ショーン・コネリーさんと若山弦蔵さんとの3ショットが見たかった――。コンティニュエーションモデルとして世界限定25台で生産した「アストンマーティンDB5」ボンドカー仕様の最後の1台が日本上陸。クルマはもちろん、秘密兵器も忠実に再現
アストンマーティン・ジャパンは2022年10月26日、アストンマーティンのコンティニュエーション(Continuation)プログラムとして2020年より25台限定で生産された「アストンマーティンDB5ゴールドフィンガー コンティニュエーション(DB5 Goldfinger Continuation)」の最後の1台を日本に迎い入れ、10月27日~11月2日にかけて東京ミッドタウン日比谷アトリウムで、11月3日~14日にかけてアストンマーティン青山ハウスで展示公開すると発表した。
今回日本で初公開するアストンマーティンDB5ゴールドフィンガー コンティニュエーションは、1964年に公開された映画『007ゴールドフィンガー』において、ショーン・コネリーさん演じる主人公のジェームズ・ボンドがドライブしたアストンマーティンDB5のボンドカー仕様を忠実に再現した復刻モデルだ。DB5はDB4シリーズの発展型として1963年7月に登場。改良版のボディおよびシャシーにボアアップ(96.0mm)して排気量を3995ccとした直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、クーペとオープンのヴォランテ、高性能版のヴァンテージを合わせて1965 年までに1021台が生産されたといわれている。
DB5ゴールドフィンガー コンティニュエーションを製作するに当たり、英国バッキンガム州ニューポート・パグネルに本拠を置くアストンマーティンのヘリテージ部門「アストンマーティン・ワークス」は、元となるDB5の車両データを細部に渡って掌握し、3Dデータを作成。そして、ボンドカーに仕立てるために007シリーズの制作会社であるイーオン・プロダクションズ(EON Productions)に協力を仰ぎ、さらに特殊効果監督のクリス・コーボールドOBEが手がけた“秘密兵器”を鋭意組み込んだ。
基本骨格については現在の技術であるデジタルボディスキャンを活用することで、オリジナルモデルのボディを詳細に調査。また、当時の製造工程をほぼそのまま踏襲し、細い鋼管を組み合わせたシャシー構造をベースにアルミニウム製のボディパネルを組み合わせた“スーパーレッジェーラ工法”を採用する。ボディカラーはオリジナルと同様にシルバー・バーチ・ペイントで塗装。さらに、エクステリアの秘密兵器としてリア・スモーク発生装置やリア・オイル散布装置(模擬)、フロント&リアの回転式トリプル・ナンバープレート、銃口がLEDで発光するフロント・ツインマシンガン、防弾リアシールド、フロント&リアの伸縮式オーバーライダー、タイヤ・スラッシャー(模擬)、脱着式助手席ルーフパネルなどを特別装備した。
インテリアに関しても、オリジナルを忠実に再現する。そして、秘密兵器としてレーダー追跡装置(模擬)や運転席ドア配置の電話、シフトレバーの脱出用ボタン、アームレストおよびセンターコンソール配置の各種スイッチ類、シート下の武器格納トレイ、様々な秘密兵器を作動させるためのリモコンなどを組み込んだ。
パワーユニットについては、6本のプラグヘッド、3器のSUキャブレター、オイルクーラーを備えた4リットル直列6気筒DOHC自然吸気エンジン(290bhp)を搭載する。トランスミッションにはZF製5速MTを組み合わせ、機械式のリミテッドスリップデファレンシャルも装備して後輪を駆動(FR)。また、懸架機構にはフロントにスタビライザー付きのストラット式を、リアにラジアスアームとワッツリンケージを備えたライブアクスル式を採用した。さらに、操舵機構にはノンパワーのラック&ピニオン式ステアリングを、制動機構にはサーボ付きガーリングタイプ・スチール・ディスクブレーキを装備している。
なお、DB5ゴールドフィンガー コンティニュエーションの生産に関してはアストンマーティン・ワークスの熟練スタッフがほぼ手作業で行い、1台を完成させるのに約4500時間を要したという。車両価格は税抜きで275万ポンド(約4億7100万円)に設定している。