トヨタRAV4アドベンチャー 試乗記
トヨタRAV4アドベンチャー 価格:10CVT 313万7400円
SUVのワクドキを再び!
前輪駆動(FF)乗用車のプラットホームやパワートレーンを活用してSUVを作る──現在、当たり前になった手法を世界で最初に取り入れたモデルは、1994年にデビューした1stトヨタRAV4だった。そのRAV4が3年ぶりに日本市場に復帰した。新型は5thモデルにあたる。
新型のテレビCMは、オフロードシーンが多いビジュアル表現になっている。最近のSUVとしては珍しい演出だ。試乗前のプレゼンテーションで、開発者からこの点について説明があった。
近年、さまざまなブランドから多くのSUVが登場しており、オンロード重視で快適指向のモデルがトレンドとなっている。この流れの中で、トヨタは「SUVならではのワクドキが薄れてきた」と感じたという。そこで5thモデルは、「ユーザーの若返りとともに、たくましさと洗練の両立」を目指した。
その象徴がアドベンチャーというグレード名称だ。フロントグリルとバンパー、スキッドプレート、ヘッドランプを専用形状で仕上げ、オフロードイメージを強調した仕立てになる。
新型のパワートレーンは、新世代エンジンを用いた2リッターガソリン(171ps)+CVTと、2.5リッター+モーター(システム出力222ps)のハイブリッドの2タイプだ。
試乗会で2リッターガソリン専用グレードのアドベンチャーと、ハイブリッドGに乗った。駆動方式はともに4WDである。
アドベンチャーはワイルド指向の内外装とダイナミックトルクベクタリング4WD機構を備えた2リッターガソリン(171ps)専用モデル タイヤは19インチ
個性的な「クロスオクタゴン」造形
スタイリングは2つの八角形を組み合わせた「クロスオクタゴン」と呼ぶ手法を取り入れ、力強い造形と広い視界を目指した。新型は流麗なSUVが増える中で、かなり個性的に映る。中でも、RAV4らしさを明確に表現しているモデルはアドベンチャーだろう。トヨタ製ピックアップや大型SUVを思わせるマスクから、たくましさを追求したコンセプトが伝わってくる。
室内はドアハンドルとエアコンのルーバーなどに多角形イメージを取り入れた。滑り止めのゴムを施したエアコンダイヤルなどが、独自の空間を作り上げている。
スクエア設計のキャビンは実に広い。後席は身長170cmのパッセンジャーが足を組める。荷室は後席使用時で580リッターという大容量。使い勝手に優れ、機能に裏づけられた造形だとわかる。
インテリアカラーは全グレードにブラックを用意したうえで、アドベンチャーにはライトブラウン、それ以外のグレードにはライトグレーを設定した。センターコンソールやインパネ助手席側に配されるアクセントカラーが印象的で、アドベンチャーはオレンジ、それ以外はブラウンになる。
アドベンチャーの室内は各部にオレンジの差し色が入りアクティブなイメージ ステアリングはウレタン製標準 写真の本革巻きはセットop
ランクルのノウハウを生かした足回り
2リッターガソリンを搭載するアドベンチャーの車重は1630kg。通常走行の場合、3000rpmあたりまでエンジンを回す機会が多いが、エンジン音が滑らかなので騒音は気にならない。パワーは十分、という印象を受けた。ハイブリッドGの車両重量は1690kg。余裕たっぷりの2.5リッターエンジンとモーターの組み合わせなので加速に不満はない。ゆっくり流すようなシーンは、ほぼモーターで走行。静粛性は非常に高い。
乗り心地はプラットホームの高い完成度を実感した。新型RAV4のTNGAはC-HR用ではなく、ワンクラス上のカムリ用がベース。オフロード走行を想定し、ランドクルーザーの開発スタッフからアドバイスを得て各部を強化したという。その効果は明確だ。オンロードでも、強固な土台としっとり動く足回りが好印象を盛り上げる。フットワークはパワートレーンが軽いアドベンチャーの自然な身のこなしがよかった。
4WDシステムは3タイプ 左の図版は世界初のダイナミックトルクベクタリングAWDでアドベンチャーとG・Zパッケージに搭載 前後トルクに加えて後輪トルクを左右独立で制御し旋回時の安定性を高める 中央の図版はGとXが採用しているシステムでFFと4WDを自動的に電子制御するダイナミックトルクコントロール方式 右の図版はハイブリッド用 後輪のモーター出力を高め前後駆動力配分の見直したE-Four
