日産自動車は2021年2月18日、全面改良した新型キャシュカイ(QASHQAI)を欧州で発表。合わせて、2021年夏より欧州市場に投入するとアナウンスした。
今回の全面改良で第3世代に移行する新型キャシュカイは、内外装デザインの刷新やドライビングプレジャーの進化、そして先進安全運転システムおよびコネクテッド機能のバージョンアップなどを実施し、競合が激しいCセグメントのクロスオーバーSUVカテゴリーにおいて新たな機軸を打ち出したことが特徴である。
まずエクステリアは、歴代の基本デザインを踏襲しながら、より引き締まったシャープでモダンなフォルムに仕立てる。各部のアレンジも徹底してこだわり、フロントビューは日産のアイデンティティであるVモーショングリルやリアに流れるようにデザインされたフローティングルーフ、走行環境や歩行者の有無に合わせて自動で配光を調節するスリムな形状のLEDヘッドライト、そしてシンプルでありながらも大胆かつ力強い印象を与える緻密で張りのあるラインなど、日産のグローバルデザインランゲージを新しい形で演出。一方でサイドセクションは、くっきりとしたショルダーラインと引き延ばされたホイールベース、フロントからリアにかけて流れる1本の特徴的なキャラクターラインなどによって、力強くスポーティな印象を創出する。4WDモデルの足もとには、新造形のスタイリッシュな20インチアルミホイールを装着した。そしてリア部は、台形状で安定感のあるプロポーションに、点灯時に立体的に輝くLEDコンビネーションランプを配し、印象的な後ろ姿を具現化する。ボディカラーは11種類のモノトーンと5種類の2トーンという計16種類をラインアップした。
内包するインテリアは、いつまでも乗っていたくなるような、心安らぐ空間を目指してデザインされる。具体的には、新しいシート素材やアンビエント照明などによって、乗る人すべてにプレミアムな体験を提供。また、12.3インチと大型化したマルチインフォメーションスクリーンの背景に切り子ガラスをモチーフとしたアレンジを採用するなど、日本のDNAも存分に表現した。一方、コネクテッド機構としては最大7台のデバイスとの接続を可能とする車載WiFi、車両の状態をモニタリングする専用アプリ NissanConnect Services など、先進的なインフォテインメントシステムを採用。さらに、前述のマルチインフォメーションスクリーンはナビゲーションやエンターテインメント、交通情報、車両情報などの表示レイアウトが自由に選択でき、合わせて高解像度9インチのNissanConnectディスプレイはAndroid AutoとApple CarPlayの両方に対応する。そして、新しい10.8インチのヘッドアップディスプレイ(HUD)はナビゲーションルート、運転支援情報、道路情報などをフロントガラスによりわかりやすく映し出すようアレンジした。
基本骨格に関しては、日産・ルノー・三菱アライアンスのCMF-Cプラットフォームを欧州モデルで初めて採用。車体には既存モデルよりも多く軽量素材を取り入れ、合わせて最新のプレス技術と溶接技術を用いることで強度を高めると同時に軽量化も実現する。数値としては、既存モデルと比較して60kgの軽量化と、41%の剛性アップを成し遂げた。一方、前マクファーソンストラット式、後トーションビーム式(2WD)/マルチリンク式(4WD)で構成したシャシーも緻密な改良を施し、合わせてパワーステアリングのセッティングも変更して、走行安定性とハンドリング性能をいっそうレベルアップさせた。
パワーユニットには、新開発の12Vマイルドハイブリッドシステムを組み込んだ1.3リットル直噴ターボエンジンを搭載。駆動用バッテリーにはリチウムイオン電池を採用し、減速時のエネルギーを回生して走行時に利用することで燃費の向上とCO2排出量の低減を図る。また、可変圧縮比エンジンのVCターボを発電専用エンジンとして使用するe-POWERも、欧州市場で初めて投入する予定だ。
先進安全運転支援システムについては、様々な状況においてドライバーをサポートする最新のプロパイロットを採用。ナビゲーションデータを利用することで急なカーブや高速道路の出口などにおいて車速を自動調整し、スムーズな運転を可能とするナビリンク機能も組み込んでいる。
なお、新型キャシュカイの日本への導入は、現在のところ予定されていない。