男とSUVは、タフで優しくなければならない！

日産エクストレイル20xハイブリッド　試乗記

日産エクストレイル20Xハイブリッド（4WD）　価格：CVT 313万2000円

「頑丈な道具」にこだわった設計思想

　エクストレイルは、2000年にデビューした1stモデルから一貫して「タフギア＝頑丈な道具」であることを個性としてきた。スポーツやアウトドアアクティビティのパートナーとして使い勝手を重視しており、メカニズムはオフロードをしっかり走れる機構を搭載している。乗用車的なＳＵＶとは一線を画した存在である。

　1st〜2ndモデルは、スタイリングもタフギアであることを主張するスクエアなフォルムを採用。インテリアは撥水加工を施したシートやフロアが特徴だった。

　それに比べると、現行3rdモデルはスラントしたノーズや傾斜の強い前後ウィンドウなど、乗用車らしくなったイメージを受ける。ただし、最低地上高は200〜205mmと、競合SUV比でたっぷりと確保されている。ボディサイズは全長×全幅×全高4690×1820×1730mmとのびやかだ。

ハイブリッドはモーターの前後にクラッチを設けた独自構造　システム出力は186ps　パフォーマンスはガソリン2.5リッター級　メカニカル式4WDシステム採用

信頼の4WDロックモード採用

　パワートレーンは２リッターガソリン（147ps）と、２リッターユニット（147ps）にモーター（41ps）を組み合わせたハイブリッドがある。ハイブリッドシステムは日産独自の構造で、モーターの前後にクラッチを組み込み、クラッチ制御によって電動走行、加速時のモーターアシスト、減速時のエネルギー回生などを行う。

　試乗車はハイブリッドの４WD。走りはスムーズだった。エンジンの始動停止、モーターの介入具合などは自然な感触だ。完成度の高い機構である。JC08モード燃費は20.0km／リッターだ。

　４ＷＤシステムは、ガソリン車同様、プロペラシャフトを用いたメカニカル方式。後輪をモーターで駆動するRAV4ハイブリッドの電動式に対し、高い走破性を狙っている。

　ドライブモードは3種。2WD、4WDオートモードに加え、前後のトルク配分を50対50に固定した4WDロックモードを備える。このあたりからもタフギアにこだわったエクストレイルのキャラクターが実感できる。

室内はシンプル　Dシェイプ本革巻きステアリング標準　左右独立温度調整式オートAC装備　インパネはソフトパッド仕上げ

快適なハイブリッドの走り

　乗り心地は良好。標準ガソリン車よりハイブリッド車のほうが快適だ。ガソリン車比で約50kg車重が増えたことと、バッテリーを固定するステーが、ボディ剛性アップに貢献しているようだった。

　フットワークはいい。車重の影響は気にならず、コンパクトなバッテリーを後車軸近くの低い位置に積んだ低重心設計が好印象につながる。

　現行モデルのデビューは2013年。すでに5年以上が経過している。最近登場したライバルと比べると新鮮味は薄い。しかしタフギアにこだわった作りや走りは、ライバルとはひと味違う世界観を持っている。

シートは合成皮革の防水仕様　ファブリックはオプション　しっかりとした乗り心地

ラゲッジ最大長は1745mm　ハイブリッドの荷室はガソリン車比で床が高い　リアゲートは電動式

※次ページでスペックを紹介

日産エクストレイル20Xハイブリッド主要諸元と主要装備

グレード＝20Xハイブリッド（4WD）
価格＝CVT　313万2000円
全長×全幅×全高＝4690×1820×1730mm
ホイールベース＝2705mm
トレッド＝フロント1575×リア1575mm
最低地上高＝200mm
車重＝1640kg
エンジン＝1997cc直4DOHC16V（レギュラー仕様）
最高出力＝108kW（147ps）／6000rpm
最大トルク＝207Nm（21.1kgm）／4400rpm
モーター最高出力＝30kW（41ps）
モーター最大トルク＝160Nm（16.3kgm）
JC08モード燃費 ＝20.0km／リッター（燃料タンク容量60リッター）
サスペンション＝フロント・ストラット／リア・マルチリンク
ブレーキ＝前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ＆ホイール＝225／65R17＋アルミ
駆動方式＝4WD
乗車定員＝5名
最小回転半径＝5.6m
●主な燃費改善対策：ハイブリッド／アイドリングストップ／筒内直接噴射／可変バルブタイミング／自動無段変速機／電動パワーステアリング
●主要装備：インテリジェントエマージェンシーブレーキ／踏み間違い衝突防止アシスト／前後バックソナー／車線逸脱警報／進入禁止標識検知／インテリジェント4×4／ヒルディセントコントロール／LEDヘッドランプ／ハイビームアシスト／オートライト／ファインビジョンメーター／本革巻きステアリング／オートAC／防水加工フロア／防水シート／カーペットインテリア（ラゲッジ）／リモコンオートバックドア／ドアクロームモール／アドバンスドドライブアシストディスプレイ／インテリジェントキー
●装着メーカーオプション：プロパイロット＋ステアリングスイッチ＋電動パーキングブレーキ＋オートブレーキホールド＋インテリジェント車線逸脱防止支援システム＋後側方車両検知警報＋後退時車両検知警報 14万400円／インテリジェントアラウンドビューモニター＋インテリジェントルームミラー6万8040円／ルーフレール5万4000円
●ボディカラー：プレミアムコロナオレンジパールメタリック（オプション5万4000円）
※価格とスペックは2019年4月現在