ランボルギーニ・ウラカンEVO・RWDスパイダー 価格:7SMT 2919万3598円 試乗記
ウラカンはアルミ&カーボンのハイブリッド構造シャシーに、ハイパワーV10自然吸気エンジンを搭載。ガヤルドの後継モデルとして登場した。デビューは 2014年春。もちろんミッドシップの2シーターレイアウトである。
ウラカンは圧倒的なパフォーマンスでファンを魅了し、ガヤルドを上回るヒット作になった。2019年にマイナーチェンジを実施。EVOに発展する。駆動方式はAWDとRWD。それぞれにクーペとスパイダーを設定している。
ウラカンEVOは、強者揃いの3000万円級スーパーカーの中でもユニークなキャラクターの持ち主である。魅力は絶品のマルチシリンダー自然吸気エンジン、そして磨きがかかったエアロダイナミクスと電子制御デバイスである。
オールマイティに最新ランボルギーニを味わいたいのならAWDを勧める。一方、ドライビングを極めたい硬派にはRWDがお勧めだ。フロントとリアのデザインは駆動方式で若干異なり、AWDはどちらかというと複雑なラインの組み合わせ。対してRWDはシンプルで潔い。個人的にはRWDのデザインのほうが好みだ。
リアミッドに搭載する5.2リッターのV10自然吸気エンジンは、前期型RWDから30ps増強、つまり前期型のAWDモデルと同じ610psになった。トランスミッションは7速デュアルクラッチ式だ。なお、AWDモデルも出力アップしており、前期型の高性能仕様、ペルフォルマンテと同じ640psを誇る。
ウラカンは、ドライブモードセレクター、ANIMA(アニマ)が運転のキャラクターを決める。RWDのアニマは専用セッティング。ストラーダ/スポーツ/トラックの3種から選べる。ストラーダは後輪を安全に制御、ドライブしやすい弱アンダーのセッティング。コルサはその名のとおりサーキットモードで、ニュートラルステアを堅持。できるだけスリップを抑えてコーナーでの脱出速度を高める。確かに速いが、しかし、楽しくはない。
最もドライバーをエキサイトさせるのは、スポーツモードだ。オーバーステア状態になっても、クルマ側が見事に制御。適切なトルクと最適なステアリングアシストにより、ドリフトコントロールが自在に楽しめるように調律されている。しかもクルマ側が制御しているのに、ドライバーには「操る醍醐味」がある。もう、最高だ。
RWDの魅力は、前輪が駆動力から開放されている感覚がつねに感じ取れる点だ。EVOは前期型に比べて高速走行時の後輪の安定感がぐんと増したうえ、専用セッティングの制御システムの完成度はピカイチ。いまやオーバーステアも容易にコントロールできるようになった。610psのBIGパワーRWDスーパーカーとしては、異例の扱いやすさだ。
パワートレーンは、クーペとスパイダーで共通。パフォーマンスもほぼ同等。スパイダーのトップスピードは324km/hに達する。自在なハンドリング性能を持つ大パワーのミドシップスポーツだ。どうせならクーペでなく、オープンで操りたい。スーパーカーは非日常の存在。刺激的なほど、価値がある。
ルーフはコンパクトで軽量なソフトトップ構造。RHT(リトラクタブルハードトップ)よりも、見栄えは断然エレガントである。トップは電動油圧式で、開閉に要する時間は約17秒。50km/h以下であれば、走行中の開閉操作も可能だ。
ウラカンEVO・RWDスパイダーはスーパーカー界きってのファン・トゥ・ドライブなマシン。並のスーパーカーだと、蛮勇を持って立ち向かわなければならない過激なドライビングを、絶品のエンジンサウンドをBGMに、オープンでスマートに楽しむことができる。
価格=7SMT 2919万3598円
全長×全幅×全高=4520×1933×1180mm
トレッド=フロント:1668×リア:1620mm
ホイールベース=2620mm
車重=1509kg
乗車定員=2名
エンジン=5204cc・V10DOHC40V
最高出力=449kW(610ps)/8000rpm
最大トルク=560Nm(57.1kgm)/6500rpm
燃料タンク容量=83リッター
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/35ZR19/リア:305/35ZR19
駆動方式=RWD
最小回転半径=5.75m
最高速度=324km/h
0→100km/h加速=3.5秒
※価格を除きスペックは欧州仕様