EV新登場。個性派クーペSUV、新型MX-30は「マツダ電動化」のイメージリーダーに

マツダMX-30・EVハイエストセット 価格:495万円 EVはハイエストセット/ベーシックセット/標準の3グレード構成 メカニズムは全車共通 1充電当たりの走行距離256km 床下搭載のバッテリー容量は35.5kWh
マツダMX-30・EVハイエストセット 価格:495万円 EVはハイエストセット/ベーシックセット/標準の3グレード構成 メカニズムは全車共通 1充電当たりの走行距離256km 床下搭載のバッテリー容量は35.5kWh

マツダMX-30EV 価格:451〜495万円 新車ニュース

マツダはマルチソリューションを積極推進。電動化はMX-30が牽引

 昨今、自動車界のトレンドは「電動化」である。欧州ではCO2排出削減を目的とする燃費規制(CAFE)、北米ではゼロエミッション規制、中国では新エネルギー車(NEV)規制、そして日本では2050年までにカーボンニュートラル実現……と、まさに次世代に向けた大きな転換期となっている。

 そんな時代だが、マツダは現在も「理想の内燃機関の追求」にこだわっている。先日リファインされたマツダ3/CX-30に搭載されるガソリン圧縮着火エンジン、スカイアクティブXはその代表だ。
 そうした姿勢からか「マツダは電動化に否定的」、「ガラパゴス化」、「時代遅れ」などと揶揄する声もある。だが、それは間違いだ。

 2007年、マツダは技術開発の長期ビジョン「サスティナブル[Zoom―Zoom]宣言」を発表した。その中のひとつ、ビルディングブロック戦略にはこう記されている。
「クルマの基本性能を決めるエンジンや車両の骨格など、ベース技術を徹底的に改善。そのうえで電気デバイスを組み合わせ、CO2の総排出量を大幅に削減させる」。

 ただ、マツダの予想をはるかに超えるスピードで電動化の流れが押し寄せているのも事実である。そんな中、登場したのがMX-30だ。MX-30はRX-8譲りの観音開きドアが特徴になっているが、このクルマこそ、マツダの電動化を牽引する存在である。
 その第1弾が、昨秋発売されたマイルドハイブリッド車。第2弾としてBEVがデビューした。

 エクステリアはマイルドハイブリッドと基本的に共通。違いは車体右側に設けられた充電リッドとリアサイドウィンドウの「ELECTRIC」ステッカー、そしてリアの「e-SKYACTIV」エンブレムのみ。インテリアはメーターやセンターモニターの専用表示程度だ。あえて特別に仕上げていないのは、「EVは特別なモデルではなく、あくまでもセレクト可能なパワートレーンのひとつ」というマツダならではの考え方による

RX-8以来の観音開き式フリースタイルドアは大開口 クーペフォルムながら優れた実用性に貢献
RX-8以来の観音開き式フリースタイルドアは大開口 クーペフォルムながら優れた実用性に貢献
フロントスペースにモーター(145ps/270Nm)/インバーターなどを搭載 スペースは余裕たっぷり 発電用ロータリーエンジンの収納を想定した設計
フロントスペースにモーター(145ps/270Nm)/インバーターなどを搭載 スペースは余裕たっぷり 発電用ロータリーエンジンの収納を想定した設計

BEVは日常ユース優先。REレンジエクステンダーも準備中

 ボンネットを開けるとエンジンに替わり、モーター/インバーター/DC―DCコンバーター/ジャンクションボックスを一体化したユニットを搭載。サイズは非常にコンパクトなのでエンジンルームはスカスカである。

