VW ・Tクロス・TSI1stプラス 価格:7DCT 337万9000円 試乗記
VWラインアップで最も身近なSUV、Tクロスのインフォテイメント機能がグレードアップした。もともと全車ナビ標準装備だったが、それが常時コネクテッドの最新仕様(ディスカバーメディア)に変更されたのだ。
Tクロスは日常のパートナーに最適なコンパクトモデル。ボディサイズは全長×全幅×全高4115× 1760×1580mm。ホイールベースは2550mm。全高が1550mmオーバーのため、一部パレット式立体駐車場へ進入ができないのは残念だが、それを除くと、全長が55mm長い点以外はポロと同等である。日本の道路環境で最も使いやすい輸入車の1台だ。試乗車は上級グレードのTSI・1stプラスである。
日本仕様のパワーパックは、1リッター・3気筒のターボ付き直噴エンジン(116ps/200Nm)+7速DCTの組み合わせ。駆動方式はFWDのみ。4WDは未設定。降雪地帯が多く、Kカーでも4WDラインアップが揃う日本では、これは少々残念なポイントだ。
エンジンの実力は高い。2000rpmにして200Nmと、自然吸気の2リッターガソリン級のトルクを発し、動力性能は期待と予想を超える。1500rpm付近から豊かなトルクが実感でき、なかなか力強い。早いタイミングで次々と上位のギアにアップシフトが行われるDCTのプログラミングもあり、静粛性は特筆レベルにある。ただし4000rpmを超えると、3気筒特有の「上質とはいいかねるエンジン音」が明確になる。高回転域はあまり使うシーンはないにしても、やや気になる点だ。
ルックス重視と思われる18インチのシューズを履く関係もあり、フットワークテイストはやや硬質。が、剛性感に富んだブレーキのペダルタッチや、ゴルフやポロと同様の正確無比なハンドリング感覚もあって、「硬質な乗り味もVWの作品らしい」と好意的に受け取るユーザーもいるだろう。
パッケージングは優秀。コンパクトサイズなので、キャビン空間は決して「広大」とはいえない。それでも、フル4シーターとして満足できる。フロントシートに対してリアシートを明確にアップライトな配置にするなど、後席も大人が長時間抵抗なく過ごせるスペースを確保した。荷室も実用的な広さがある。
SUVに興味はあるが、巨大で高価なモデルは対象外、カジュアルで使いやすいモデルがほしいというユーザーにとって、Tクロスは最適な選択。「新時代のポロ」としてのキャラクターも兼ね備えたTクロスは、大いに魅力的である。
グレード=TSI 1stプラス
価格=7SMT 337万9000円
全長×全幅×全高=4115×1760×1580mm
ホイールベース=2550mm
トレッド=フロント:1525×リア:1510mm
車重=1270kg
エンジン=999cc直3DOHC12Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=85kW(116ps)/5000~5500rpm
最大トルク=200Nm(20.4kgm)/2000~3500rpm
WLTCモード燃費=16.9km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(市街地/郊外/高速道路=13.2/17.1/19.1km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トレーリングアーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/45R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.1m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/充電制御/DSG
●主要装備:アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)/レーンキープアシスト/スタティックコーナリングライト/ハイビームアシスト/リアビューカメラ/駐車支援システム/デイタイムランニングライト/ブラインドスポットディテクション/ドライバー疲労検知システム/前後パークディスタンスコントロール/リアトラフィックアラート/プリクラッシュブレーキ/LEDヘッドランプ/前後フォグランプ/ダークティンテッドガラス(リア3面)/レインセンサー/2ゾーンフルオートAC/VW純正インフォテイメントシステム・ディスカバープロ/デジタルメータークラスター/ETC2.0対応車載器/モバイルオンラインサービス/6スピーカー/パドルシフト/インテリアアンビエントライト/マルチファンクション本革巻きステアリング/スポーツコンフォートシート/シートアンダートレー/シルバールーフレール/18インチ5ダブルスポークアルミ
●ボディカラー:マケナターコイズメタリック(デザインパッケージ・グリーン、op3万3000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万2800円