全長4180×全幅1765×全高1590mm。コンパクトSUVとして、大きすぎず小さすぎず、実にちょうどいいサイズ感。いまやSUVはすっかり市民権を得てサイズもズラリと揃い、ビギナーからファミリーまでこれを選んでおけば間違いないくらいの勢い。ヤリスクロスは、ヤリスの名前がついているだけあって、エントリーカーとして選んでいただいても実に乗りやすいモデルです。
このディメンションのおかげで、走りの落ち着き感や安定感はヤリスよりかなりグレードアップしているんです。安定感とキビキビ感にこだわって走り味を仕上げたというだけのことはあり、実にちょうどいいところを抑えた優等生なんですよね。
今回の試乗車はハイブリッドのFFでしたが、実はE-Fourモデル、電気モーターでリアタイヤを回す4WDモデルが本当によくできていて、深さのクリアランスさえ許せば、モーグルセクションのようなところでも、グイグイ走破できちゃう力強さにはちょっと驚きます。1輪タイヤが浮いてしまうようなところでも、絶妙な制御で駆動力を配分し、アクセルペダルを踏んでいるだけで脱出できる賢さは脱帽モノです。
モーターの制御はエンジンの制御よりも、瞬時に細かく作動してくれるので、実は険しいオフロードのようなところこそ、優位だったりするんです。極端にいえば、あと1cmだけ前へという動きができちゃう感じなんですよね。
もちろん、そんなことができるのも、任意でEV走行モードが選べるトヨタのハイブリッドシステムの強みでもあります。
たとえば、キャンプ場なんかでも、意外と木の根が出っ張っていたりして凸凹があるものですが、170mm確保された最低地上高のクリアランスもあって、さほど心配せずにクルマを動かせます。オーナー以外の家族や仲間がちょっとクルマを移動させるなんていうシーンが想定できるシチュエーションでも、大きな安心材料になります。しかもEV走行モードなら静かですし、排気ガスも出ないので、キャンプサイトで周囲にご迷惑を掛ける心配もありませんしね。
そんな走破力を含め、ヤリスクロスのいちばんスゴイところは、その多用途性にあるというのが私の考えなのですが、それがいちばんわかりやすく表れているところをひとつ挙げるとすると、ラゲッジスペースの広さになります。
フル乗車状態でゴルフバッグとスーツケースを一緒に積めるだけの積載力を持ち、普段使いで大きな荷物を積まないときは、細かく仕切って荷物が暴れないようにもできる。この優れた積載性と、ユーティリティ性能を見せつけられると、もはやグウの音も出ませんからね。ヤリスクロスの人気の高さは、それをこのボディサイズでやってのけているところだと思います。
1)ちょうどいいサイズ感のコンパクトSUV。とても乗りやすいので、ビギナーが初めてのマイカーとして選んで間違いなし
2)走りの安定感はヤリスよりもグレードアップしている。走破性に優れていて、アウトドアなどのアクティブシーンでの利用も安心
3)ボディサイズから想像する以上に、ラゲッジルームはクラストップレベルの広さで使いやすく、ユーティリティ性能が非常に高い
グレード=ハイブリッドZ
価格=260万6000円 全長×全幅×全高=4180×1765×1590mm
ホイールベース=2560mm
トレッド=フロント:1515×リア:1515mm
車重=1190kg
エンジン=1490cc直3DOHC+モーター(レギュラー仕様)
型式=M15A-FXE
燃料タンク容量=36リッター
最高出力=67kW(91ps)/5500rpm
最大トルク=120Nm(12.2kgm)/3800-4800rpm
モーター最高出力=59kW(80ps)
モーター最大トルク=141Nm(14.4kgm)
WLTCモード燃費=27.8km/リッター
(WLTC市街地/郊外/高速道路=29.4/29.9/26.1)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/50R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=4.4m
●試乗車は装備が充実した最上級モデルの2WD(FF)だが、リアにモーターを搭載する電気式4WDシステムを採用した「E-Four」モデルの設定もある。試乗車にはアクセサリーコンセント(4万4000円)、ハンズフリーパワーバックドア(7万7000円)、カメラ一体型ドライブレコーダー(4万1800円)、T-Connectナビキット(11万円)、ブラインドスポットモニター+リアクロストラフィックオートブレーキ(4万9500円)など、総額65万3785円のオプションが装備されていた