 モーターの出力は107kW(145ps)/4500〜11000rpm、トルクは2870Nm(27.5kgm)/0〜3243rpmを発生。床下に収められているバッテリーはリチウムイオンで容量は35.3kWh。航続距離はWWLTCモードで256km、JC08モードで281kmだ。つまり日常ユース重視設計。マツダの考えは「長い航続距離を求めるなら、BEVよりも内燃機関と組み合わせたレンジエクステンダー/プラグインハイブリッド/シリーズハイブリッドがベター。マツダはユーザーの使用ニーズや環境、さらに各国のエネルギー事情も加味した「マルチソリューション」で対応していく」というもの。
 つまり、BEVにすべてを託さずに、地域の特性、使用用途に応じてさまざまな「引き出し」を用意しようとしているのだ。発電にロータリーエンジンを使用するレンジエクステンダーは、2022年に登場させると発表済みだ。

 MX-30・EVのプラットフォームは、スカイアクティブビークルアーキテクチャをEV用に最適化。具体的にはバッテリーケースを環状構造の一部として活用したうえで、クロスメンバーのバッテリーケース内の配置、リアトレーリングアーム取り付け部の強化により、剛性アップと伝達遅れの低減を両立。強靭性の追求はハンドリングだけでなくロードノイズや振動の低減など乗り心地の向上にも貢献しているという。走りはマツダが目指す〝滑らかな走り〟の理想形と説明する。

 グレードはハイエストセット、ベーシックセット、標準の3グレードを用意。価格は451万~495万円だ。残価設定ローンの残価率は他のBEVと比べるとかなりの好条件。3年後の価値をマイルドハイブリッドと同じ55%として保証する戦略的な設定だ。購入/保有に関する疑問に答えるEV専用ダイヤルや1DAYモニターなど、普及とユーザーの不安(価値の低下)の解消のためにさまざまなサービスも用意した。

 マツダは、下肢が不自由なドライバーでも両手だけで運転操作が楽しめるセルフエンパワーメント・ドライビングビークルも開発中。多くのユーザーに「移動の楽しみ」や「EVのメリット」を味わえる工夫に積極的に取り組んでいる。MX-30は、今後ますます、マツダの先進性を象徴するイメージリーダーになるに違いない。

外観はマイルドハイブリッド車と共通 エンブレムやリアサイドウィンドウのステッカーが識別点
外観はマイルドハイブリッド車と共通 エンブレムやリアサイドウィンドウのステッカーが識別点
EVの電池容量は生産時のCO2排出量など環境負荷を総合的に勘案して決定したという
EVの電池容量は生産時のCO2排出量など環境負荷を総合的に勘案して決定したという

ミニインプレッション、 EVの走りは超スムーズ!

 MX-30EVに短時間試乗した。パフォーマンスは145ps/270Nmのモータースペックから想像する以上に力強い。ペダルの踏み込みに応じて、リニアで息の長い加速が味わえる。走行状況に応じて心地よいモーター音を聞かせる巧みなサウンドチューンも魅力的。ドライビングの実感が得られると同時に、EVらしい静粛性とライブなフィーリングが共存していた。

 走行モード切り替えは未設定。ただしステアリング部のパドルスイッチで5段階に回生ブレーキの強さが選べる。足回りはしなやかな設定。マイルドハイブリッド車以上に良好な乗り心地と自然なハンドリングが楽しめる高い完成度の持ち主である。

ハイエストセット車は写真のインダストリアルクラシック内装とグレー&ホワイトのモダンコンフィデンス内装が選べる 各部は環境に優しい素材を厳選
ハイエストセット車は写真のインダストリアルクラシック内装とグレー&ホワイトのモダンコンフィデンス内装が選べる 各部は環境に優しい素材を厳選
ブラウン合皮とブラックファブリックのコンビシートは質感/座り心地とも高水準 後席形状はラウンジソファ感覚
ブラウン合皮とブラックファブリックのコンビシートは質感/座り心地とも高水準 後席形状はラウンジソファ感覚
メーターはEV専用デザイン 中央に速度計/左側にパワーメーター配置 ヘッドアップディスプレイ標準
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EVはバッテリーモニター付き 写真は容量76%で151km(ACオフで+14km)走行できると表示
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フローティング形状のコンソールにはコルク素材を採用 コルクはマツダの歴史に由来
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充電は急速/普通に対応 普通6kWでは約6時間で満充電になる
充電は急速/普通に対応 普通6kWでは約6時間で満充電になる

