2023年シーズンに向けたGRスープラGT4エボが登場

さらなる進化を果たしたカスタマーモータースポーツ車両のGRスープラGT4エボが発売。ブレーキ性能やハンドリング、エンジン性能のいっそうの向上を図る

　TOYOTA GAZOO Racing（TGR）は2022年10月28日、2023年シーズンに向けたカスタマーモータースポーツ車両のGRスープラGT4エボ（GR Supra GT4 EVO）を発売した。車両価格は税抜きで18万6000ユーロ（約2740万円）に設定。各地域における車両の販売およびカスタマーサポート（スペア部品の販売や技術サポート）は、従来と同様、欧州でTOYOTA GAZOO Racing Europe、北米でTRD U.S.A.、日本・アジアでトヨタカスタマイジング＆ディベロップメントが担当する。

▲GRスープラGT4エボ　車両価格は税抜きで18万6000ユーロ（約2740万円）　ボディサイズは全長4460×全幅1855mmに設定。FIA規則に準拠した高剛性ロールケージ付スチールおよびアルミボディに、天然繊維コンポジットのフロントスポイラーとリアウイングを配備する

　GRスープラGT4は、シーズンフル参戦を果たした2020年以降、50台を超える車両が世界中のレースに参戦し、これまでに11の国や地域のGT4シリーズ戦および国際レースで勝利を獲得。本年の8月には、記念すべき50回目のクラス優勝を成し遂げている。

　今回の改良では、TGRのエンジニアが世界中のレース現場へ赴き、GRスープラGT4を使用するレーシングチームやドライバーから直接、レースという極限状態でしか得られない貴重な情報を集め、それをフィードバック。そして、詳細な評価結果に基づき、ブレーキ、ハンドリング、エンジンの3つのポイントに重点を置いて、GRスープラGT4エボの開発を推し進めた。

▲ブレーキ、ハンドリング、エンジンの3つのポイントに重点を置いて、GRスープラGT4の進化を図る

　具体的には、ブレーキ部品の改良やABSセッティングの変更、KW社の最新技術により最適化したショックアブソーバーおよびスタビライザーバーの仕様・特性の見直しにより、ハンドリングとコーナリングスピードを向上。また、冷却効率のアップなどを図って2998cc直列6気筒DOHCツインスクロールターボエンジンの出力を引き上げ（SROのBOPによる性能調整。最大トルクは従来の650Nmから660Nmにアップ）、合わせてエンジン回転数に応じたスムーズなトルク発生カーブを実現し、サーキット走行時にドライバーが意のままに操ることができる、より正確でリニアな出力特性を達成した。

　なお、従来のGRスープラGT4ユーザーに向けて、GRスープラGT4エボの改良部品等を入手できるアップグレードキットの提供も予定している。

▲ブレーキ部品の改良やABSセッティングの変更、KW社の最新技術により最適化したショックアブソーバーおよびスタビライザーバーの仕様・特性の見直しにより、ハンドリングとコーナリングスピードを向上。駆動系にはDREXLER製レース用機械式リミテッドスリップデフとGKN製レース用ドライブシャフトを配備する

▲冷却効率の向上などを図って2998cc直列6気筒DOHCツインスクロールターボエンジンの出力を引き上げ、合わせてエンジン回転数に応じたスムーズなトルク発生カーブを実現。排気システムにはアクラポヴィッチ製レース用排気システム＋メタル触媒を組み込む

▲トランスミッションには専用セッティングのZF製7速スポーツオートマチック（パドルシフト付）を採用。シューズには305/660-18サイズのピレリP-ZEROタイヤと11J×18サイズのOZ製アルミホイールを装着する

▲マルチディスプレイとデータロガーを標準装備。オプションでリアビューカメラやタイヤ空気圧センサー、サスペンションセンサーなどを用意する

　GRスープラ GT4エボに関して、TOYOTA GAZOO Racing Europeの中嶋一貴副会長は「私たちはGRスープラGT4のユーザーの声に耳を傾け、それをフィードバックしてGRスープラGT4エボを製作した。進化したGRスープラGT4エボは、ドライビング愛好家から要求の厳しいプロまで、すべてのユーザーを満足させる性能を備えている」とコメントする。肝心のGRスープラGT4エボのレースデビューは、2023年1月、デイトナ24時間レース併催のIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジの第1戦で果たす予定だ。