レクサスISに500 Fスポーツパフォーマンスにアメリカ・サンタバーバラで試乗(北米仕様)した。注目のパワートレインはRC Fと共通。481ps/535Nmを誇るV8・5リッター自然吸気(2GR-GSE)と8速SPDS(スポーツダイレクトシフト)と呼ばれるATの組み合わせだ。
走りは最高に気持ちいい。実用域では穏やかな特性。トルクで走る感覚は最近のダウンサイジングターボとは明確に違う。ひとたびアクセルを踏むと性格は激変。レスポンスの鋭さ、回転が上がるにつれて炸裂するパワー感がドライバーを圧倒する
シャシー系も専用バージョン。ハンドリングは、フロントに大きく重いエンジンを搭載しているとは信じられないほど上手に調教している。軽快で前後バランスが整った一体感の高い動き、良好なトラクションによって、ハイレベルな走りが楽しめた。まさにアンバランスをバランスさせた味付けと言えるだろう。乗り心地は、わずかに引き締められているが、路面状況によっては標準車以上に快適に感じたほどである。
公道のみの試乗だったが、サーキットでも十分に楽しそうである。だがIS500 Fスポーツパフォーマンスが目指したのは純スポーツではない。あくまでも日常(=ストリート)での気持ちよさ/心地よさを重視している。だからこそISFではなく、Fスポーツパフォーマンスを名乗っているのだ。
すでに限定500台の「ファーストエディション」は申し込みは終了しているが、通常モデルもシッカリ用意されているのでご安心を。今年の冬ごろに詳細が発表される。要チェックである。
IS500 Fスポーツパフォーマンスにガチンコなライバルは存在しない。しかし高出力エンジン搭載のFRスポーツセダンと言う意味では日産スカイライン400Rが近い存在だ。エンジンは官能性の高いV8・5リッターと洗練されたV6・3リッター・ツインターボという違いはあるが、どちらも現代のエンジンでは数少ない「パフォーマンス重視」のキャラクターである。シャシーはどちらも最新ではなく熟成に熟成を重ねた逸品で、良くも悪くも粗削りでドライバーの腕が試されるじゃじゃ馬感があるのがいい。
走りの洗練度はIS500、FRとしての対話性の高さはスカイライン400Rだろう。そして、共通するのは最新モデルでありながらもどこか昔のクルマの匂いが残る点だ。どちらも価値はあるモデルだが、中でもIS500のV8・5リッターユニットは絶滅危惧種。迷っている暇はない。ただ、逆を言えば今後出てくる電動化スポーツモデルは、これらのモデルを超えるようなワクドキがないと商品価値がないと思ったほうがいいだろう。スポーツモデルの未来は意外に明るい気がしている。
グレード=500・Fスポーツパフォーマンス
価格=8SAT 850万円
全長×全幅×全高=4760×1840×1435mm
ホイールベース=2800mm
トレッド=前1580/後1570mm
車重=1720kg
エンジン=4968cc・V8DOHC32V(プレミアム仕様)
最高出力=354kW(481ps)/7100rpm
最大トルク=535Nm(54.6kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=9.0km/リッター(燃料タンク容量66ℓ)
(市街地/郊外/高速道路=5.5/9.5/11.8 km/リッター)
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=前235/40R19/後265/35R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=5名
最小回転半径=5.2m
※価格は消費税込み、スペックは日本仕様