日産自動車の米国部門は2021年2月5日、全面改良した新型フロンティア(FRONTIER)を本年夏より2022年モデルとして米国市場で発売する発表した。車種展開はKing Cab S/SV(2WD/4WD)、Crew Cab S/SV(2WD/4WD)、PRO-X(2WD)、PRO-4X(4WD)、Crew CabロングホイールベースSV(2WD/4WD)を設定。日本への導入は、現在のところ予定されていない。
日産フロンティアは、米国市場で1959年より販売したダットサン(DATSUN)220を源流とするピックアップトラックで、今回の新型は日産の米国向けミッドサイズピックアップトラックとしては第8世代、フロンティアの車名となってからは第3世代に当たる。製品企画は米国日産が担当し、ボディタイプはホイールベース126.0インチ(3200mm)のスタンダードホイールベース(SWB)仕様と同139.8インチ(3551mm)のロングホイールベース(LWB)仕様を設定した。
外装に関しては、「Aggressively imposing exterior design(アグレッシブで印象的なエクステリアデザイン)」を標榜。基本造形は1985年に登場した日産「ハードボディ(Hardbody)」をオマージュして再解釈を加え、フロントビューはインターロッキングデザインの新型ヘッドライトと堅牢さを強調したグリル、そしてはっきりとした輪郭のフードを備えた力強いフェイスを具現化する。また、サイド部は余裕のある地上高を確保しながら、安定感を醸し出す佇まいや重厚な垂直状フェンダーなどによって耐久性と屈強さを主張。そしてリアセクションは、機械で削り出したような立体的な形状のテールランプをリアゲートとボディサイドをしっかりと固定しているように配置し、独特の堅牢さを演出した。ボディカラーについては、バックカントリーで見られるトレイルギアから着想を得た新色のタクティカルグリーンメタリックのほか、頑丈なエクステリアを引き立てるボールダークグレーパールなど計9種類をラインアップしている。
内包するインテリアは、力強い印象を醸し出すエクステリアとシームレスに調和させながら、キャビン全体を実用的かつモダンな雰囲気に仕立てたことが特徴である。ドライバーを中心にデザインしたインパネには、多様な情報を表示する8.0インチまたは9.0インチのタッチスクリーンディスプレイを採用。また、視認性に優れる7.0インチのアドバンスドドライブアシストディスプレイも装備する。一方、センターセンタークラスターはシンプルで直感的な操作が可能なデザインで構成。また、前席には疲労感を軽減するゼログラビティシートを、後席にはローアンダーシートストレージを配備し、合わせて遮音材の追加やフロントドアへの遮音ガラスの装着によって車内に入り込むノイズを低減した。なお、PRO-XおよびPRO-4Xには、専用ステッチや専用シートロゴ、専用パネルアクセントなどを特別装備している。
パワーユニットには、9割以上のパーツを新開発または改良した3.8リットルV型6気筒DOHC直噴ガソリンエンジン(310hp/281lb-ft)に、ロックアップ領域の拡大や高レスポンスの電動油圧システム、長いインプットシャフトを組み込んだ新しい電子制御式9速ATを搭載。駆動機構には2WD/4HI/4LOモードを備えた電子制御パートタイム式のシフトオンザフライ4WDとシンプル機構の2WDを設定し、2タイプともにヒルスタートアシストを標準で装備する。また、4WDには4輪リミテッドスリップ制御やヒルディセントコントロールも組み込んだ。一方、操舵機構にはステアリング中立付近フィーリングを改善することで長距離ドライブ時の疲労を低減させるとともに、ステアリングギア比を16%クイックに設定した油圧パワーステアリングを採用。懸架機構には新しい油圧キャブマウントを導入してキャビンに伝わる振動を80%低減させ、さらにクラス唯一のウレタン製バンプラバーの採用やスタビライザー径の拡大などによって走行安定性をいっそう向上させた。
安全運転支援機構については、最新の日産セーフティシールド360を標準で組み込んでクラストップレベルの安全性を確保する。また、日産の米国モデルでは初となるオフロードモードを備えた日産インテリジェントアラウンドビューモニターを設定。4LOを選択して低車速で走る際に車外に設置した4台のカメラ映像によって上空からクルマを見下ろしているような映像をディスプレイに映し出し、タイトで荒れたオフロードでの走行をサポートする機能を新たに有した。