レクサスLC500コンバーチブル 価格:10SAT 1500万円 試乗記
LCのデビューは2017年。以来、「ストラクチュラルブルー」など特別仕様を適宜設定することでニュースを発信、走行性能も着実に進化させてきた。そして待望のオープンモデル、LC500コンバーチブルが昨秋から日本市場でも発売された。
LCといえばこだわりぬいたクーペデザインが最大の魅力である。オープン化にあたっても美しいデザインの継承は必須だった。
ルーフは4層構造のソフトトップ。ベントレーやアストンマーティンなどハイエンドクラスのオープンは「ソフトトップ」が世界の主流だ。トップのクロス材質と構造が進化した現在では、クーペに匹敵する耐候性が実現できる。そのうえシステムが複雑なリトラクタブルハードトップ(RHT)より、デザイン性を優先しやすい。ルーフ面積の小さいスーパーカーならまだしも、マルチシートのGTカーにRHTを採用すると、どうしても不格好になる。
LCのソフトトップデザインは見事だ。オープン時にはトップが完全に収納されてクリーンなロードスタースタイルとなり、クローズド時もクーペと遜色のない美しさである。走行中でも50km/h以下なら操作でき、開閉は約15秒で完了。急な雨にも対処できる。
動的パフォーマンスにも注意を払った。ルーフを取り払ったことによる走りのネガを最小限に抑えるために、各種ブレースを追加している。さらにヤマハ製パフォーマンスダンパーも備わる(こちらはクーペも同様)。
ライドフィールは高級コンバーチブルと呼ぶにふさわしい。クローズド状態はもちろん、オープン時でもボディはみしりともいわず、細かな路面段差は滑らかにいなす。オープン時の乗り心地はクーペよりいいくらいである。開けても閉めてもクーペと同等の走りを見せた。中でも5リッター・V8NA(477ps/540Nm)の心躍るエンジンサウンドを全身に浴びながらのオープンドライブは、少し背徳的な気分もあって、エンジン好きにはたまらない。国産大型スペシャルティのドライブフィールとしては史上最高の仕上がりだ。
内燃機関の音と心地よさを、いまのうちに思い切り楽しんでおきたい……そんなユーザーにぴったりのオープンクルーザーである。とはいえ、レクサスがレクサスらしいのは、やはりハイブリッドモデル。それはLCでも同じだ。ハイブリッドの追加に期待したいところだが、幌の収納スペースに問題が生じると聞く。バッテリーなどハイブリッドシステムの設計変更が必要なのだ。それでも何とか実現してほしい。
グレード=500コンバーチブル
価格=10SAT 1500万円
全長×全幅×全高=4770×1920×1350mm
ホイールベース=2870mm
トレッド=フロント:1630/リア:1635
車重=2050kg
エンジン=4968㏄・V8DOHC32V(プレミアム仕様)
最高出力=351kW(477ps)/7100rpm
最大トルク=540Nm(55.1kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=8.0km/リッター(燃料タンク容量82リッター)
(市街地/郊外/高速道路=4.7/8.5/10.9km/リッター)
サスペンション=前後マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/45RF20/リア:275/40RF20+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
最小回転半径=5.4m
●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
●主要装備:レクサスセーフティシステム+(プリクラッシュセーフティ+レーンキーピングアシスト+オートマチックハイビーム+レーダークルーズコントロール)/ブラインドスポットモニター/リアクロストラフィックアラート/バックガイドモニター/サウンドジェネレーター/アクティブコーナリングアシスト/リアパフォーマンスダンパー/全自動ソフトトップルーフ/ウインドディフレクター/アクティブロールバー/コンバーチブル専用前席セミアニリン本革シート/ネックヒーター/レクサスLCプレミアムサウンドシステム/フロント対向6ポッド&リア4ポッドブレーキシステム/フルLEDヘッドライト/10.3インチワイドディスプレイ&ナビシステム/ステアリングヒーター/電動チルト&テレスコピックステアリングコラム/アナログクロック/オートAC
●装着メーカーop:トルセンLSD4万4000円/21インチランフラットタイヤ+鍛造ポリッシュ仕上げ&ポリッシュ塗装アルミ16万5000円/カラーヘッドアップディスプレイ8万8000円/マークレビンソン・リファレンスサラウンドサウンドシステム22万3300円
●ボディカラー:テレーンカーキマイカメタリック
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万3550円