製ロアアームの採用、タイヤ大径化(19インチ・一部を除く)、ハブボルト式のホイール締結などを実施する。
走りは見た目と同じく「激変レベル」だ。グリップバランスが適正化されたことで、クルマの動きに連続性が増し、一体感が強調された。ハンドリングの自由度もぐっと向上している。ドライバーの運転操作で弱アンダーから弱オーバーまで自在に操れる。足を綺麗に動かす設定が、プラスをもたらしているようだ。しかも限界時の動きは唐突ではない。ジワーッと流れるような懐の深いコントロール性である。新型は「FRの旨み」が、存分に実感できる。
ひとつ惜しいのは、従来と大きくは変わらない、ややルーズで曖昧なステアリング系。最新モデルのスッキリしたフィールや直結感には到達していない。ここが改良されれば、クルマとの対話性はぐっと高まるに違いない。個人的には軽快で前後バランスが最良の2リッターターボ、すなわち 300が、最も「ISらしい」と感じた。
新しいISは「知り尽くしたリソース」と「TNGAの知見」が融合し、1+1=3になった気がする。スポーツセダン復権を告げる魅力的な存在だ。
グレード=350Fスポーツ
全長×全幅×全高=4710×1840×1435mm
ホイールベース=2800mm
トレッド=フロント1580/リア1570mm
車重=1660kg
エンジン=3456cc・V6DOHC24V(プレミアム仕様)
最高出力=234kW(318ps)/6600rpm
最大トルク=380Nm(38.7kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=10.7km/リッター(燃料タンク容量66リッター)
(市街地/郊外/高速道路=7.0/11.2/13.2km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント235/40R19/リア265/35R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=5名
最小回転半径=5.2m
●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
●主要装備:レクサスセーフティシステム+(プリクラッシュセーフティ=歩行者・自転車運転者検知機能付き衝突回避支援タイプ+レーントレーシングアシスト+オートマチックハイビーム+全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール+ロードサインアシスト+ドライバー異常時対応システム/先行車発進告知機能)/ブラインドスポットモニター/パーキングサポートブレーキ/バックガイドモニター/ヒルスタートアシストコントロール/UVカット機能付きウインドシールドガラス(遮音タイプ)/スマートエントリー&スタートシステム/電動チルト&テレスコピックステアリングコラム/ゲート式シフトレバー/アナログクロック/前席電動調節機能/プレミアムサウンドシステム/10.3インチワイドディスプレイ/ナビゲーションシステム/Fスポーツ専用フロントグリル&ロッカーモールフィン&リアバンパーロアガーニッシュ/サウンドジェネレーター/フロントパフォーマンスダンパー/ドライブモードセレクト/専用8インチTFTメーター/ディンプル本革スポーツステアリング/アルミ製スポーツペダル&フットレスト/専用スポーツシート