マツダMX30EVハイエストセット 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=EVハイエストセット
価格=495万円
全長×全幅×全高=4395×1795×1565mm
ホイールベース=2655mm
トレッド=フロント:1565×リア:1565mm
最低地上高=130mm
車重=1650kg
原動機=MH型・交流同期電動機
定格出力=80.9kW
モーター最高出力=107kW(145ps)/4500〜11000rpm
モーター最大トルク=270Nm(27.5kgm)/0〜3243rpm
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池
総電圧=418V
総電力量=35.5kWh
個数=192個
容量=100Ah
WLTCモード交流電力消費量=145Wh/km
(市街地/郊外/高速道=121/129/152Wh/km)
WLTCモード一充電走行距離=256km
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/55R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.3m
●主要装備=スマートブレーキサポート(右直事故回避アシスト機能付き+前後進検知+後進時左右接近物検知)/前側方接近車両検知/AT誤発進抑制制御(前後進時)/前後パーキングセンサー/レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)/レーンキープアシスト/車線逸脱警報/ブラインドスポットモニタリング/交通標識認識システム/クルージング&トラフィックサポート/アダプティブLEDヘッドライト/シグネチャーLEDランプ+デイタイムランニングライト/リアコンビライト内シグネチャーLEDライト/自動防眩ドアミラー/ステアリングヒーター/前席シートヒーター/スーパーUVカットガラス/運転席10ウエイ電動調節機能バックガイドモニター/8.8インチセンターディスプレイ/7インチマルチスピードメーター/ロアディスプレイ/インテリジェントドライブマスター/本革巻きステアリング&シフトノブ/プラチナサテン・ドアインナーハンドル&ステアリングベゼルスイッチ/ヒーテッドドアミラー/照明付きバニティミラー/自動防眩ルームミラー/アドバンストキーレスエントリー/クロス&合成皮革シート/ピアノブラックピラーガーニッシュ/DピラーメッキMAZDAロゴ/18インチ高輝度ダーク塗装アルミ/合成皮革Ⓕドアアームレスト+コルク付きプルハンドル/フリースタイルドア/フルオートAC/Gベクタリングコントロールプラス/電動パーキングブレーキ(オートホールド付き)/360度ビューモニター+ドライバーモニタリング/ボーズサウンドシステム
●ボディカラー=ソウルレッドクリスタルメタリック3トーン(op11万円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万1300円

●MX-30ハイエストセット優遇税制・補助金
環境性能=電気自動車(排出ガス規制の適用を受けない自動車)
自動車税(環境性能割)=非課税
エコカー減税・重量税=免税
グリーン化特例・自動車税(種別割)=概ね75%減税
CEV補助金=16万2000円

MX-30は「電動化」だけでなく「ドライバーに優しいクルマ」のイメージリーダーでもある。セルフエンパワーメント・ドライビングビークルは両手だけで運転できる独自システム搭載。モーターの駆動力はステアリング内側のリングで調節。ブレーキは左側のレバーでコントロールする。操作は簡単で、しかもなかなか楽しい。ワンタッチで通常車と同様の操作法に戻せるのもポイント。2021年秋の市販を目指し開発中。観音開きリアドアは電動式に改良。クルマ椅子が車内に積みやすい。
MX-30は「電動化」だけでなく「ドライバーに優しいクルマ」のイメージリーダーでもある。セルフエンパワーメント・ドライビングビークルは両手だけで運転できる独自システム搭載。モーターの駆動力はステアリング内側のリングで調節。ブレーキは左側のレバーでコントロールする。操作は簡単で、しかもなかなか楽しい。ワンタッチで通常車と同様の操作法に戻せるのもポイント。2021年秋の市販を目指し開発中。観音開きリアドアは電動式に改良。クルマ椅子が車内に積みやすい。
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