新開発4WDシステムがタフな走りを実現
試乗会ではフラットダートと、モーグルなどからなるオフロードコースも走った。走破性はアドベンチャー、ハイブリッドともにハイレベル。リアにトルクベクタリング機構を盛り込んだアドベンチャーは、コーナーで積極的にトルクを外輪にかけて旋回を強めていく。電気式4WD(E-Four)システムのハイブリッドは、リアモーターが強力になった関係で、後輪の駆動を感じながらのコーナリングが味わえた。
最低地上高はアドベンチャーが200mm。ハイブリッドは190mm、最新のSUVとしては十分な数値である。これもオフロード走行で安心材料になった。
RAV4は、米国におけるトヨタのベストセラーモデルだけあって完成度が高い。力のこもったモデルチェンジであり、日本でもタフで便利なSUVとして注目を集めるに違いない。SUV本来の力強さが鮮明に感じられ、頼りがいのあるニューカマーだ。
アドベンチャーのシートはサポート性を高めたスポーティ形状 素材はオレンジステッチ付き合成皮革 カラーは写真のブラックとオーキッドブラウンを設定
RAV4ハイブリッドG パワーユニットは2.5リッターエンジン+モーターの組み合わせ システム出力222ps WLTCモード燃費:20.6km/リッター プラットホームはカムリ用をベースに開発した最新TNGA
※次ページでスペックを紹介
トヨタRAV4アドベンチャー主要諸元と主要装備
グレード :アドベンチャー
価格=10CVT 313万7400円
全長×全幅×全高=4610×1865×1690mm
ホイールベース=2690mm
トレッド=フロント1595×リア1615mm
最低地上高=200mm
車重=1630kg
エンジン=1986cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=126kW(171ps)/6600rpm
最大トルク=207Nm(21.1kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=15.2km/リッター(燃料タンク容量55リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=11.5/15.3/17.5km/リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=235/55R19+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m
●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/自動無段変速機
●主要装備:トヨタセーフティセンス(衝突被害軽減ブレーキ+レーントレーシングアシスト+オートマチックハイビーム+全車速対応レーダークルーズコントロール+ロードサインアシスト)/先行車発進告知機能/ダイナミックトルクベクタリングAWD/マルチテレインセレクト/ドライブモードセレクト/ダウンヒルアシストコントロール/ヒルスタートアシスト/3灯式LEDヘッドランプ/フロントフォグランプ/専用フロントグリル+バンパー+シルバー塗装大型スキッドプレート/ウレタンステアリング/シーケンシャルシフトマチック(10速)/スマートエントリー/オプティトロンメーター/マルチインフォメーションディスプレイ/専用合成皮革シート/運転席電動調整機構/左右独立温度調整式オートAC/DCM(専用通信機)
●装着メーカーオプション:デジタルルームミラー4万3200円/インテリジェントクリアランスソナー2万8080円/リアクロストラフィックオートブレーキ+ブラインドスポットモニター6万6960円/本革巻きステアリング&シフトノブ+ステアリングヒーター+前席快適温熱シート&シートベンチレーション7万9920円/ハンズフリーパワーバックドア7万5600円/アクセサリーコンセント(ラゲッジAC100V)8640円/バックカメラ8640円
●ボディカラー:アッシュグレーメタリック×シアンメタリック(op5万4000円)
※価格とスペックは2019年4月現在