スポーツ派を完全魅了。史上最高のオープンスポーツ上陸

BMWZ4 M40i 試乗記

Z4-01.jpgBMWZ4M40i 価格:8SAT 835万円

スタイリングは引き締まった印象

 BMWを代表するスポーツモデル、Z4の3rdモデルが上陸した。日本仕様は、3リッターの直6ターボ(340 ps)を搭載したM40iと、2リッター直4ターボ(197ps)を積む20iシリーズをラインアップ。試乗車はトップモデルのM40iである。 

 新型のスタイリングはオープンスポーツらしい引き締まった印象。FRレイアウトならではのスポーティな雰囲気が濃厚に漂う。すらりと伸びた長いノーズと、後ろ寄りにレイアウトされたキャビンを組み合わせたプロポーションは、2002年に誕生した1stモデルを思い出す。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4335×1865×1305mm。旧型比で全長は85mm長く、全幅は75mmワイド、全高は15mm高い。2470mmのホイールベースは25mm短縮された。

 新型は、全長はともかく、全幅がワイドなこともあって、「コンパクト」とは表現しにくい。それでも、2人のためのタイトなキャビンは、パーソナル感を強く演出している。

 ルーフはソフトトップ仕様。旧型の凝った(それゆえ重量がかさむ)リトラクタブルハードトップ方式は廃止された。開閉はフル電動タイプで、所要時間はわずか10秒。50kmhまでなら走行中も操作できる。

Z4-02.jpg新型はボディ剛性を大幅にアップ ねじり剛性は旧型比30%向上 足回りの見直しでスポーツ性を追求した M40iは電子制御Mスポーツデファレンシャル標準 0100kmh加速は4.5秒でクリア

珠玉のストレート6。絶品パフォーマンス

 車重は1570kg。最大のライバルとなる718ボクスター比で200kg近くも重い。この点はちょっと残念だ。718ボクスターは4気筒エンジンではあるが、6気筒ユニットを搭載していたかつての981型ボクスターと比較しても、Z4のほうが重い。

 パフォーマンスは超一級品だ。実に速い。スピードの伸びは発進時はもちろん、高速域でも強力そのもの。0→100km/h加速4.5秒のカタログ値が素直に実感できる。しかも、ターボチャージャー付きにもかかわらず低回転域からアクセルレスポンスはごく自然で、回転数の上昇とともに刺激的なサウンドを奏でる。強力なパワーだけでなく、回転フィールといった「情感の豊かさ」という点でもほれぼれする。まさに珠玉のストレート6だ、と報告できる。

 718ボクスターのエンジンは、大幅なパワーアップを果たした半面、滑らかさと官能的な回転フィールが薄れた。この点でZ4のエンジンは、明らかなアドバンテージを持っている。

 8速ATの完成度にも驚いた。ステップATならではの微低速シーンの滑らかな制御に加え、DCTに引けを取らないダイレクトな伝達感が味わえた。このハイレベルな仕上がりが、走りの好フィーリングを盛り上げているのは間違いない。

Z4-03.jpgインパネは10.25インチワイドディスプレイ(HDDナビ内蔵)とデジタルメーターを装備した最新BMW共通造形 M40iはグリップは太いMスポーツステアリング標準 操縦性は引き締まった感覚

意のままのハンドリングに感嘆

 トップを閉めた状態の静粛性は優秀である。リトラクタブル式ハードトップをソフトトップに改めた関係で、うるさくなったのではないかと想像していたが、杞憂だった。トップ部分の「張り」は強く、速度が高まってもバタつき音はまったく発生しない。同時に、タイヤが生むロードノイズは思いのほか小さい。「直6サウンド」がクリアに耳に届くのは、新型が静かなクルマに仕上がっていることと関係している。

 ハンドリングはまさに意のまま。旧型に対してホイールベースを短縮したのは、スポーティなハンドリングを追求したからだ。ステアリングレスポンスは、「違和感を抱かない範囲で、極限までシャープ」に仕上がっている。ワインディングは得意中の得意だ。

 5050の理想的な前後重量配分と、電子制御式のLSD、Mスポーツデファレンシャルがもたらす高いトラクション能力が、コーナリング時に安心してアクセルペダルを踏み込める「優れたハンドリング」に貢献している。

 乗り心地も素晴らしい。1st2ndモデルで感じられたヒョコヒョコとせわしないボディの動きはすっかり姿を消した。新型は、歴代Z4で初めて「しなやか」と表現できる完成度を身につけている。

 オープンボディの持ち主としてはボクスターと並んで「最上級」と評価できる高いボディ剛性が印象的だった。しっかりしたボディは、優れたパフォーマンスと、快適なハンドリング、そして上質感の源泉となっている。

 新型Z4は、どこをとっても「痛快な仕上がり」が実感できる。まさに史上最高のBMWオープンモデルだった。スポーツ派ドライバーを魅了する、高い実力と魅力を秘めている。

Z4-04.jpgサポート性を高めたスポーツシート標準 本革はオプション シートカラーはコニャック(写真)とレッドと黒の3色 室内は適度にタイト

Z4-05.jpgルーフはソフトトップ仕様 開閉はフル電動タイプ 所要時間はわずか10秒 50kmhまでなら走行中も操作できる

※次ページでスペックを紹介

BMW Z4M40i主要諸元と主要装備

Z4-07.jpg

グレード=M40i
価格=8SAT 835万円
全長×全幅×全高=4335×1865×1305mm
ホイールベース=2470mm
トレッド=フロント1595/リア1590mm
車重=1570kg
エンジン=2997cc6DOHC24Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=250kW340ps)/5000rpm
最大トルク=500Nm51.0kgm)/16004500rpm
WLTCモード燃費:12.2km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(市街地/郊外/高速道路=8.412.614.8km/リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア5リンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント25535R19/リア27535R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=2
最小回転半径=5.2m
●主要燃費改善項目:無段階バルブリフト(バルブトロニック)/筒内直接噴射/吸排気無段階可変バルブタイミング(ダブルVANOS)/充電制御/アイドリングストップ/電動パワーステアリング
●主要装備:ドライビングアシスト(レーンデパーチャーウォーニング+レーンチェンジウォーニング+前車接近警告+衝突回避・被害軽減ブレーキ+後車衝突警告+リアクロストラフィックウォーニング)/アクティブクルーズコントロール/BMWコネクテッドドライブ・プロフェッショナル/アダプティブLEDヘッドライト/ハイビームアシスト/パークディスタンスコントロール/タイヤ空気圧警告システム/アダプティブMサスペンション/Mスポーツデファレンシャル/Mスポーツブレーキ/ドライブパフォーマンスコントロール/バリアブルスポーツステアリング/Mエアロダイナミクスパッケージ/BMWインディビジュアル・ハイグロスシャドーラインエクステリア/セリウムグレー仕上げキドニーグリル&ロールバー/電動ブラックソフトトップ/BMWライブコクピット(10.25インチ・メーターパネル+10.25インチ・ワイドコントロールディスプレイ+HDDナビゲーション)/マルチファンクションMレザーステアリング/パーキングベンチレーション/3ゾーンオートAC/ヴァーネスカレザー&アルカンターラMスポーツシート/前席電動調整機構/スルーローディングシステム/アンビエントライト/スピーチコントロール(音声入力システム)/ワイヤレスチャージング/10スピーカーシステム
●装着メーカーオプション:ハーマンカードンサラウンド・サウンドシステム54000
●ボディカラー:サンフランシスコレッド(op9万円)
※価格とスペックは20194月現在
※撮影協力●マースガーデンウッド御殿場

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